別れ

ZX10との別れも近くなった頃、俺は走りに行くこととした。
最近まで1300Rのことでいい車両を探してたもんだから
あまり時間がなかった。

ZX10と最後のショートツーリングになるであろう。
今回のツーリングには俺なりの意味があった。

個人売買ではノークレームノーリターンが主義な俺は
少しでも安心してZX10を新しいオーナーさんに渡したい。
で・・・落ち着かないってわけさ。

ヘタレの俺はいつもエンジンに甘やかしすぎるので客先でご迷惑かける気がしたの だ。
今回のショートツーリングではその確認と仕上げにメータの撮影もして
閉めようという手筈である。

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     ショートツーリング
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2002年 1/12 夜中 俺は某所へ向けて出発。


出発
<<まだ暗いぜ!>>


 ZX10に移植したZZR1100のイグナイタが接触不良を起してるので
前日、配線を組み直したこともあり特にマシンは不具合もなく調子がいい。

低速からパワーが立ち上がっていく際の太いトルク、ノーマルのZX10じゃー多分味わ えないんだが
こいつがかなり気持ちよく俺の気持ちを煽る。

そして近所
ではよく通過する橋を渡る。
橋だけで長さは1,5km程あるだろうか、かなり長い橋である
信号はもちろんなし。

ここでアクセルを開けて行き250km/h前後で駆け抜ける。
 



こんな感じだろうか?
<<これは当日撮影した写真じゃないけどイメージとして
載せておいたぜ>>



スパートラップ皿なしのサウンドを聴きながらこいつのと別れを実感する。

まだまだ道中は長い・・・長い・・・
時間は流れ・・・
注)こんなスーパーペースで走り続けたわけじゃないぜ、これはたまたまのお祭り走 りだぜ。

マシンは快調に走っていた。もう距離にして150km以上はまったくの休憩なしで 走行したであろう。
がその時

トラブルとは突然やってくるものである
今まで大きなトラブルなんてなかったから予想外であった。
某高速道路にてマシンのエンジンがトラブルを起したのだ。
ヤバ過ぎる!

端にマシンをよせ
時間は早朝5:00まだ暗い。
「ヤバすぎるぜ!マシン持って帰れねぇかもしれねえ。」
無駄なことは承知でセルは生きてるから何度も蘇生を試みた。
やっぱダメだ・・・
次に周囲のクルマに手を上げて助けを求めたが
何台も通り過ぎていった。
携帯は持ってない(契約をやめた為)
「マジかよ」
策のないことに気づいた俺は200kg以上の鉄をボーっと見てた。

何も始まらない。
マシンを押すことにした。

まだ次のインターまでは狂うほど距離はあるだろう。もう完全にヤバイのはわかって いた。
マシンを押すしかない!なんとも無力である。
最悪な気分の中「歩いてたどり着けるとこなんて?」と想像だけ先に行ってしまう
・・・リッターバイクになると重さは半端ではない。

ある時小さなBOXを前方に見つけた!!

 



?
<<こちらの写真はトラぶった時に撮影!! >>
<<このBOXは何・・・ >>



とにかく期待した。
たどりついたのは1台のBOX 。
BOXを開けてみると 一般の回線にはつながらない特殊な電話機であった・・・

 



 


<<こちらは後日撮影、残念ながら事故現場まで出かけて緊急電話を撮影にはいけな い>>
<<そういうわけでこの電話は近所の東名で撮影>>



なんでもいい、自分の危機が伝えられれば。
そして・・・・
JAFのレッカーを呼んだ俺は近くのインターに下ろしてもらう。
そして帰りは助けに来ていただいた先輩に説教聞かされて・・・
 
 



壊れちまった
<<JAFのレッカー車に積まれたZX10 >>
<<もう俺の手には負えないって事だ!  >>



疲れた体で家に帰った。

バイクはぶっ壊れちまった。
万策は尽きた。
なんともいえない形で俺とZX10の関係はたった今終わっちまった。
たった今だ。
このあと新オーナーになる方にこの報告をしなければならない
何せこんなラストツーリングを敢行したなんて伝えてなんかいない。ため息だらけだ !

ダサダサ

ノークレームどころではない!いい迷惑である。
この後ZX10は現状の壊れたまま新しいオーナーさんの好意で引き取って行かれて
俺と相棒とは完全なお別れとなった。
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そして・・・そして・・・

時間は経過した。

嫌な悪夢は脳裏から消えかけた。

町を歩いてると1台のビックバイクの排気音を耳にした。
音の主が気になり振り返る。カワサキの旧車である。
見たことはある気がするが少し雰囲気が違う。

そのマシンは良く磨かれ調子良さそうにエクゾーストを奏でる。
ん・・・その場の空気で一発で閃いた。
過去の俺の相棒だったマシンが蘇生したのだ

同じ町のバイク乗りだから姿を目にすることもあるのだ。
世の中面白いものだ。
息を吹き返して現在も活躍中なのである。
ホント面白いヨ。
あっはははは・・・元気で良かった。ありがとう。

俺はというとバイク環境は大きく変わっていた。
自分の手元に原付以上のバイクがなくなってしまったのは何年ぶりだろう。
そんな期間を経て・・・

・・・・



規制前の1300R隼を所有したのだ。
大きな事故さえなければ今後も俺のバイクライフは続くのだろう。
相棒は1300Rとなった。
でもZX10との長い道のりはいろいろ複雑でややこしすぎたこともあるが
苦楽をともにしたからこそ友だからこそ
忘れることはないだろう。

 
 



新しい相棒さ
<<俺はGSX1300R隼のオーナーとなった >>



「ZX10、こんな素敵なバイクはそうザラにはないぜ!」
    「自慢してすまねえな。」     
       ***
 
「ZX10の部屋」今までお付き合いいただいてホントにありがとう
バイクは相棒だぜ                  

               完

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H14.7. byよっちゃん