「春はもうすぐ」


 花粉症やアレルギーのある人たちには気の毒に思いますが、「♪春は名のみの風の寒さや〜」と歌う「早春賦」のこの頃がわたしは好きです。身体の硬くなる寒い冬が過ぎていき、もうすぐ暖かくなると言うのは、うれしいことなのです。暖かくなってしまうのではなく、その前の期待感、それが不安を取り除いてくれて、いいのです。例えば、クリスマス・イブと言うのも、本番より盛り上がるのと同じ現象なのでしょうね。「春はあけぼの ようよう白くなり行く やまぎわ」、空と山のきわが、オレンジ色や黄色,そして青色や紫など様々な色が現れる様子を書いた昔の随筆の冒頭ですが、やはり、日の出よりも、その前が興味深いものとして描かれています。多くの生命の芽吹く春は、生きとし生けるものの活気ある状態、鳥は鳴き、花々は咲き乱れ、その間を虫たちが飛び交い、また歩き回る。雪が解けて、川に水が増して、そこにカモが泳いでいたりすると、見入ってしまいます。この春もいいことがきっと見つかりますよ。

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