「売り手良し,買い手良し,世間良し」


 わたしの生まれ故郷の近江の方では,「売り手良し,買い手良し,世間良し」という言葉があります。この精神で近江の商人は日本中に散っていき,成功してきました。この言葉の意味は,サービスを行う祭,当事者のことも大事ですが,それに加えて,社会が良くならなければならないということです。このことは,介護サービスにも言えることです。いまや,グランド・デザインとか,ユニバーサル・デザインとか言いますが,実情は,まだ発展途上にあります。それを補うのは,やはり,「人の心」と言えます。段差があっても,ある方面で偏見があっても,周りの人の心のサポート,理解があれば,乗り越えていけるように思います。このサポート,理解を得るには,まず世間に知らせなければならないという現実があります。介護サービスは,この点,障害者の現状を知らせるものとなっています。介護サービスを見ているふつうの子供たちが,また大人たちが,もしかすると将来,福祉活動に目を向けてくれるかもしれません。
 問題というものは,違う環境にあるもの同士が,ぶつかり合わなければ生じないものです。「問題」を望んでいるわけではありません。環境が違っても理解し合えるそんな社会になったら,いろいろな「問題」が解決していくように思います。みなさんは違った環境の人と接していますか。        

「エッセー」へ