「採血は、腕を伸ばしてしまうとアテトーゼがあきらめるのかも」


 脳性まひの話ばかりで恐縮なのですが、アテトーゼは大変です。アテトーゼとは、ステイ(そう、犬に言う、あの「ステイ」)の反対語のギリシャ語だそうです。いつも四肢が動いて定まりません。とにかく自分の意思とは関係なく動いてしまう。もう、「あ゛〜、だれかにぶつかっちゃう、あぶないから、半径180cmは離れていてくれ〜」という感じなのです。それが血液検査で採血するときなんかはもう、「猛者(もさ)三人くらい連れてきて〜」という感じです。そのようなものと付き合っているのですが、この前の採血の時、すっかり骨格筋を伸ばしてしまうと良いことに気付きました。中途半端に曲げていると、どこに飛ぶか分らない拳。すっかり曲げてしまうといいわけですが、そうしたら、何もできなくなります。「はい、台に腕を乗せて、じっとしていて」などとはせずに、腕をともかくすっかり伸ばしてしまう方法を試してみました。一人に腕を伸ばしてもらって、その間に、もう一人に採血してもらうのです。もう動きようがなくて、これにはアテトーゼもあきらめたようです。

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