| (36)一人一人年金の原則 |
同一人に2以上の年金の受給権が発生したときは、2以上の年金を同時に受給することはできません。これを一人一年金の原則といいます。従って、国民年金から支給される年金給付(受給権者が65歳に達している老齢基礎年金及び付加年金を除く)は、その受給権者が同じ国民年金の他の年金給付(付加年金を除く)、又は被用者年金各法の年金給付を受けることができるときは、1つを選択受給し、他の年金給付は支給停止されます。
実務的には、2以上の年金が支給されるときは、いったんすべての年金を支給停止し、受給権者が希望する年金について支給停止の解除を申請します。すでに支給されている年金給付がある場合は、特段の申出がなければ、その年金が引き続き支給されます。(新たに支給されることになった年金給付の額が多い場合でも、今まで支給されていた年金が引き続き支給されますので注意が必要です。)
また、年金給付選択の申請は、いつでも、将来に向かって撤回することができますので、万一金額の少ない年金を選択してしまった場合でも変更することができます。社会保険事務所に相談すれば年金の額を教えてもらえますので心配はいりません。 |
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| (37)国民年金内での調整 |
国民年金のなかでも次の通り調整が行われます。
| (1) |
支給事由の異なるものは併給されません。具体的には、老齢を支給事由とするものと障害を支給事由とするもの、老齢を支給事由とするものと遺族を支給事由とするもの、障害を支給事由とするものと遺族を支給事由とするものは併給されません。 |
| (2) |
老齢基礎年金と付加年金は併給されます。 |
| (3) |
2以上の障害基礎年金は併合認定し、1つの障害基礎年金に統合されます。(従来の障害基礎年金の受給権は消滅します。) |
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| (38)国民年金と被用者年金との調整 |
国民年金と被用者年金の調整は次の通り行われます。
| (1) |
原則として、同一の支給事由の年金給付のみが併給されます。
具体的には、老齢基礎年金と老齢厚生年金、障害基礎年金と障害厚生年金、遺族基礎年金と遺族厚生年金は併給されます。 |
| (2) |
例外として、受給権者が65歳に達している場合は、支給事由が異なっても次の場合は併給されます。
| 1. |
老齢基礎年金と遺族厚生年金 |
| 2. |
老齢基礎年金と遺族厚生年金の3分の2と老齢厚生年金の2分の1(老齢厚生年金の2分の1と併給できる遺族厚生年金は配偶者に対するものに限られます。) |
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| (39)内払調整 |
受給権者が従来受けていた年金の受給権が消滅し、新たに他の年金の受給権を取得した場合にすでに従来の年金が支払われているとき、又は従来受けていた年金の支給を停止し、別の年金を支給すべき場合に従来の年金が支払われたときは、その支払われた年金はその後に支払われる年金の内払いとみなします。
支給停止期間に係る年金がすでに支払われているとき、又は障害基礎年金又は遺族基礎年金を減額改定すべき事由が生じたにもかかわらず減額しないで支払われたときは、その支払われた年金はその後に支払われる年金の内払いとみなすことができます。
厚生年金保険の年金たる保険給付を受けてきた者が、選択替えをしたことによって国民年金の年金給付を受けることとなった場合において、停止すべき厚生年金保険の年金たる保険給付の支払が行われたときは、国民年金の年金給付の内払いとみなすことができます。
なお、内払は、国民年金の中で、又は国民年金と厚生年金保険との間では行いますが、国民年金と共済組合との間では行いません。 |
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| (40)過誤払調整 |
年金給付の受給権者が死亡したため受給権が消滅したにもかかわらずその後の年金が支払われた場合で、過誤払を受けた年金を返還すべき者(返還金債権にかかる債務の弁済をすべき者)が自分の年金の支払いを受けることができるときは、その支払金の金額を返還すべき年金額に充当することができます。
過誤払は受給権者が死亡した後の調整ですので、遺族基礎年金との調整となります。また、充当は同一年金間だけであり、国民年金と厚生年金保険の間では返還金債権の充当はできません。 |
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| (41)損害賠償請求権との調整 |
政府は、障害若しくは死亡又はこれらの直接の原因となった事故が第三者の行為によって生じた場合において、給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得します。
受給権者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で給付を行う責を免れます。
死亡一時金については、損害賠償額との調整は行われません。また、慰謝料、医療費、葬祭費等は調整の対象とはなりません。
損害賠償との調整による年金の支給停止期間は最長で2年間です。2年経過後は調整が行われず、支給停止が解除されます。 |
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| (42)受給権の保護と公課の禁止 |
給付を受ける権利は、原則として、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることはできません。ただし、次の二つの例外がありませす。
| (1) |
年金給付の受給権者が、独立行政法人福祉医療機構の年金担保融資事業に担保に供することができます。 |
| (2) |
老齢基礎年金、付加年金、特別一時金及び脱退一時金については、国税滞納処分による差し押さえが認められています。 |
租税その他の公課は、原則として、給付として支給を受けた金銭を標準として課すことはできません。しかし、老齢基礎年金、付加年金及び脱退一時金には、租税その他の公課を課すことができます。(税金がかかります) |
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| (43)旧制度との関係 |
現行制度施行日の前日(昭和61年3月31日)に旧制度の障害年金、遺族給付(いずれも福祉年金を除く)の受給権を有している者には、障害基礎年金、遺族基礎年金は支給されず、旧制度の障害年金、遺族給付が支給されます。
初診日が施行日前であっても、障害認定日が施行日以後であれば現行制度の障害基礎年金(福祉年金を除く)が支給されます。大正15年4月1日以前に生まれた者又は旧制度の老齢年金等を受けている者(いずれも老齢給付は旧制度適用者)であっても、死亡日が施行日以後である場合は現行制度の遺族基礎年金(福祉年金を除く)が支給されます。
施行日の前日(昭和61年3月31日)において旧制度による障害福祉年金の受給権を有していた者のうち、施行日(昭和61年4月1日)において現行制度の障害等級に該当する程度の障害状態にある者については、障害基礎年金が支給されます。
施行日の前日において旧制度による母子福祉年金又は準母子福祉年金の受給権を有する者については、遺族基礎年金が支給されます。 |
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| (44)老齢基礎年金の支給対象者 |
これから当分の間、老齢基礎年金について説明していきます。
老齢基礎年金は次の者を支給対象としています。
| (1) |
大正15年4月2日以後に生まれた者(現行制度の施行日である昭和61年4月1日に60歳未満の者を対象とします。大正15年4月1日以前に生まれた者に対しては、旧制度の老齢年金が支給されます。) |
| (2) |
昭和61年3月31日以前に厚生年金保険、船員保険の老齢年金の受給権を有していない者。 |
| (3) |
昭和61年3月31日以前に共済組合の退職年金・減額退職年金の受給権を有していない者。 ただし、受給権があっても昭和6年4月2日以後に生まれた者(施行日に55歳未満の者)は老齢基礎年金の適用対象となります。 |
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| (45)老齢基礎年金の支給要件 |
老齢基礎年金は次の要件を満たす者が65歳に達したとき支給されます。
| (1) |
(原則) 保険料納付済期間と保険料免除期間を合算して25年以上 |
| (2) |
(特例) 保険料納付済期間、保険料免除期間と合算対象期間を合算して25年以上(合算対象期間については後の項で説明します。) |
保険料納付済期間は年金額に100%反映されますが、保険料全額免除期間(学生納付特例期間を除く)は3分の1、保険料半額免除期間は原則として3分の2が年金額に反映されます。しかし、合算対象期間は年金額に反映されません。(支給要件の期間のみ反映されます。) |
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| (46)保険料納付済期間 |
保険料納付済期間は次の被保険者期間を合算した期間となります。
| (1) |
)第1号被保険者期間(任意加入被保険者を含む)のうち保険料を納付した期間 |
| (2) |
)第2号被保険者期間のうち20歳以上60歳未満の期間 |
| (3) |
第3号被保険者期間 |
| (4) |
昭和61年4月1日前の国民年金の被保険者期間(任意加入被保険者を含む)のうち保険料を納付した期間 |
| (5) |
)昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの厚生年金保険・船員保険の被保険者期間及び共済組合等の組合員・加入者期間のうち20歳以上60歳未満の期間 |
ただし、厚生年金保険の第2号被保険者期間(20歳以上60歳未満)及び第3号被保険者期間のうち、時効で保険料が徴収できない期間は、保険料納付済期間とはしません。 |
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| (47)保険料免除期間 |
保険料免除期間とは、第1号被保険者期間のうち、保険料の納付を免除された期間(保険料全額免除期間と保険料半額免除期間の2種類があります)と、昭和61年4月1日前の国民年金の被保険者期間のうち保険料の納付を免除された期間をいいます。
学生納付特例(学生の間は保険料を免除される制度で保険料全額免除期間となります)は受給資格期間をみる場合には算入しますが、追納しないときは年金額には反映されません。従って、学生納付特例のみ25年以上あるいは学生納付特例期間と合算対象期間を合算して25年以上の場合は、老齢基礎年金は支給されません。 |
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| (48)合算対象期間 |
老齢基礎年金の受給権は保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間をあわせて25年以上あることが必要です。合算対象期間とは、国民年金の受給要件有無を判定する場合に、国民年金の被保険者であったとみなす期間をいいます。従って、合算対象期間は老齢基礎年金の受給資格期間には算入されますが、年金額を計算する場合にはその基礎とされません。
昭和61年4月1日以後の期間(新法の期間)での合算対象期間は次の通りとなります。(昭和61年4月1日前の期間における合算対象期間は、任意加入できた期間のうち被保険者とならなかった期間等複雑ですので、必要な場合は社会保険事務所に相談して下さい。)
| (1) |
国民年金の任意加入被保険者になることができる期間のうち被保険者とならなかった期間(第2号被保険者又は第3号被保険者期間及び60歳以上であった期間を除く) |
| (2) |
第2号被保険者期間のうち20歳前及び60歳以後の期間 |
学生は平成3年3月までは任意加入でしたので、任意加入しなかった期間は合算対象期間となります。(平成3年4月1日より強制適用となりました。) |
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| (49)老齢基礎年金の支給要件の経過措置(1) |
旧国民年金法(昭和61年4月前)の老齢年金には受給資格期間の短縮の特例がありましたので、新法(昭和61年4月以降)においても受給資格期間短縮の経過措置が設けられました。すなわち、次の要件に該当する場合は、老齢基礎年金は原則としての支給要件である25年に満たない場合でも支給されます。
(1)生年月日による特例
国民年金が発足した当時(昭和36年)31歳以上の者は、60歳に達するまでの期間が短いために、発足以降全期間国民年金に加入したとしても支給要件の25年を満たすことができない場合があります。これらの者にも年金が支給されるよう受給資格期間に特例を設けています。
昭和5年4月1日以前に生まれた者は、国民年金の保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が21年から24年以上あれば受給資格期間を満たします。学生納付特例期間は期間をみる場合には算入されますが、年金額には反映されません。
| 生年月日 |
期間 |
| 大正15年4月2日〜昭和2年4月1日まで |
21年 |
| 昭和2年4月2日 〜昭和3年4月1日まで |
22年 |
| 昭和3年4月2日 〜昭和4年4月1日まで |
23年 |
| 昭和4年4月2日 〜昭和5年4月1日まで |
24年 |
|
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| (50)老齢基礎年金の支給要件の経過措置(2) |
(2)被用者年金各法の加入期間の特例
旧法の被用者年金制度では、被保険者期間等が20年以上あれば老齢給付が支給されていましたので、新法においても特例を設けています。
大正15年4月2日から昭和31年4月1日までの間に生まれた者(昭和61年4月1日当時30歳以上)は、被用者年金各法(厚生年金保険、船員保険、共済組合等)の加入期間を合算した期間が20年から24年あれば受給資格期間を満たします。
| 生年月日 |
期間 |
| 昭和27年4月1日以前に生まれた者 |
20年 |
| 昭和27年4月2日〜昭和28年4月1日まで |
21年 |
| 昭和28年4月2日〜昭和29年4月1日まで |
22年 |
| 昭和29年4月2日〜昭和30年4月1日まで |
23年 |
| 昭和30年4月2日〜昭和31年4月1日まで |
24年 |
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| (51)老齢基礎年金の支給要件の経過措置(3) |
(3)中高齢の特例・第3種被保険者の特例
旧厚生年金保険では、40歳(女子35歳)以後の被保険者期間が15年以上あれば老齢給付が支給されていましたので、新法でも特例が設けられています。
大正15年4月2日から昭和26年4月1日までの間に生まれた者は、40歳(女子、船員、坑内員は35歳)に達した月以後の厚生年金保険の被保険者期間が15年から19年以上あれば受給資格期間を満たします。
| 生年月日 |
期間 |
| 昭和22年4月1日以前に生まれた者 |
15年以上 |
| 昭和22年4月2日から昭和23年4月1日まで |
16年以上 |
| 昭和23年4月2日から昭和24年4月1日まで |
17年以上 |
| 昭和24年4月2日から昭和25年4月1日まで |
18年以上 |
| 昭和25年4月2日から昭和26年4月1日まで |
19年以上 |
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| (52)老齢基礎年金の年金額 |
老齢基礎年金の年金額は794,500円(平成16年価格)です。
老齢基礎年金額はフルペンション減額方式をとっています。20歳から60歳までの40年間加入し、そのすべてが保険料納付済期間である者に794,500円(満額=フルペンション)が支給され、保険料納付済期間が40年に満たない者については794,500円からその不足する期間に相当する分の年金額が減額されます。
保険料納付済期間の月数が40年(480月)に満たない者については、不足する月数に応じて次の式により年金額が計算されます。
年金額=794,500円×(A+B+C)/480
A=保険料納付済期間の月数
B=保険料半額免除期間の月数×2/3
C=保険料全額免除期間の月数×1/3 |