アナログ音源をMP3に圧縮してCD-Rに焼く
アナログ音源をデジタル化してMP3やWMAに変換、さらにCD-Rへ焼く用途としては長時間録音テープを1枚にまとめる他に、実用としては語学の勉強用にカセットで録音された教材や放送の録音をまとめてデジタル化、CD-Rに焼いて通勤・通学時に聞く事もできます。教材テープは多いモノは何10本にもなってしまう場合があり、しかも目的の箇所がなかなか見つからないのでMP3にしてCD-Rに焼いておけば非常に有効に利用できます。

ここではカセットテープに録音されて順次送付されてくる語学教材、学校での講義録音などをPCでMP3に編集後、何回かに分けて1枚のCD-Rに追加して焼いていく焼いたCD-Rを通勤・通学の乗り物の中で再生できるポータブルプレーヤーで聴く、といった使い勝手を念頭に入れたCD-R制作方法を紹介していきます。

POINT
■最初にすべてを焼くか追記するかを決定しておく
■圧縮サイズをあまり上げすぎない
■MP3やWMAは「ギャップ調整」の概念は無い
■フォーマットはISO9660にしたほうが無難
MP3のままで焼くのは「データCD」形式。「音楽CD」形式でMP3を焼けるソフトがあるがCD-DAフォーマットに変換されてしまう。
■PCでCD-Rのマルチセッションにアクセス可能か確認しておく

MP3を焼いたCD-Rが再生できるポータブルプレーヤー
MP3プレーヤはメモリ型が主流ですが、CD-Rに焼いたMP3等を再生できるポータブルプレーヤーも発売されています。
メモリ形は容量に限界があり、しかも価格が高いのでちょっと手を出しづらかったのですがCD-R再生タイプは専用メモリが不要ですので2万円弱の価格で販売されています。

代表的なものとしてAIWAやKENWOODからプレーヤが発売されています。いずれも音楽CD・MP3・WMA(KENWOODのみ)のマルチ再生ができます。さらにCD-RW(パケットライトは不可)で書き込んでも再生できるというのが特筆すべきところでしょう。

特徴・注意点
以下はKENWOODサイトに記載されていたCD-R再生についての注意事項、Q&Aの中からデータCDとしてCD-R化する場合のチェックポイントをまとめたものです。PC用のジュークボックスソフトと異なるのは@ADEですので、今後ポータブルプレーヤの購入も考えている方はCD-Rに焼く場合にチェックしておきたいポイントです。

@ファイル数に制限がある
KENWOODは200までと制限があります。
PCでの再生では容量まで曲数制限はありません。

Aファイル名に和文は使えない

英文・指定の記号のみです。PC用ではタイトル・曲名とも和文で表示できるジュークボックスソフトは多数有りますが、今後も和文表示できるポータブルプレーヤの登場は難しいかもしれません。Dのフォーマット方式にも関連しますがファイル・フォルダ名は英文で8文字以内でつけておいて、TAG情報にアーチスト名やタイトルを別に表示もできるようですので、TAGで内容の詳細は処理しましょう。

Bマルチセッションに対応している
Cフォルダをセレクトできる

上記はCD-Rへの焼き方と保存面で大切なポイントですので新しいプレーヤが登場した場合には必ずチェックしたい部分です。

Dフォーマットには注意が必要

データCDのフォーマットは国際規格のISO9660で規定されています。ISO9660(Level1)ではCDの互換性を保つためファイル名は8文字+拡張子3文字の制限があります。
一方Windowsでは拡張フォーマットとして64文字までファイル名を扱えるJoliet(ジュリエット)も採用しているためWindows用焼きソフトでは必ずJolietに対応しています。

KENWOODはRomeoやJolietなどの拡張フォーマットは含まないという事です。今後色々なプレーヤが登場してロングファイル名の使用は可能になると思いますが今のところはISO9660で焼いておく方が無難だと思います。


E高いビットレート(低圧縮)だと音飛びが出る場合がある

AIWAは32〜192Kbps、KENWOODは32kbps 〜320kbpsまでのビットレートが再生可能。ただしKENWOODも192kbps以上のビットレートで記録されたファイルの場合、音が途切れる場合があるという事です。

CD-Rに焼く前の準備
圧縮ビットレートの確認
圧縮ビットレートを下げればたくさん保存できますが音質劣化、ジッタの増加になります。
逆に上げても聴感上、容量ほどには高音質になるとは限らないのでMP3であれば96k〜128kがオススメです.。
学習用の録音ではもうすこし下げても良い。ポータブルプレーヤ再生を考慮して192Kbps以上に設定しないことがポイント。

ファイル名とタイトル

WAVファイルの段階でファイル名をソートできるような数字No.入りで付けておくのが基本です。ポータブルプレーヤ用を考慮する場合には英文か自分で判る符号を付ける。ロングファイル名を付けてもISO9660に設定すると「アナログ音源再生計画」→「アナロ~1」とかいう名前になってしまいます。MP3はTAG情報にアーチスト名やタイトルを別に入力して表示できますので、ファイル名はごく単純化しておく事。

フォルダを作ってファイルを整理する
ファイルはベタに焼いてもいいのですがMP3などのように数が多くなると判りづらい。
そこでアーチスト別とかアルバム別、教材では単元別などにフォルダをあらかじめ作っておいた方が絶対に良い。

■PCでマルチセッションにアクセス可能か確認しておく
PCにCD-ROMやCD-Rドライブが付属していてもマルチセッションCD-Rはそのままでは最後のセッションしか読みとれません。

 上記のポータブルプレーヤではマルチセッションの再生に対応しているようですがCD-Rドライブにバンドルされている焼きソフトでは、そのすべてがマルチセッションCD-Rの全てのセッションにアクセス可能かどうかはわかりません。
 さらにEasy CDのStandard版ではセッションセレクターというソフトが付きませんがこのページの最後の図にあるようなエクスプローラでのセレクトが可能か確認しておりません。

データのバックアップのために追記する場合は前のセッションが読めなくても別段構わない場合も多いが、音源ファイルでは別のデータを追記することになるのでセッションをセレクトできないと非常に不便です。

 以下のCD-R焼きの設定は全てのセッションにアクセス可能なことを前提としていますので、一度下記の要領でテスト書き込みを3回以上行い前のセッションが表示可能か確認しておきましょう。

MP3ファイルのCD-R焼き
上記の設定で1枚のCD-Rへ保存するイメージができあがれば、あとは「データCD」形式で焼くだけですが圧縮ファイルでは音楽CDの10倍以上1枚に収まりますので相当、容量に残りが出てしまう場合が多いでしょう。

特に教材などは毎月新たなカセットが送付されて来る場合があるので、その都度カセットから録音して追加していきたい。

音楽CDと異なり「データCD」形式ではセッションをクローズしてもCD自体をクローズしなければ順次追加して容量が一杯になるまで焼くことができます。そこで、ここではマルチセッションでCDを焼くことを前提に設定を行います。

下の図(EC-1)はEasy CD4での設定例です。Easy CD5や他のソフトをお持ちの方も以下の図の黄色枠で囲んである設定をすれば基本的には同じ作業でできます。

@
Easy CDを起動後、ファイルメニューから「CDレイアウトの新規作成」「データCD」を選択します。特に注意したいのは「音楽CD」を選択してもEasy CDのバージョン4.0以降ではMP3ファイルが焼ける事です。「音楽CD」に設定した場合はMP3ファイルではなくCD-DAフォーマットに変換されて74分又は80分までしか記録できませんので混同しないように。

CD-Rへ焼くファイルを選ぶ前にファイルメニューから「CDレイアウトのプロパティ」で下記の画面を表示してファイルシステムを「ISO9660」に設定、「前のセッションを自動的にインポートする」のチェックをはずします。

注:Easy CDのStandard版ではセッションセレクト機能が付きません。PCでの再生が主な場合には「前のセッションを自動的にインポートする」にチェックを入れて、自動的に前のセッションのファイルをインポートしないと一番最後のセッションしか再生できません。
EC-1

Easy CDのデフォルトではJoliet、インポートするにチェックが入っています。

A次に焼きたいファイルのフォルダーを指定して下記の図の右下にドラッグ&ドロップすれば自動的にフォルダー内のファイルがインポートされます。
下図のように長い名前はISO9660に設定すると8文字に変わってしまうので、見分けがつかない場合は自分で判りやすい名前にします。
EC-2

長い名前は強制的に8文字に自動的に変わってしまう。↑
ファイル名はMP3の変換元のWAVEから引き継がれるので再度ファイル名をつけ直すのがいやなら、そのままでも構わない。

BあとはCD作成ボタンを押し下記のセットアップ画面で「トラックアットワンス」「セッションをクローズしCDをクローズしない」を選び、OKボタンをクリックすれば焼きが入ります。
EC-3
以上は、今後このCD-Rへセッションを追加していく焼き方です。MP3の場合はディスクが満杯になるまでCDはオープンにしておいて構わないと思います。

なお、MP3やWMAは音楽CD形式とは全く異なるので、曲間のギャップ調整という概念がありません。DAOで焼いたからどうなるというものでもありません。そのためにライブ録音を1曲ごとにMP3ファイルとしたものをとぎれなく再生するという聴き方は不向きです。

C次回追加する場合はEC-1・EC-3の画面で「デフォルトとして設定」をクリックしておけば同じ設定で焼けます。
なお追記する場合は『CDがブランクではありません。新しいボリュームを追加しますか?』と聞いてくるのでそのままOKを押せばよい。

追記したセッションより前のセッションの再生
セッションをクローズして追記していくとPCでファイルを表示した場合、前のセッションは見えません。
 そこでCD-Rの焼きソフトには前のセッションが読める機能が付いています。例えばEasy CDのデラックス版には「セッションセレクタ」というソフトが独立して付属しています。

Easy CDをインストールするとエクスプローラの右クリックで「Select Session」が表示されマルチセッションのCDではそれぞれのセッションの切換ができます。
音楽CDのCD-DAフォーマットではないので、そのまま選んだセッションの曲をHDDにドラッグ&ドロップすればPCに再度取り込む事ができます。

上記のポータブルプレーヤーもセッションの切換ができる旨の記載があります。

※このソフトを利用しても前のセッションが読めない場合はCD-ROMドライブが古いもので対応していない事があります。この場合は前のセッションを最新セッションにインポートする必要があります。

図は#1〜#4まで4つのセッションを追加した例です。
エクスプローラで直接前のセッションのファイルを読みとれます。


(C)Fukutaro 2001.4. Last Update 2002.3

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