(1)流通 のしくみ
わが国の流通の仕組みは世界一複雑と言われている。その流通
の仕組みは概ね次の図のようになっている。つまり消費者に届くまでに多くの流通
マージンがとられて世界一物価の高い国になってしまっている。また販売権を得て、ビジネスチャンスを享受できたのは中間に入っている業者だけ、つまり加盟金や保証金などを払える資本を持つ一部の人だけであった。
(2)ネットワークビジネスの呼び方とその仕組み
この構造を突き崩し、メーカーと消費者を直接結びつけ、しかもその消費者の中で商品を販売したい人に販売権を与え、さらに販売組織を作る権利を授与し、その貢献額に応じて、不要になった流通
マージンを還元し、どんな人にもビジネスとしてのチャンスを提供したのがネットワークビジネスである。ネットワークビジネスは、会社が商品を消費者に知らしめ、流通させる一つの形態である。セールスマンを使ってその作業を行わせる訪問販売や、宣伝広告費を使って同じことを行う通信販売と何ら変わりはない。
違いは、セールスマンや広告費を使わず、消費者から消費者へ商品の伝達を口コミにて行っていることである。
そこで浮いた費用を商品の普及に貢献してくれた人々にその実績に応じて会社がボーナスとして還元している。
またネットワークビジネスは次のようにいろいろな名称で呼ばれる。
ネットワークビジネス、紹介販売、組織販売、口コミ販売、人脈ビジネス、消費者還元ビジネス、ホームパーティビジネス、システム販売、無店舗販売、
コミュニケーションビジネス、ダイレクトセリング・・・
。なおこのビジネスの本家本元アメリカではマルチレベルマーケティングと呼ばれている。この言葉からマルチ商法という言葉が生まれた。ただしマルチ商法というと悪徳マルチ商法と誤解されやすいので業界では好まれていない。わが国の法律では訪問販売法という法律の中に、連鎖販売取引という名称で、正式に認定されている合法的なビジネスである。
(3)ネズミ講・悪徳マルチ商法との違い
世間では、ネットワークビジネス=悪徳商法と誤解している人々がまだまだ多いようである。一部の悪徳商法による被害がマスコミ等で報道され、ネットワークビジネス=悪徳商法といった大きな誤解を招いている。
下記の表のように、ネズミ講、悪徳マルチ商法とネットワークビジネスではシステムが全く違う。ネットワークビジネスに参加する場合はその会社のシステムやルールをきちんと把握し、納得した上で参加することである。
ネズミ講 (無限連鎖講) |
●商品の介在しない金銭配当組織 ●会員から複数の子、さらに孫へと会員をネズミ算式に増殖し、上位になればなるほど 優位に配当を 受け取れる ●証券などの金銭類似品、あるいは最近では「ビジネス成功マニュアル」のコピーなど を介在させる ものも出現 |
悪徳マルチ商法 (連鎖販売取引の悪用) |
●「儲かる」と人を誘い、不必要かつ過剰な在庫を買わせる |
ネットワークビジネス (連鎖販売取引) |
●商品の解約、返品(クーリングオフ)に応じる ●必要在庫は自己の判断と責任で持つ ●最近は会員になれば会社と直接取引が主流。そのため在庫をかかえる必要がない ●販売および勧誘にノルマがない ●商品愛用から愛用への広がりが原則 |
(4)ネットワークビジネスが悪く言われる訳
ネットワークビジネスに参加するきっかけは、ほとんどが知人による紹介である。
人から人への口コミによってネットワークビジネスは広がっていく。つまり、ビジネス経験のない素人から素人へ伝わっていく可能性が高いので、多くの誤解、トラブルも発生しやすくなる。
ネットワークビジネスが世間でまだまだ認知されない理由は下記の5つである。
「儲かる」「治る」などの言葉だけでこのネットワークビジネスに参加する人達がいるが、それは大変危険なことであり、それだけの動機でこの仕事に参加し、また同じような言葉で人を勧誘しても結局は組織は広がってはいかない。
ネットワークビジネスで成功を手にしている人達はその商品を自らが愛用し、会社のシステムを十分に理解し、その喜びを素直に広げていった人達である。決して、誇大な表現や目先の収入にはとらわれていない。
理由その1 | 「組織の構造がネズミ講や、悪徳マルチ商法と同じようにピラミッド構造になっている」・・・(これについては次項ー社会の仕組みとネットワークビジネスーを参照)そのため一部の上位 の人だけが儲かるという誤解。ネットワークビジネスはどんな人にも公平な条件。後から参加した人でもその努力に応じていくらでも先に入った人よりも成功することができるし、その例はあまたある。またネズミ講のように無限連鎖ではない。 |
理由その2 | 「過去に社会問題を引き起こした会社があった」・・・どんな業界、業種にも悪徳業者、悪徳商人がいる。しかし一部の人間が悪いのであって、業界全てが悪いと言うのは偏見のなにものでもない。事実まじめにしかも大いに社会貢献しているネットワークビジネスの会社の方が圧倒的に多い。 (これについては次次項ー道具としてのネットワークビジネスーを参照) |
理由その3 | 「マスコミがこぞってこの業界を悪く言う。また大衆は何の判断基準も持たないままマスコミ情報を信じてしまう傾向がある」・・・なぜなら消費者から消費者に商品が広がるため広告宣伝費がいらない。つまりネットワークビジネスの会社はマスコミにとっての唯一の収入源である大事なスポンサーになる可能性が少ないのでマスコミはたたきやすい。 |
理由その4 | 「商売や販売に従事したことのない素人や人生経験の少ない若者達まで含めて組織化していくのがネットワークビジネス。そこにはどんな人が参加してくるかわからない。その結果 生じる教育の不徹底」・・・健康食品なら「治る」「効く」で、ビジネスなら「儲かる」「一攫千金をねらえる」などと法律で禁じられているトークで人を誘うことは禁物である。 |
理由その5 | 「人間関係のトラブル」 ・・・何と言ってもネットワークビジネスは、人間関係に始まり人間関係に終わる。特にそこにお金がからんでいるからトラブルが生じやすい。しかしこれはどんな世界にもあること。親族間での遺産相続のトラブルの多さがこれを証明している。 |
(5)社会の仕組みとネットワークビジネス
(6)道具としてのネットワークビジネス
「そんなことをやっていると友達をなくすよ」とそんな言葉をときどき聞く。しかし、これはネットワークビジネスに限ったことではない。保険や車のセールスにしても宗教の勧誘にしてもまったく同じである。つまり、すべて人に何かを働きかけるという行為においては、多かれ少なかれそういったことが発生するのだ。
ネットワークビジネスは商品を流通させる一つの道具に過ぎない。しかし、道具であるから訪問販売でも通
信販売でもそれに携わる多くの人達の意識によって、人に喜ばれる素晴らしい職業ともなれば、悪徳商法ともなるのである。間違った使い方をすれば悪にもなるし、また正しい使い方をすればいい結果
を与えることになるのである。
ネットワークビジネスは流通の単なる道具である。しかし、高性能でパワフルな道具である。だからこそ細心の取り扱い注意が必要なのだ。
間違った使い方をすると | 正しい使い方をすると | |
車 | 凶器 | 文明の利器 |
刃物 | 人を殺すドス | 人を救うメス |
訪問販売・通信販売 |
悪徳商法 | 世の中に貢献 |