チャドクガに気をつけて!!
 昨年に引き続き、本年も先週頃(7月半ば)より急激にチャドクガ(成虫)による皮膚炎が多発しています。チャドクガ(成虫)は夜外灯や蛍光灯に群がりますので、夜勤勤務者、コンビニの窓ガラス外側の掃除、外灯の掃除などで被害を受ける人が多く見られます。直接虫にさわらなくても、チャドクガの毒針毛の付着した段ボールやシートを運んだ際、盆踊りの機材の片付けの最中や、ナイターでのテニスやサッカー運動中、又昼間の運動でも衣類に毒針毛がついて皮疹が拡大する人などもいます。

チャドクガの形態
 チャドクガの幼虫は、ツバキやサザンカ、チャの葉を食べるので庭先、公園、街路、茶畑などに見られます。体長は25mm程あり群がって生息します。人を刺すのは目立って長い毛ではなく体中に50万本もある微細な毒針毛です(写真)。成虫は7〜8月と9月〜10月の年2回発生するのでその前後の幼虫の出現期に被害が多いといわれています。幼虫がサナギになると、その表面や繭に毒針毛がベタベタついていますし、雌の成虫は羽化すると腹の先に毒針毛をまとめて付けて飛び立ちそれを卵塊になすりつけます。そのためチャドクガは、幼虫だけでなく、脱皮殻やサナギや成虫や卵まで人を刺します。写真のように2cmくらいの大きさではねの先に2個の小さい黒点のある黄色っぽい蛾が危険な雌の成虫です。

症状
 チャドクガの毒性はドクガよりはやや弱いものの刺されるといつまでも激しいかゆみが残りそれが2〜3週間も続きます。幼虫(毒針毛)に触れても瞬間の痛みはあまりないですがまもなく痒みが始まり、掻けば掻くほど激しくなり、発赤して丘疹が生じます。3日目が最もひどく、体質によっては全身じんましん症状になります。時には目に入って失明した例も有ります(ドクガ)。

駆除方法
 冬の内に葉の裏に生み付けられた卵塊を探して除去したり、若齢幼虫のうちに発見して葉を切り取って踏みつぶすのが家庭では効果的な除去法です(孵化したばかりの幼虫は毒針毛を持っていない)。幼虫が大きくなると集団がいくつにも分かれ被害が木全体に及び除去は危険です。但し家庭用殺虫剤はほとんどの庭の毛虫に効果があります。夜間成虫が飛び込んだ場合、暴れさせず、出来るだけ早くぬれぞうきんなどでそっと捕りおさえて圧殺して捨てるか、さわらないように瓶に入れて捨てることが勧められています。殺虫剤をかけると苦悶してかえって毒針毛をまき散らすのでひかえたほうが良いです。

治療
 皮膚に毒針毛がついたと思ったら、その場所にセロテープを貼って毒針毛を取り、その後長く流水でこすらないようにして洗い流してください。手でこすったり掻いたりするのは最悪です。患部を冷やすことも症状緩和には助けになります。治療にはステロイド軟膏を塗り症状が強ければ抗ヒスタミン剤内服などの方法があります。痒みが強い場合や広範囲の場合は皮膚科への受診をお勧めします。

参考文献1:ドクガ 害虫相談 静岡県ペストコントロール協会
2:(社)農林水産技術情報協会 昆虫科学館 庭の刺す毛虫 チャドクガ
3:皮膚疾患を起こす虫と海生動物の図鑑 皮膚病診療増刊号(通巻第266号)