「うちのバリア」


 うちでは年末に入って家のバリアフリー改修工事が始まった。それには引っ越しが大変だなぁとの声もあったが、生活しながら出来るというので、決定した。その代わり、もう家の中はジグゾー・パズル状態で、工事している区画の家具などを別のところに移動して、しのいでいく。40年前の建築の30年前の改築という老舗みたいな家。一室に家族で小さくなって食事をするというのも、なんか懐かしい気分になって、ノスタルジーに慕ったりして、けっこう雰囲気を楽しんでいる。80歳を越えた両親は幸いにも元気で張り切って片づけをしたり、家具を動かしたりしている。バリアフリーについて賛成だが、ちょっと心配もある。段差がなくなって、脚を挙げなくなって、筋力低下の方向もありえる。リハビリの中に「バリアアリー」というバリアを生活に残して訓練にするというのを観たことがある。しかし、料理を盛った食器を持って、おっとっとっとっ、と段差につまずきそうになる両親を見ていると、やってよかったと思う。


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