阪神大震災は早朝に起きたため、義歯を外して寝ていたお年寄りは、そのままの状態で避難しました。避難所では、お年寄りの弁当のハンバーグが捨てられていたそうです。どうして食べなかったのでしょう。その理由は噛むことができなかったのです。ハンバーグは、軟食文化の代表のはず、多くの歯を失っても、これなら噛めるだろうと思われていました。ところが、ハンバーグの脂が寒さで固まり、歯の弱い方は食べることができなかったのです。おにぎりが凍り、焼きおにぎりにして食べたという話もあります。倒壊した自宅へ最初に戻った時、まず義歯を捜された方が多いといいます。大切なものは、お金や銀行通帳等の貴重品ではないのです。
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