「12月の合唱「第九」は……」


 ことしも余すところ、半月になりました。日の入りは早く、一番気分の落ち着く頃です。一方、「師走」などと言って、先生も走るという月でもあります。クリスマス会、忘年会、一年の締めくくりとして、大掃除、いえ、心もいろいろしてきたことをまとめる時期です。街を行くと「第九」のポスターが貼り出されていました。友人が合唱団の団長をしていて、目を大きく目いっぱい開き、口も精一杯開き、顔じゅうを真っ赤にし、目と口だけにして歌っている姿が思い起こされ、「クスッ」と一人笑ってしまうことしばしば……。この曲は長いので、以前のLPレコードでは、裏と表を使わなくてはなりませんでした。初期のCDが演奏時間74分で途切れなくこの「第九」を聴くために作り出されたという説は有名です。日の光が12月23日ころをさかいに回復していく、つまり、日が伸びていくことを喜ぶにはまさにふさわしい壮大な曲と言えるでしょう。

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