もう、いいよ…


2008年1月21日


とうとう この日が 来てしまった…。


アッシュ、おまえは産まれてきて幸せだったか?
うちの子として育てられて、幸せだったか?
俺はおまえをたくさん怒った。
俺はおまえを厳しく躾けた。
それが、お互いに生活し易く、幸せになれる方法だと思ったから。
ワイマラナーのおまえの性格には、手を焼いたよ。
他の子以上におまえには時間を掛けて、たくさん怒ってたよな。
いつも近くで甘えていたかったんだろ?
分かってたさ。
膝の上が好きだったもんな。
多頭飼いの我が家では、我慢すること多かったよな。
おまえはいっぱい我慢してたよな。
こんなに早く逝きやがって、おまえ満足できたのか?
今までたくさん俺を困らせてきたくせに、何で最後がこんなに呆気ないんだよ。
バカ野郎…


私が仕事を終えて家に帰ると、いつものアッシュの叫び声が聞こえない。
今日は珍しく、おとなしく待っていてくれたようだ。
しかし、部屋に入りアッシュの様子を見ると、そうではなかったとすぐに気づかされた。
私が仕事を終えて、家に戻るのを必死で待っていてくれた。
しかし、アッシュにとってその時間まで待っていることが、精一杯の最後の力だったようだ。
私に最後の生きている姿を見せてはくれたが、頭を持ち上げ、目を合わせる力は既に残ってはいなかった。
息はしているが、体に触れると、既に生きているとは思えないほど冷たかった。
私はただ、アッシュの前に座り、「アッシュ、アッシュ」と呼び続け、
眠るように体の動きを止めていく姿を見ていることしか出来なかった。
私は本当に無力だ。 見ていることしか出来ないなんて…。


この冬を超え、6歳を迎えるかと思っていたが…。


あまりにも急なことで、言葉も無い。


痛みに耐え、苦しみに耐え、人間社会の制約に耐え、
アッシュの一生は耐え抜いた犬生だったのかもしれない。
思い通りにならない体。 思い通りにならない想い。
もしも話が出来たなら、何て言いたかったのだろう…。


どんな時にも私を信じ、私を見つめたあの瞳を決して忘れることはない。


アッシュの病気を心配して頂き、応援して頂いた、たくさんの皆様に、ありがとうございました。
6年間、決して諦めず最善の方法を探し続け、アッシュを診続けてくれた先生に、ありがとうございました。
私以上に日常の世話をしてくれた家族に、ありがとう。
私達家族は、アッシュに対し、出来る限りの事は全てしてきたと思っています。
誰に何を言われようとも、胸を張って『BESTを尽くした。』と、言い切りたい。
そんな想いから、今はやり遂げた「ホッとしている」というのも事実です。
本当に、ありがとうございました。


私が、どうしてもと言って、岐阜から静岡にまで連れてきてしまったアッシュに、

『今まで本当にありがとう。 お疲れさま。 もう、いいよ…。』