撃破される護衛機
中尉!長官を、長官を!
やらせはせん!断じてやらせはせんぞ!
敵機を撃破する森崎中尉機
ランファイア大尉!1番機を狙え!
出撃機を見送る山本五十六連合艦隊司令長官
昭和18年、南太平洋の大空は、血で血を洗う大規模な航空戦の坩堝と化していた。
日本軍、アメリカ軍共に、航空兵力の持てる全力を賭け、ソロモン群島に熱い火花を散ら
していたのである。時の連合艦隊司令長官は、山本五十六提督。対するアメリカ軍は
C・ニミッツ提督である。
過酷な航空消耗戦を続けるパイロット達。山本長官は、自らの生命を危険にさらすとも、
将兵達を励ますべく、最前線と言う死地に赴く決意を固めたのである。
「山本長官来たる!」 この報せを東南艦隊より、作戦特別緊急電報で受け取った最前線
の将兵達は、生ける軍神の訪問に歓喜の声を上げた。時に4月13日、本土では桜の花
が散り、本格的な春を迎えようと言う時であった。
だが、日本の将兵達の歓喜とは裏腹に、眉間にしわを寄せ考え込む面々があった。それ
は、先の電報を傍受し、暗号解読された報告書を前にしている、時の海軍長官F・ノックス
である。「本当にヤマモトは来るのか!?」 C・ニミッツ提督でさえも確信が持てない。
しかし、遂に賽は投げられた!
現地のハルゼー提督に、「ヒット・ザ・ヤマモト」と言う指令が発せられたのである。
斯くして、在ガダルカナル飛行隊P38 18機による、山本長官機攻撃隊が発進した。
昭和18年4月18日、ブーゲンビルの空は、いつものように穏やかだった・・・。
双頭の悪魔 P38J戦闘機
ガダルカナル基地を発進する襲撃隊16機
長官乗機となる一式陸上攻撃機
護衛に発進する零式艦上戦闘機
長官をお護りするのだ!
山本長官を迎え、歓喜に湧く搭乗員
迎撃に向かう護衛戦闘機
編隊に突入するミッチェル少佐機
くそっ!待ち伏せだ!
必死に回避行動を取る長官機
肉薄する襲撃機
長官機に銃撃を浴びせる襲撃機
捨て身で、敵の射線に割り込む護衛機
SHIT!邪魔だ!
被弾炎上する長官機
海まで、なんとか海まで・・・!
これで、ジ・エンドだっ!
レック!トドメを刺すんだ!
1943年4月13日午前7時35分
ミッチェル少佐率いる山本長官機襲撃部隊は、ブーゲンビル上空
において、狙い通り、山本五十六連合艦隊長官一行を襲撃するこ
とに成功した。
日本軍護衛戦闘機隊6機は、敵支援部隊(戦闘機駆逐)12機を
相手に奮戦したが、その力及ばず。
その間隙を突いて、攻撃部隊4機が長官機および宇垣参謀長機
に襲いかかった。
宇垣機が、回避行動を取っている時、失速しながら被弾炎上する
長官機が目撃されたのが、下の最後の場面である。
時間には、決して遅れることが無かったという山本長官の信条が
待ち伏せ攻撃をして成功せしからめた運命の皮肉はどうであろう。
なお、同時に襲撃を受けた宇垣機は海上に逃れ、参謀長以下3名
が救出されている。
巨星墜つ!
アメリカという国を知り、また誰よりも飛行機の持つ能力を認め、
巨大な空母機動部隊、そして航空部隊を育成した山本提督。
真珠湾攻撃という、戦史史上空前の奇襲作戦を成し遂げた偉大
なる作戦家。更には、自殺兵器を断じて認めず、官の上下を問
わず、人という無限の可能性を大切にした提督。
敗戦間際、山本提督が生きていたら・・・むざと神風特攻隊によっ
て、明日を担う若者が命を散らす事は無かったのではないか?
自らが求め、そして育てた大空で散華した事は、我が意を得たり
の思いであったのだろうか?