パワプロについて
├パワプロとは何か?
├パワプロシリーズ検証
└登場人物紹介


掲示板
以下の掲示板は、左フレームのBBSのBBSメニューからもいけます。
パワプロ専用掲示板
連絡用掲示板


パワプロ小説
以下の小説は、左フレームのNOVELのメニューからもいけます。
果て無き夢へ
果て無き夢へ登場人物


第二十一話  際どいタイミング







タンッ・・・











修吾が、追撃の第一号ソロを放ち、キラーズは4点。3点差と迫る。
バットを拾った次打者の工藤とハイタッチ。バットを受け取って、ベンチへ戻る。
珂日:「よくやったぜ、お前!!」
ベンチから飛び出してきた珂日から差し出された右拳。
それに勢いよく修吾はあわせると、レフトスタンド一杯のキラーズの観衆が盛り上がる。
その後は、ベンチ前でチームメートの手洗い祝福を受ける。
そして監督に、頭を叩かれてベンチへと戻った。
すぐに水分を補給する。
修吾:「(打てた・・・これが、俺の初めてのホームラン・・・)」
オープン戦では、強敵・水瀬 海星からホームランを放っている。
だが、公式戦ではこれがプロ入り第一号ホームランである。
修吾は、打った自分の両の掌をじっと見つめていた。
何かに訴えるように、時折、その左手のリストバンドに目を落としながら・・・

















工藤凡退、ピッチャー田中もあっけなく三振。
林は、いいライナー性の辺りを放つも、梶浦のダイビングキャッチが飛び出し、あと少しのところでアウトになってしまった。
結局、5回表、キラーズは修吾のソロホームランで1点を加えただけだった。

















5回裏。
フェニックスは、クリーンナップを迎えることとなる。
3番、斉藤、4番には今日2ホームランの長井、目立った活躍はないが、パンチ力のある5番大牟田。
この3人に対し、ルーキーの田中は、2番手投手ながら、志半ばでマウンドを降りた仲間のために、抑えて見せると誓う。
田中:「(川口の分まで、抑えきって見せる。もうこれ以上の失点は許されない・・・)」
それはナインも同じ気持ちであった。
たとえ、ホームランになりそうな高い、フェンスを越えていきそうな打球でも、無理とわかってもジャンプしてやる、と。
ナインの心がひとつの想いに固まる。
そして、あの男がゆっくりと打席に入る・・・。






















3番、キャッチャー、斉藤・・・






















3打席連続ヒットのこの男。今日、すでに猛打賞。
なんという固めうち。それもこれも、培ってきたデータと己のバッティング技術があってからこそなせる業。
斉藤:「(努力をしないで打てたり、守れたりしたら、苦労はないとよ・・・)」
逆境の中を生き抜いてきたことのある斉藤だからこそ言えること。
何度も野球に挫折し、挑戦しては高みの壁に阻まれた。
だが、データと・・・ID野球と出逢ってその挫折は、大きな力に変わった。
高校時代の恩師、彼が斉藤にデータでリードし、データで打つ、データにのっとった野球を教えた。
もともと吸収力の早い斉藤は、僅か3ヶ月でそれをマスターし、もともとあったバッティング技術との相乗効果で、地元熊本では恐怖の捕手として恐れられた。
それはフェニックスにはいっても変わらない。
データというのは日々更新される。
だが、ある一定の法則を持っている。斉藤はそれを知っている。
どこからともなくあふれる自信は、自分のデータに絶対的な自信を持っているから・・・
斉藤:「さぁ、勝負とよ!!」

















マウンドの田中は、斉藤の並ならぬ気迫に、たじたじな状態だった。
高校野球でも強打者はいた。
だが、プロとアマは違う。
それをまざまざと見せ付けてくるかのような、斉藤の威圧感。
斉藤もまた、過去に背負った十字架の重みを知っているからこそ、己の威圧が出せるのである。
若く、経験が乏しい田中は、彼の威圧感に立ち向かうことすら無理な状況だった。
田中:「(あっ・・・足が・・・動かねぇよ・・・)」
がちがちと震えている田中の足。
だが、投球動作を怠ればボークをとられて、1カウントこちらが不利になってしまう。
震える足を無理矢理上げて、腕を投げ下ろす。
だが、がちがちな足は想い通り動いてくれるはずがない・・・

















斉藤:「何とよ、このひょ抜けたボールはぁ!!」

















いとも簡単にセンター返し。
仲嶋の所へと、ボールは勢いよくライナーで伸びていく。
そして、仲嶋の手前10メートル近くの場所でワンバウンド。
だが、キラーズの最終センターラインの男は、まだあきらめない。






















仲嶋:「これ以上、お前をランナーとして出せるかぁ!!」






















バシッっと、乾いた軽快な音が、仲嶋のグラブから響く。
そして彼は、ほぼノーステップで一塁の修吾のもとへと、レーザービームスロー!

















仲嶋:「修吾!!」

















ボールは1塁の修吾のもとへ送球される。
斉藤は、ヒットになったと余裕の顔をしていたが、この事態は予測していなかったのか、急いで1塁めがけて走り出す。

















タイミングは、ほぼ同時となった・・・









次へ    果て無き夢へTOPへ