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果て無き夢へ
果て無き夢へ登場人物


第七話  意味深な言葉







あんなに高い場所にあるボールを、フェンスを使っても届かないのは、レフトの廣瀬はすぐにわかった。
バランは、バットを放り投げ、ゆっくりとベース一周を始めた。
バラン:「(とてもいいシンカーだ。だけど、コースが甘い。隙を見せたな、ジョーベ)」
条辺は、スタンドインしたボールをずっと眼で追っていた。
自分のボールが、スタンドに入るのを見届けると、順調な立ち上がりを見せた初回の事を思い出した。
条辺:「(とにかく、後続を抑える)」
続く5,6,7番をまたしても連続三振に気ってとる条辺。だが、ドルフィンズは先制点を挙げた。
蔵田:「バラン、ナイスバッティングだぜ!相手の雑魚なんぞ、オレ様のキラースライダーでいちころよ!ひゃはははは」
蔵田はグローブをつけると、マウンドへと高らかな笑いをしながら向かった。








大西は詰まったあたりのサードフライ、続く川崎もセカンドゴロ。小坂もいい当たりを放つが、ショートの真正面なのでショートライナー。
蔵田はこの回を、わずか7球で切り上げた。
キラーズの3人は、打ち急いでしまったのだ。序盤、球数を多く投げさせれば、中盤から終盤にかけて体力の消耗が激しくなり始める。
だが、たったの7球では負荷も何もかからない。見事、蔵田の術中にはまったといってもいい。
蔵田:「ははは。雑魚が!どう足掻いても無駄なんだっちゅーの!!」







条辺も負けていられない。
3回表。8番打者をライトフライに打ち取る。
そしてバッターボックスに入るのは、ピッチャーの蔵田。
条辺:「(やろう・・・。散々ひどいことばかりやりやがって・・・)」
だが、蔵田は条辺の投げたストレートに対し、眼を瞑っている。
工藤はそれを察したのか、残りの2球はスローボールを要求した。
蔵田はチャンスボールがきたにもかかわらず振ろうとしない。いや、打つ気がまったくないのだ。
蔵田:「(今日のオレは、このチームをとにかくぶっ潰すことしか考えてないからな。バッティングなんて、どうでもいいのさ)」
審判が三振のコールをしても、蔵田は得意げな顔をしてバッターボックスを去っただけだった。
工藤:「くっ・・・(いやな奴・・・)」





1番打者をサードファールフライに打ち取り、条辺はこの回を終えた。
そして、蔵田は3回裏、この男と対戦することになる。







7番 ファースト 竹内







蔵田:「さっさと終わらすぞ!雑魚!」
蔵田は相も変わらずいやみな発言ばかりをする。
だが、投じられたボールはワンバウンド。明らかなボールだった。
蔵田:「次、行くぞ!」
蔵田は再び投げる。今度はど真ん中。
だが、修吾は振らなかった。じっとそのボールを見送っている。
キャッチャーの吉崎は、ボールをキャッチしたとたんに驚いた。
吉崎:「(い、今の失投なんですけど・・・。何で振らないのでしょう。この新人君は)」
だが、それ以上に驚き、その態度に怒りを感じたものが居る。
ほかならぬ、蔵田本人だ。
蔵田:「(にゃろう・・・。うざいルーキージャン?あれ振らないとか、神経クソやばいっつーの!!)」
蔵田はそういうなめられたことをされるのが大嫌いだ。まして、相手はキラーズ。
怒りはマックスになった。サイン無視で投げる。
蔵田:「上等だ!オラァッ!!!!!」
内角高め・・・それも、かなり修吾の顔面に近いゾーンへと投げた。
そう、キラースライダーを!!
蔵田:「テメェから視力を奪ってやるよ!生意気な小僧!!」
珂日:「修吾!あぶねぇよ!!」
珂日がベンチから身を乗り出して叫ぶが・・・
修吾はそれをじっと見つめていた。避けようとしなかった。
修吾:「腐った野郎には・・・」
ぼそっとつぶやいた修吾の言葉、吉崎は聞き取っていた。
修吾:「腐った野球しかできねぇよ!!」
むちゃくちゃな体勢だが、バットを出した。キラースライダーが変化し始めてからだ。
キャンプ中、そしてオープン戦、試合が終わった後、ひたすら打撃コーチとバッティングピッチャーの宮沢さんの指導を受けてきて培ったミート技術。
今の修吾は、カットの技術が十分にできるほどになっていた。
修吾の力は、着実に伸びていた。






ガシィッ!!







ボールはバックネットに突き刺さる。
つまりはファールボール。修吾は顔面直撃を自分の実力で防いだのだ。
珂日:「は、はらはらさせるなよな、あいつ・・・」
大西:「全く。心臓に悪いぜ・・・」
だが、その修吾の心意気をじっと見ている二人の人物。
川崎と、石原監督だ。
川崎:「修吾君、逃げませんでしたね」
石原:「むしろ戦いを挑んで行ったな。・・・熱い男だ。奴は」









蔵田:「はっ?死んだんじゃねぇのかよ・・・何でお前、ボール食らってないんだよ・・・」
蔵田の精神状況は不安定の中にあった。
この日のために用意してきた”とっておき”が、いとも簡単にカットされた。
蔵田:「冗談じゃねぇよ!!」
蔵田の投げたストレートはすっぽ抜け、今度は修吾の足に当たる。
修吾:「っぅ!!」
だが、修吾はまたも避けなかった。記録はデットボール。
コールドスプレーを吹きかけてから、修吾はネクストバッターズサークルの工藤に声をかけた。
修吾:「キラースライダー・・・。あれ、たいしたボールじゃないと想いますよ・・・」
工藤:「どういう・・・」
修吾:「ただ、曲がる量が多くなっただけです。・・・ちょっと痺れますけどね・・・」
そういい残して、修吾は一塁へと駆けていった。









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