デジタルメディア関連 アナログ音源再生計画 |
CD-Rの化学変化と保存の心得D040201
この記事はPart2「CD-Rへの保存のススメ」についての補足内容です。
CD-Rが3年でダメになった恐い話 | ||
●日経新聞の土曜版(日経プラス1)で『デジタル・スパイス』というコラムを毎週執筆している山根一眞氏が体験したCD-Rの変質について興味深い結果が掲載されていましたので紹介します。 山根氏はここで説明するまでもない著名な評論家ですが私は80年代に山根氏の「DTPの仕事術」という本を読んで影響され、当時車が買える程の金額のDTPマシーンを購入してしまったという罪深い御仁です(^^; ●氏の体験を要約するとCD-Rを焼いていて書き込みエラーが頻発するので記録面を見ると全体が汚れたように曇っており、調べてみると同じ品番(2000年に購入したTDKの台湾製造品)の未開封品及びデータ記録済みのものが全て同じ状況だった、というものです。 『長期保存にはデータをデジタル化し、CD-RやDVD-Rに記録するのがベストと信じてきた。それが三、四年でデータ消失の危機にひんするとは。−中略−同製品にデータを記録した覚えのある方、取りあえずチェックされますよう。』と結んでいます。この記事に対してTDKが調査した結果が翌週の同コラムに掲載されており、その内容についてはTDK自体のホームページにも掲載してありました。アドレスは下記のとおり。 http://www.tdk.co.jp/tjtem01/tem03000.htm 注:アドレスはリンクを貼っていないのでコピペして参照下さい。 『異常化学反応の原因は、ディスクを収める袋(スリーブ)にあった。スリーブは片面が半透明フィルムでもう片面が不織布だが、フィルムに混ぜた「帯電防止剤」の成分が盤面に作用したと考えられるという(その化学物質は揮発し残存せず)。』 ●山根氏は最初盤面のポリカーボネートの内側に製造過程でカビが発生したと考えたそうですが原因はディスク自体ではなく、その保存袋に混ぜた薬品が盤面に化学反応をおこさせたという結論のようなのです。 |
||
少し古いCD-Rをチェックしてみよう | ||
●CD-Rは太陽光(紫外線)に弱いことは良く知られていますが、その他にも一定の化学物質よっても侵されやすいという事なのでしょう。また、少し前にも当サイトをご覧の方から2〜3年前に焼いたディスクが読めなくなった、CD-Rというのは安定性が悪く永く保存できないのでは?というメールをいただいており、自分でも「本当に大丈夫か?」と心配になり早速古いディスクをチェックしてみました。 ●99年の6月頃の盤が最も古いもので4年半経過しています。現存するのはIMATIONのディスクで当時の製品は太陽誘電よりのOEMです。音楽ではなくデータを記録したものですが、問題なく読み込みはできました。2000年以前に焼いた音楽CDもランダムにチェックしたり再生してみましたが一応トラブルのあるものは発見されませんでした。 ●管理人の保有するCD-Rはほとんど太陽誘電製で、他のメーカーも購入当時MADE IN JAPANの盤(現在太陽誘電以外はほとんど海外生産品)で、唯一の外国産はKODAK(製造はメキシコ)だけで、これも問題なく認識されました。台湾産は激安品を買った事もありましたが、これらは全てデータ受け渡しに使って手許にはありません。 ●一応自分の手持ちのディスクではブランドを問わず不良品は見つかっていません。ひとまずは安心しているところです。 |
||
化学反応への対応方法 | ||
●今回の山根氏のケースでは保存用袋に混入した化学物質の反応による変質という事なので私達も、こうした事態に対処しなければなりません。 ●まず一番のポイントはCDケースです。私が当サイトでもオススメしている二重底の標準ケースのように記録面がケースに触れないように保管する、というのが最善です。 かさばるからと、盤面に触れるスリーブやビニールファイルに入れるのは避けなければなりません。とりわけビニルファイルは結露をおこす危険性もあります。 ●次に保管場所です。完全密閉した保管箱を利用する場合、その箱に用いられる塗料その他の薬品が密閉状態で悪影響を及ぼす可能性がありますので、材質には十分注意が必要です。現代の住居は塗料や接着剤など多くの化学薬品類を使用していますので、新築住宅や塗料のニオイの残っている新品の棚などに置くのも良くないのかも知れません。 ●最後に信頼できるブランドを使うという事。現在ではほとんどのメーカーが東南アジアなど海外で生産されているので、それが全てダメとは言えませんが管理人は安心感を買うつもりで国産にこだわっています。 ●デジタルデータ自体は劣化という概念はありませんが、それを記録するメディアには寿命があります。メーカーの発表する耐用年数はいわば人間の平均寿命のようなものでどんな状態で保存しても、その年数まで大丈夫という訳ではありません。メディアを元気で長生きさせるには保管方法やチェックなどメンテナンスが必要なことはいうまでもないでしょう。管理人も、この処ちょっと体調が悪いので、当然のようにメディカルチェックが大切だと実感してます(^^; 注:本文『』内の青色の文章は2004年1月10日・17日、日本経済新聞日経プラスワンのコラム「デジタル・スパイス」(文:山根一眞氏)より引用したものです。 |
||
TOP [一覧に戻る] |