アナログ音源のPCデジタル化の概要 | ||
Part2では機器の接続からアナログ音源を音楽CDとして完成させるまでの手順をできるだけ詳細に説明していきます。初めてチャレンジする方は、機器の接続以下の頁をご覧になる前に必ずこの概要説明を一読しておいて下さい。 この頁ではPart2で扱う具体的手順の概要を説明します。ここでは触れていませんが、作業を行う前に再生機器とアナログメディアのメンテナンスを十分にしておく事が前提となります。 |
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POINT | ||
■作業は録音・編集・CD-R焼きの3段階に分かれる。一気に行う必要は無い。 ■各作業には専用のソフトが必要になる。 ■作業全体ではあらゆる「録音」の中で最も時間がかかる。 ■最初の録音で音質の良否がほぼ決定される。 ■最初はすべてのアナログソースをデジタル化して、CD-Rに焼いたらあらゆるCDプレーヤーで再生してみよう。 |
作業は3段階に分かれる | |||||||||||||||||||||||
作業は大きく分けてPC録音→編集→CD-R書き込みの3段階に分かれます。 MP3など圧縮ファイルをCD-R化するには編集後、変換作業が必要になる。 必ずこの順番でなければ音楽CDはできないのですが、必ずしも一度に行う必要は無く、レコードやカセットをまとめて録音しておいて、後日少しずつ編集してCD-Rに焼く方が現実的であるといえます。 STEP1 アナログ音源のデジタル変換〜ハードディスクへの保存 アナログ音のPCデジタル化とは (1)テープデッキなどのオーディオ機器で再生したアナログ信号を (2)サウンドカードか専用のオーディオデバイスを介して (3)WindowsPCの標準サウンドファイルであるWAVE(拡張子WAV)というファイルに専用ソフトを使用して変換、 (4)ハードディスクに保存する作業をいいます。 ※この部分が音質の良否に影響をあたえる最大のポイントになります。マシンスペックはそれ程必要は無いが最も時間がかかる作業です。 STEP2 ファイルの編集 ハードディスクに保存されたWAVEファイルをサウンド編集ソフトを利用して曲ごとに分割や編集を行い聴きやすく整形する作業です。 ※この部分は多くの作業をマニュアル(手作業)で行う必要があり、マシンスペックが最も影響する部分です。内容により時間もかかります。 STEP3 CD-Rへの書き込み・オーディオ圧縮 CD-Rのライティングソフトを利用してオーディオ装置や車載CDプレーヤーで再生可能な音楽CDをつくったり、MP3やWMAなどオーディオ圧縮して専用プレーヤーやPCで再生するまでの作業です。 ※この部分ではCD-Rのライティングに関する知識と記録メディアに関する情報が必要になります。マシンスペックもそこそこ必要です。 @デッキやレコードプレーヤ以外にモノラルのラジカセやウォークマン、さらにTVゲーム機など音が出るほとんどの機器と接続できます。 A音源の再生ができるPCなら入力端子も付いています。 BWAVEファイルへの変換は「録音用ソフト」で行います。CD-Rドライブ付属ソフトやフリーソフトを使います。 Windowsの「サウンドレコーダ」では時間制限があり使えません。 CWAVEファイルは1分で約10M強の容量と覚えておきましょう。ハードディスクの容量を喰います。 WAVEはアナログ信号を符号化してデジタルコードに置き換えたファイルでWindowsの標準設定ではサンプリング周波数44.1KHz、量子化16ビット、2チャンネルステレオの音楽CDと同質の無圧縮ファイルです。Windowsの起動・終了音でおなじみですが音が悪いと思う方は正常です。サンプリング周波数、量子化ビットとも半分のレートで録音されているファイルが多いためです。 このWAVEファイルをCD-Rのライティング・ソフト(当サイトでは「焼きソフト」と略しています)を利用して音楽CDのフォーマット(CD-DA形式)で焼けば手持ちのアナログレコードや録音テープがCDプレーヤーで再生できるようになります。 ■各作業にはすべて専用のソフトウエアが必要になる 上記の3段階の作業にはすべて別々のソフトウエアが必要になります。CD-R内蔵のPCには焼きソフトがプリインストールされています。また |
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基本的な手順 | |||||||||||||||||||||||
オーディオ機器を再生→PCでWAVEファイルに変換、HDDに保存する。 ↓ 保存したファイルを、PCで必要な修正・編集をする。 ↓ 音楽CDとしてCD-Rに焼く MP3などオーディオ圧縮により保存する。 このサイトでは以上の3段階に分けて説明してあります。 |
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アナログ→PCデジタル化のポイントと注意点 | |||||||||||||||||||||||
アナログ録音と音楽CDのPCへの取り込みの違いを理解できるよう、例として60分のカセットテープ(片面10曲ずつ、計20曲)と60分記録された音楽CD(20曲入り)を、PCへWAVEとして取り込んで、それぞれ曲の順番を入れ替えて60分のCD-Rに焼く場合を比較してみましょう。 |
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■アナログソースと再生機器が音質を決定する どんなにハイスペックのPCと高級サウンドカードを揃えても音質を決定するのは元のアナログソースです。録音状態の悪いテープやスクラッチノイズだらけのレコードを取り込んだあと、サウンド編集ソフト等で、ある程度聞きやすくする事はできますが、原音以上に良くはならないと考えて下さい。 再生機器の質も大きく影響します。とりわけレコードではカートリッジが決定的に音質の良否を左右します。さらに録音テープの場合は録音元ソースの音質と録音デッキの特性・テープの特性など複雑な要因が音質に影響をあたえます。 ■時間がかかる 取り込みは全て等倍速再生で行わなければならない。オープンデッキのように倍速再生機能があっても2倍のスピードで再生してPC側で等倍の速度に落とすなどという事はできません。しかも「ファイル分割機能」を利用できない場合は1曲ごとに取り込み→保存を繰り返す事になります。要するに時間がかかるという事です。LPレコード10枚を変換するには休日を丸1日つぶさなければなりません。 ■入力レベルの設定が必要 音楽CDの吸い出しでは必要のない録音入力レベルの設定が必要。録音ソースにより1回ごとにレベル調整しなければならない場面もあります。もっとも慣れてしまえば、FMやレコードからテープへダビングした経験のある方なら難しい作業ではありません。 ■ファイルが巨大になる 上記の表のとおりアナログ音源はテープ録音の感覚でそのままデジタル化すれば、片面30分のテープなら30分の1つの巨大ファイル(WAVEで約300M)が出来上がる事になります。上記例では20曲録音したはずなのに2つしかファイルは認識されない事になります。 ポップス系の曲では数曲がまとめて1つのファイルになってしまいます。1曲だけ聞きたい場合には非常に不便です。当然CD-Rに焼いたりMP3などに利用する場合も1曲ごとの頭出しができません。 そこでアナログ音源取り込みソフトには、たいてい分割機能が付いていて、曲間の無音部分を検知して自動的に1曲ごとに分割してくれます。ただしライブなどで無音部分が無い場合は分割できず、クラシックなどで一つの曲で極端に音の小さい部分があると1曲がいくつもの部分に分割されてしまいます。検知感度の調整をする必要があり、デジタル化の際の最難関ともいえる部分です。 ■修正(編集)が必要 できあがったデジタルファイルを聞きやすくする作業も必要になります。特に曲の出だしの録音時のクリック音や最後が切れる場合のフェイドイン・アウトは必須でしょう。さらにファイルが思わぬところで分割された場合の結合など、サウンド編集が必要になります。 WAVEファイルは非常に容量が大きいので編集には相当のPCパワーが必要。メモリー128M程度でも部分的な切り取りの際すぐ「クリップボードにコピーできません」とエラーメッセージがでてしまいます(-_-;) ■結局は・・・ ここまでの話は音楽CDとの比較です。時間がかかるといってもアナログレコードやCDをカセットやMDにダビングするのと全く同じです。「ハードディスクへダビングする」と考えれば難しい部分は何もありません。ファイル結合や分割もPCで行えばテープダビングの何十倍も早く正確です。 |
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覚えておくと役立つデジタルサウンドの基本 | |||||||||||||||||||||||
デジタル録音の原理は、連続している音の波形を切り刻んで標本化(サンプリング)して数字に置き換えていくというものだということは割合知られている事です。 米の数学者シャノンの原理によれば、信号の伝送上限帯域の2倍の周波数で信号を標本化(サンプリング)すれば、符号化された形式での信号伝送が可能であると数学的に証明しました。 簡単に解釈すれば、音であれば人間の可聴限度上限周波数は20KHzといわれていますから、上記の理論に従えば40KHzでサンプリングすれば人間の聞き取れる範囲の帯域はカバーできると考えられました。 あとはサンプリングした時点の音の強弱(振幅)をコンピュータの基本の単位(量子化ビット)に置き換えて記録する。 量子化ビットについてはオーケストラのダイナミックレンジが最大でも90dB程度という事で2の16乗の65536段階程度に分解すれば必要なレンジを確保できるという事で決められたようです。 そこでデジタル録音ではサンプリング周波数、量子化ビットという言葉が用いられています。 音楽CDは上記の規格でいうとサンプリング周波数44.1KHz、量子化16ビットと最終的に決められ、最大で12cmのディスクに75分弱の音源情報が収められる形式で発売されました。 しかも読み取りはアナログレコードと逆にディスクの内側から外へ向けて毎分500〜200回転でレーザーでトレースしていく形式です。アナログディスクが毎分33回転ですから、デジタル補正を考えなくともワウフラッターの存在をほとんど意識せずに再生可能であろう事は誰でも想像できます。 |
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NEXT STEP↓ | |||||||||||||||||||||||
■機器の接続とデジタル変換 ■必要なもの ■ノイズについての確認 |
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