平成15年 3月21日
私は最近とても寝不足だ。
仕事柄、年度末はいつも忙しいのだが、ここ3日くらいポンの夜泣きに悩まされていた。
みんなが寝静まる頃その夜泣きは始まる。
するとその声に反応して、チョコがそしてアッシュが鳴き始める。
田舎に住んでいるとはいえ、ポツンと1件家が建っているわけではない。
近所の目もあるし、犬達が鳴かないように夜な夜な巡回していた。
昨夜も帰りが遅く、私が家に着くと車の音でまずはアッシュがそしてチョコが鳴き始めた。
2匹に一喝入れポンの様子を見に行くと、前日ほどではなかったが夜泣きは始まっていた。
目はほとんど見えず、音もあまり聞こえていないであろうポンは、以前とは違う犬のように
見えてしまうほど年老い、衰えていた。
寝不足のせいも有ったのだろうが、昨夜はポンの夜泣きが気にならなかった。
ゆっくり眠れそうだ、そう思い私は眠りについてしまった。
今朝起きて様子がおかしいことにはすぐに気づいた。
18歳という年齢から考えて、変な言い方ではあるが覚悟はしていた。
しかし、冷たく動かないポンを見た時には動けなくなった。
ポン、お前はこの18年間幸せだったか?
東京で11年、静岡に来て7年。
11歳のお前を見て、田舎でまた元気になっていくお前を見て、私は幸せだったよ。
老いていく姿を見るのは辛かったけど、お前のおかげでまた色々なことを経験できたよ。
我が家の犬社会のボスとしてよく頑張ってくれたね。
今まで御苦労様。そして本当に本当にありがとう。


平成15年 3月24日
3日間、いろんな事を考えた。
犬達を見て、犬の気持ちを考えた。
お前達には不満がいっぱい有るだろう。私に言いたいことは山のように有るだろう。
お前達の幸せっていったい何だ?
尻尾を振って私を見つめるお前達は幸せなのか?
お前達を私はもっともっと幸せにしてあげられるのかもしれない。
それでも、人間社会で一緒に生きていく為には、我慢させることも山のように有る。
ポン、幸せだったか? 楽しかったか?
お前のいない今、お前のいた犬舎を洗い、ここもここも、もっともっと・・・。
13:30 本当のさよならだ。
ありがとう、そして さようなら。