「今年の夏は…」


雨が降ると、集中豪雨ならぬゲリラ豪雨、川の氾濫、洪水、家の倒壊、生き埋め…、日が照れば、猛暑、熱中症…。多くの人が救急車で運ばれ、そのうちの今まででは考えられない数の人々が死亡した。今年の夏は本当に動きが取れない。毎年、土用の丑の日にうなぎを食べて、広島・長崎の原爆の日を記念し、納涼祭に顔を出し、終戦記念日の第二次世界大戦の記録、証言の番組を見て、お盆の読経を聞き、すいかなどほおばりながら、夏ももう終わりかなと、涼しい風にすこし寂しさを感じ、せみの声がすこしずつ変わり、こうして残暑が過ぎていく、という季節の移り変わりも変わってくるのだろうか。どこへ行ってもエアコンをつけなければ、過ごせなくなった。もはや、もったいないと言ってエアコンを付けなかった高齢者が部屋の中で亡くなっている時代に入ってしまった。ということは、やはり電力は使われ続ける訳であり、暑さはこの先、増し加わっていくのである。昔の暮らしには戻れない。

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