Dermatology
皮膚の病気

虫さされ
富井医院 副院長
皮膚科専門医 富井直子

◆症状
 虫さされの症状は、虫の種類によって様々です。カ・ノミ・ナンキンムシ・ブユなどは、刺されるとかゆく、赤い斑(紅斑)が出来ます。よく見ると、赤い斑の中心には刺した点があります。そして、紅斑に小さな水ぶくれ(水疱)を作ったり、しこり(丘疹)を作ったりすることもあります。お尻の毒針で人を刺すハチ類では刺された瞬間に痛みが強く、大きく赤く腫れます。無数の微少な毒針毛を持った毒ガの類に触れると、翌日になってかゆい小さな赤いぶつぶつが沢山出来ます。いずれも、ほとんど1週間前後で良くなりますが、小さいお子さんの場合には、かゆみのため汚れた手でかきむしり、その傷から細菌が入ってとびひやおできになることもあります。

◆このような症状に要注意!
 カやノミなどの虫に刺された場合、ひどくても1週間前後で良くなりますが、腫れがひどくなったり、痛さが増したり、刺されたところ以外に広がったり、熱を伴うような場合には皮膚科を受診しましょう。
 また、ハチ類に何度も刺されると、刺されたところだけでなく、全身にじんましんができ、軽い悪心、嘔吐、不安、息苦しさに襲われることがあります。これは、ハチ毒に対する一種のアレルギー反応です。次にハチに刺されると、もっとひどくなりショック症状(アナフィラキシーショック)を起こすこともあるので、このような場合には救急対応の出来る医療機関の受診をおすすめします。尚、ハチ刺され事故による死亡者は年間40人にものぼります。


◆応急処置
 まず、刺されたところを清潔にすることが大切です。傷口を汚れた手でかいたり、こすったりしてはいけません。赤く腫れてきたら水で冷やすのも良いでしょう。
 ハチに刺されて、悪心、嘔吐、息苦しさに加え、目が見えない、耳が聞こえない、声がしゃがれてくる、全身の力が抜けてしゃがみ込んでしまう、などの症状が起きたら、ただちに医療機関につれていってもらいましょう。また、アンモニア水の使用は、濃度が高いとアルカリ熱傷を起こし、深い潰瘍が出来るので注意しましょう


 
◆虫さされの治療
 皮膚炎は炎症の一つですから、安静、冷却、皮膚の清潔を保つのが基本です。かゆみがひどい場合には清潔にしてステロイド(副腎皮質ホルモン)軟膏や抗ヒスタミン軟膏を塗りましょう。体温が高くなるとかゆみも強まりますので、この時期の長風呂は避けて下さい。2〜3日しても治らず身体全体に広がっていくようであれば、専門の皮膚科を受診しましょう。

◆予防と対策
 虫の多い季節に野外に出るときは長袖の着用を心がけましょう。特にハチを避けるには、黒い衣服やひらひらした洋服を着ないこと、香水やキラキラ光るものを身につけてはいけません。白い洋服を着ると良いと言われています。
 カなどには市販の防虫スプレーが効果的です。シラミは小学校や幼稚園、保育園などで感染するので、各施設長に通報し地域ぐるみでの対策が必要です。
 イエダニやワクモなどの発生を防ぐにはネズミの巣、鳥の巣を取り除き、跡には殺虫剤を撒きましょう。
 ダニに刺されたと思う人のほとんどが、ダニに刺されたのではなく、他の皮膚病です。わからないときには皮膚科を受診し、専門医の診察を受けるようにしましょう。


参考文献:
田辺製薬株式会社
 「皮膚炎の知識 虫さされ」より 抜粋