「ボキャブラリーは増えるけど……」


 わたしの高校の通信簿に、「ボキャブラリー(語彙「ごい」)が少ない、増やすように」という評価が載っている。家庭と学校、限られた生徒と先生、あるいは寮母さん、通学は自動車。そういった狭い世界で生活していたからだろう。言葉の数が少なかった。それでそれからは辞書をよく引いた。知らない語を引いては覚えた。しかし最近になり、辞書を引かなくなった。分らない語があると、パソコンの検索機能で出てくるからだ。分厚い辞書のページを開くことはもうない。百科事典も本棚から消えてしまっている。電子書籍のようなものも発売されたようだが、使ってしまいそうである。語彙、言葉は、いつも画面の中にあって、いつでも取り出せる。書籍が大きく代わるだろう。便利に文書を取り出せるようになりつつある。しかし人と人との接触や、自分で書店や図書館に行って探してくるという作業は大幅に減るかもしれない。行動範囲が小さくなる可能性がある。気をつけなければ。コミニケーションの取る方法を失わないようにしなければ。現実社会の人との出会いをより大切にしていきたい。

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