デジタルメディア関連 アナログ音源再生計画



EasyCD5 PLATINUMの個人的な使用感

この記事はPart2「用意するハード・ソフト」についての補足内容です。

WinCDR、B'sRecorderと並んで市販の統合型CD-Rライティングソフト(焼きソフト)の代表格であるEasyCD Creatorはバージョン5よりAdaptecからROXIOに販売先が移行され起動時の外観も大幅に変わりました。
 そのため新バージョンのEasyCD Creator5 PLATINUM(以下EasyCD5)は、以前のバージョンを使用している方にとっても、まったく異なったソフトのような印象を受けるようです。

統合型の焼きソフトは結構PCや焼き機とのトラブルが多く、新バージョンが出ても「現在の環境で安定して焼けるか不安だ」という理由でそのままにしている方もいると思います。
 そこで前バージョンからの移行を考えている方、他のCD-Rライティングソフト(焼きソフト)を使用していて、機能の違いがあるのか知りたいという方向けに気づいた点をレポートします。

すでにVer5になって半年以上経過してますのでWindows2000へのインストールを試した部分についても若干掲載しました。(この記事掲載時点ではVer5.02にアップデートしたものを使用)

この記事は主として当サイトでも操作方法を紹介しているサウンドファイルについてEasyCDでの処理に関する部分に限定しています。EasyCD5の機能の全体像を紹介する内容では無いことをご理解下さい。あくまでユーザーとしての個人的な使用感のレポートです。
 主な仕様や前バージョンとの搭載ソフトの比較・変更は直接ROXIOのEasyCD5のサイトをご覧になればわかります。特に自分のPCやCD-Rドライブの適応要件やバグの状況などを確認して下さい。

サウンド関係のソフト・当サイトで取り上げているソフトの構成
表1
音楽CDの作成 −−→ SoundStream SpinDoctor
| SoundEditor
データCDの作成 |→ Music CD project EasyCD Creator
ビデオ(フォト)CDの作成 |→ mp3 CD project EasyCD Creator
●CD Copier

利用している方は御存知でしょうが、EasyCDは「EasyCD Creator」という焼きソフトを核とした複数のソフトのコンポーネントの総称です。そのため、ソフトにより操作性に若干のバラツキがあり、初めて使う方にとっては扱いづらい部分がありました。バージョンを重ねるにつれて改善されていきましたが、5になって逆に構成が判りづらくなった部分もありました。

EasyCD5のサウンド関係のメニューは上記表1の薄紫の部分、黒の太字が起動するソフトになります。
 メインとなるのが録音用の「SoundStream」、CD-R焼き用の「EasyCD Creator」になります。
 この2つのソフトはいずれも録音・焼きの両方ができるのですが、アナログ音源の録音に関しては「EasyCD Creator」ではできません。録音とCD-R焼きの可・不可は下記の表2を参照して下さい。

表2 :◎は特に中心となる機能です。
ソフト名 音楽CDの録音 アナログの録音 CD-R焼き
EasyCD Creator ×
SoundStream Spindoctorで行う
Spindoctor ※1 SoundStream
で行う
SoundStream
で行う
SoundEditor × ×
CD Copier ※2 ×
※1.SoundStreamの付属機能
※2.CDの丸ごとのコピー機能のため編集はできない


インストール時の環境について
−1台のPCへの別バージョン・ソフトのインストール−
管理人は、初めて購入したCD-Rドライブ(焼き機)にたまたまEasyCD(DELUX版)がバンドルされていたので、Ver3.5から使用していました。2001年春にすでにバージョン5になっていたのですが、3.5から4.0へのバージョンアップとちがい、かなりイメージ(外観)が異なっていたので、当サイトでの掲載などについても、どうするか迷った末Ver4と併用という方法を採ることにしました。

そのため今回EasyCD5はWindows2000Pro(以下Win2k)へインストールしました。仕事の都合上1台のマシンへWindows98と同居させデュアルブートさせる環境へ移行したため焼きソフトも便乗しました(^^;
 最初トラブルが多かったWin2kと焼きソフトですが、現在の主なソフトはいずれも対応しています。


−インストール条件について−
管理人が購入したEasyCD5はEasyCD4購入者の割引特典アップグレード版で直接ROXIOから送付されたものです(Ver5.0)。この版は以前のバージョンがインストールしてなくても入りました。V3.5から4へのアップグレード版(市販)では以前のバージョンのEasyCDがPCに入っていないとインストールできないので注意が必要です。

またアップグレードでは以前のバージョンが入っている環境では上書きされるので、それを避けるため別OSへのインストールにした訳です。

−気になるバグは?−
焼きソフトのバージョンアップで最も心配するのが「今まで安定していた焼きやOSの作動がおかしくならないか?」という事です。Ver3.4から4.0へのバージョンアップの時はブラウザ(ネスケ)の日本語表示がおかしくなった経験があります。
 今回もVer5.0で発見されたバグ解消のアップデートプログラムがROXIOのサイトに置いてありますのでVer5.02を持っている方以外はアップデートすべきでしょう。

−Windows2000インストールの問題点は?−
Win2Kへインストールした場合、OS起動時に外付けの焼き機をONにした場合に限ってEasyCD5のアイコンの表示だけが遅くなるという現象が管理人のPCではありました。自分がよく使う機能で今のところ特別不具合は感じられないが、かといって、より安定性が増したと実感できる場面も未だありません。

またWin2kへはパケットライトソフト(DirectCD)はインストールしませんでした。CD-RWをほとんど使わないという事と、知人がパケットライトソフトのインストールでPCの不具合を生じた話を聞いたからです(Win98とDirectCDは特に問題無かった)

Win2kと同じNTカーネルである次期OSのWindowsXPにはCD-R焼きソフトの機能まで標準搭載されるとか?
 これは「ロキシオがMicrosoft Windows XPに基本的CD作成機能を提供へ」という記事でも一部紹介されています。
 最終的にはどうなるのか不明ですが、もし実現すれば市販ソフトとの競合(販売面でもPC内の同居による相性でも)が非常に気になるところではあります。


−2種類以上の統合型焼きソフトの同居は敬遠した方が安全か−
ネット上の別サイトの記載情報や書籍などでは、複数の焼きソフトをインストールした場合、不具合が生ずるという報告があります。
 問題なくどちらも使えるという話しも聞いたことがありますが、個人的には同一OSへの同居は避けた方が懸命だと思います。

特にWinCDR、B'sRecorderなどはEasyCDと並んでもはや「焼きソフト」の範疇を超えて「統合ソフト」ともいえる存在ですので、焼き機との相性や共通ライブラリ(DLL)の競合、WEBブラウザの設定に係わる相互干渉問題などが生ずることは容易に想像がつきます。(パケットライトソフトも同様)

たまたま私は同一ソフトの別バージョンのインストールを試みましたが、複数の焼きソフトを利用する場合は、別OSを利用する方が安心でしょう。同一OSでもBootMagicなどのユーティリティを利用する事によりマルチブートにして異なる焼きソフトを入れるようにすれば確実だと思います。

外観と使いやすさ
最も大きく変わったのが起動直後の外観です。(図1)ビデオ編集ソフトや音楽再生ソフトを意識したような外観になった。

EasyCD5のアイコン(プログラムをインストールするとWindowsのデスクトップのタスクバーに表示される)をWクリックした場合起動する「プロジェクトの選択」画面で、表1のような構成になっています。
 以前のバージョンでも同様の導入画面(CreateCD)がありましたがEasyCD5では「メインメニュー」的な性格をはっきりと打ち出している感じがしました。

図1 メイン画面

※それぞれの作業を終了すると再びこのメニューに戻るので
ショートカットを作って単独で起動する方が良いかも?

※この画像は800×600ドットで表示した場合の大きさです

−カラーモードの設定はハイカラー以上でないとうまく見えない−
外観は非常に洗練されたように見受けられるが、画面の色数は256以下ではよく見えない。もっともOS自体16bitハイカラー以上の設定でないと見づらい画面もあるので、特に問題は無い。(今時256使うなんて事ないか(^^;)

デスクトップが背景に見えてしまうのは好みが分かれるが私は好きでは無い。同じサウンド関連のソフトとはいえ「再生」ではなく「作業」が中心になるので丸みを帯びたデザインより四角いウィンドの方がフルサイズで表示できて操作性も良いと感じるのですが。。。

−メインメニューの起動と終了が煩わしい−
EasyCD5ではそれぞれのソフトをまとめた「プロジェクトの選択」画面が表示されます。初めて使う方にはわかりやすい設計ですが、この画面からそれぞれのソフトを起動し終了すると、再び「プロジェクトの選択」が表示されるのが非常に煩わしく感じた。
 
これはWindowsの「スタートメニュー」→「プログラム」からそれぞれのソフトを起動するか、それらのショートカットをデスクトップに作っておいて終了させれば問題ないのですが、せっかくの凝ったメインメニューが生かされない。
 録音など一仕事終えた後、即別メニューの「プロジェクト」に移る事は考えづらい。別メニューを行いたい場合は改めてメニュー画面を呼び出せばよいと思うのですが。。。


-800×600の解像度では画面表示に不具合がある-
CDの丸ごとコピー機能の「CDコピア」では800×600ではスライドバーを動かさないとスイッチが見えません。「EasyCDcreator」では文字が重なってしまう。「SoundStream」のオプションドロワー(SpinDoctorなどを起動させる画面)を表示すると画面の天地が一杯になってしまう(しかも最大画面設定、画面サイズの変更は不可)

マニュアルでは800×600ドット、色数256以上のディスプレーと掲載されているが1024×768以上の解像度に設定しないと不自由を感じる場面があります。管理人のような中年ユーザーは画面の細かい文字が苦手なので1024×768のサイズには抵抗があります。(^^;

サウンド関係のソフト
図2 SoundStreamの起動画面


SpinDoctorの起動は@をクリックして部分を表示させた後、Aをクリック。
または
をクリックしてメニューを呼び出す。単体での起動はできなくなった。
画面を1024×768ドットにしないとはみ出してしまう。


−SoundStreamは使い勝手が良い−

以前のバージョンから最も変わったのは「SoundStream」というソフトが追加された事です。以前は音楽CDからトラックを選択してHDD録音する場合は「SpinDoctor」を利用する事が多かったのですが、EasyCD5では「SoundStream」を利用して吸い出しをします。いわば、このソフトが録音の中核となり、その一機能として「SpinDoctor」は完全にアナログ録音専用のシステムになりました。しかも「SoundStream」からでないと起動できない(プログラムとして独立していない)ようになりました。
 
「SoundStream」の機能は音楽CDから、好きなトラックだけを選んでHDDにWAVEファイルとして保存する(保存先はCD-Rも選べる)のが主な用途ですが前バージョンの「SpinDoctor」に比べ、その場で保存フォルダの新規作成ができる、ドライブへのアクセスとトラック情報の取得が速くなった事など使い勝手が向上しています。

図3 SpinDoctor

※実際はSoundStreamがバックに張り付いた画面になる。
録音先の設定は「SoundStream」の画面で行う。


−SpinDoctorは完全にアナログ録音専用の機能に−
アナログ録音のメインとなる「SpinDoctor」ですが、上述したように「SoundStream」の一機能に取り込まれたため、「SoundStream」のメイン画面からでないと起動できません。録音先のフォルダ選択などが「SoundStream」のメニューで設定するようになっているためです。

「SpinDoctor」の外観は全く以前のバージョンと別物になりました(図3)。このうち最も便利になったのは録音ボリュームが着いた事です。前バージョンまでは直接音量コントロールで設定していたのが、ソフトの画面で調整できるようになったのは非常に便利です。

ところが、デザイン重視の外観になったせいかレベルメーターが小さくなりレベル設定がかえって難しくなりました。せめてメーターの上の「録音ソースの選択」の窓幅までは欲しかった。

アナログ録音で最も利用頻度が多いトラック分割、クリーニングの設定がメイン画面でできるのは一見して便利です。もっとも管理人はこれらの機能を録音時に使用することはありません。

EasyCD5を初めて使ってアナログ音源の録音をやってみようという方にとっては、機能がはっきりした分わかり易いが、設定以前にこの画面を出すのに苦労するかも知れません。


−サウンドエディタを探して起動するのはさらに難しい?−
波形編集ソフト「サウンドエディタ」は未だ本格的に使ってないのですが、一見して大きな変更は無いようです。このソフトはWindowsのプログラムメニューからは単独でも起動できるのですが、「プロジェクトの選択」画面には選択が無い。「SoundStream」「EasyCD Creator」から呼び出しも可能とはいえ初めてのユーザーには「SpinDoctor」以上にわかりづらいかも知れない。


−本体EasyCD Creatorはマイナーチェンジ−
メインのEasyCD Creatorですが、外観が若干変わった程度で、こちらで特に大きく付加された機能は少ないようです。ただDAOで焼く場合、全ての曲間を1秒とかに揃える機能が加わったのが便利です。もっともB'sRecorderなど他のソフトでは以前から実現している機能ですが。

図4 EasyCD Creatorでトラック間の設定画面を表示したもの

枠で囲んだ「トラックすべてに効果を適用」にチェックすると
ギャップ調整やフェード効果を全曲まとめて設定できる。


曲間のクロスフェードの設定も前バージョンからできますが、よりビジュアルに設定できるようになりました。また74分・80分メディアへの書き込みの残り時間の表示がわかりやすくなった。他にも細かい部分の改良がされていますが、あくまでもマイナーチェンジということろでしょうか。。。その分、前バージョンのユーザーが設定で迷う部分は少ないでしょう。


−複数のソフトで、できる作業が重複しているのは混乱の元−

これは以前のバージョンからの事ですが「音楽CDの吸い出し」と「CD-R焼き」はSpinDoctor(5ではSoundStream)とEasyCD Creatorのいずれのソフトでもできます(表2参照)。「統合ソフト」にありがちな事だがユーザー側からすると混乱を招きやすい。特に初めて使用する場合は「いったいどちらを使う方がいいんだ?」と迷ってしまう。

−CDの吸い出しスピードの設定機能を期待したのだが−
Ver4からCDドライブの吸い出し(読み込み)速度は、最初の1回だけソフト側で判定した後は自動的に「適正な」速度に設定されます(CD-Rドライブ、ROMドライブなどその機器毎に判定されます)。管理人のCD-Rドライブはオーディオトラックの場合7〜8倍が「適正」速度と判定されています。

ところが、この速度で読み込むと傷がついたCDでは音飛びがしてNGになる音源がある。特にレンタルCDなどは粗雑な扱いをされているので傷が非常に多い。このようなCDを吸い出すと等倍で再生するCDプレーヤーでは問題なくても、倍速が上がればそれだけエラーの確率が高くなる。

別のPCのROMドライブは、もっと遅く4倍が「適正」と判定されているので8倍でエラーのCDを4倍で吸い出してみると大丈夫というCDがほとんど。したがって適正速度を勝手にソフトに決められるのは「無傷のCD」を前提にしている現状では非常に不便でした。今回は設定が変更できるかと期待していましたが結果はNO。

焼きはドライブの能力で速度を変えられるのに、吸い出しが変えられないのは方手落ちではないか?大切なCDに傷を付けてしまって等倍でも音飛び寸前という状態のものを救済する場合を考えると不満と不安が残ります。

全体的な使用感について
個人的には「SoundStream」を中心に使い勝手は向上したと思いました。
ただ、サウンド関連の機能に絞っていえば、マイナーチェンジという感想です。EasyCD4から付加された機能の操作性の向上というところでしょうが、このバージョンが初めてのユーザーにとっては必ずしも使い勝手が良いといえるかどうかは疑問です。

最も大きな変化は3.5から4への時だと思います。この時点でTAOでしかできなかった丸ごとコピーがDAOでギャップ情報までコピーできるようになったこと、EasyCD CreatorのDAO設定でギャップ秒数を指定できるようになった事等、非常に大きな改良がありました。その点では「アナログ録音」または「音楽CD制作」をCD-R焼きのメインにされる方にとっては、特別大きな付加機能は無いという感じがしました。

そのためVer3.5以前のEasyCDを利用している方は「必ずバージョンアップすべき」だと断言できますがVer4を利用している場合は、好みになります。

いずれにしてもアナログ音源の音楽CD化では統合型の焼きソフトであっても役不足という場合が多いので、別の録音・編集ソフトを併用している方が多いと思います。そのためバージョンアップを考える場合は統合型ソフトといえども、あくまで中心となる「CD-R焼き」部分の機能や操作性を主に検討をすれば良いのではと思います。


※ここではMP3などオーディオ圧縮についての機能や使用感については未掲載です。
「Part2」本編の更新時に、この記事で扱った内容ともども追加掲載を予定しています。




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