蛭子神社の田遊び

(牧之原市)

2020.2.8

毎年2月の第2土曜日の夕暮れから深夜に掛けて「蛭子神社」の境内で「蛭ヶ谷の田遊び」が行われる。氏子の若者が、木を積み重ねたかがり火の前で、神を招き、稲作の一連の作業を模した「里打ち」「田打ち」「稲刈り」などの16演目を奉納して、その年の豊作と子孫繁栄を祈願する。鎌倉時代より続けられているこの田遊びは、楽器の演奏がなく、台詞と舞だけで厳かに行われる。国重要民俗文化財に指定されている。

3人の青年が出て来て、鍬で田を耕すしぐさをする。そのあと持ってきた桶から食物とお酒を出し、問答をしながら食べ、飲む真似をする。

本太刀振りもどき本長太刀振り、もどき棒振りと5人の青年が伴奏なしで次々と舞を舞う。すこしずつ違うがだいたいの振り付けは同じである。

牧の原のJAの駐車場にPM.5:20に着いた。早いのでまだ車は数台しか止まっていない。すぐそこの「蛭子神社」に向かう。境内には材木が積み上げられ準備が整っていた。(蛭ケ谷の田遊び「お田打ち祭」「ほた引き祭」ともいわれ太鼓などの鳴物を使わず、農作業の一つ一つが中心で、服装も地味で、古い形を今に伝えている。)

3人出て来て、釣り道具を持っている。

22時13分で祭りは終わった。帰ろうとすると、「これからまだある。」というので待っていると、先ほどの「ほた小僧」が縄で神社横の桜の木に括り付けられた。花の咲き具合で今年の作柄を占うのだそうだ。祭りの1週間まえに去年の「ほた小僧」は取り外すということだった。22時20分にはすべての祭りは終わり、暗い夜道を慎重に運転して家に帰った。徹夜のお祭りが続いていたので、このくらいに終わってくれるとありがたい。
笛も太鼓もない地味はお祭りだったが、存続してほしい。

5人が輪になって何か歌いながら杉の葉を後ろに投げる。杉の葉を苗に見立てて田植えをしている。ほた小僧をおんぶしている。
 を持ち、とくりを吊るした3人が出てくる。刈り取りだろうか?

杉玉のようなものを振りながら舞う。その後木の台に突っ伏した人(何かにみたてているようだが)を上からたたく。

臼と杵で餅を搗く。

棒振り

もどき

本長太刀振り

もどき

本太刀振り

6時を過ぎると、集会場で神事が始まり、6時40分に火がはいった。白い紙を束ねた「綾笠」をかぶった青年があらわれ、綱に杉で作ったほた小僧を括り付け、輪になって何かを言いながら回る。合図で真ん中の青年を追い詰め、何やらわめくが分からない。数回繰り返して終わった。 竹の棒で台をたたき、ササラになると火にくべる。

田遊びは、稲作過程をもどき、今年もかくあらんと願う予祝芸能であるが、「蛭ヶ谷の田遊び」は神社境内の大きな篝火の前で、白い紙を数多く束ねて垂らす「綾笠」をかぶった氏子の青年が田の耕作から刈り上げまでの稲作過程を演じる。
 悪霊を祓う「本太刀振り」や「長本太刀振り」などの呪師芸とあわせてその構成がしっかり伝承されている。「ほた小僧」と呼ぶ杉の束でこしらえた人形(稲魂)を祭りが終わった後に、神殿横の桜の木に結わえる。稲魂の神託である花の咲き具合でその年の作柄を知る。
 綾笠で顔を隠すのは、神様に顔を見せない、または神様の顔を見ないということらしい。
 ほとんどの台詞が理解できなかった。