第9回 「新たな目覚め」
  う〜ん・・・まだ眠い・・・・・・。
もう朝のようだが・・・僕はまだ夢心地の気分に満たされていた・・・・・・。
でも・・・その安らかな眠りから僕を引き離そうとする存在が・・・僕のそばに近寄ろうとしているようだった・・・・・・。
その存在は・・・何やら僕の頬に、その柔らかい何かを押しつけてこようとしていた。
僕はそのものが何であるかを確かめようとして目を見やると・・・それは1匹の子ネコのようだった・・・・・・。
そのネコはどこからやってきたのかは分からなかったが、どうやら僕を起こそうとしてくれていることは間違いない
ようで、その手についているかわいい肉球を僕の頬に押し当てて、ニャーン・・・ニャーンと鳴きながら早く起きて
ほしいことを僕にお願いしているように感じられた。
僕はそのネコのかわいい様子に思わずたまらなくなり、ついその手を引き・・・ベッドの布団の中に招き入れて、
ギュッと抱き寄せたのだった・・・・・・。
・・・・・・でも、そのネコの体は僕が思っていたよりも重さがあって・・・・・・・。
しだいに人1人分の重さに感じられるようになりつつあった・・・・・・。
すると・・・僕のすぐそばからよく聞きなれた声がしてくるのを感じつつあった・・・・・・。
「・・・・・・ちゃん・・・・・・お・・・ちゃん・・・・・・お兄ちゃん・・・・・・」
そこで僕は、ハッと本当に目を覚ますことになった。
そこにはついさっきまでいたはずのネコの姿はなく、代わりに僕の妹・・・可憐の姿を見ることになった・・・・・・。
どうやら僕がネコだと思っていたのは、あくまでも僕が見ていた夢の中のことであって、現実には可憐が
僕のことを起こしに来てくれていたということになるわけで・・・・・・。
それにしても・・・この体勢は・・・・・・、どう見てもベッドの中でしっかりと自分の妹を抱きしめてしまっているような
かっこうになっているのだった。
僕は一瞬動揺したものの、眼前に迫る可憐の顔を見ながら・・・・・・。
「か・・・可憐・・・・・・お・・・おはよう・・・・・・」
そう僕が声を絞り出して可憐に朝の挨拶をすると、可憐は・・・・・・。
「・・・・・・お・・・お兄ちゃん・・・・・・おはよう・・・ございます・・・・・・」
可憐は顔をとても赤くして僕にそう挨拶を返すのが精一杯のようだった・・・・・・。
それもそうだ・・・・・・いくら兄妹だといっても、ベッドの中で抱き合うような体勢になっていたら、変に意識する
ことになるのも仕方がないというものだろう・・・・・・。
僕はようやく可憐の体を抱き留めている両腕を放し、可憐をベッドから起き上がらせることにした。
でも・・・・・・可憐からは、なかなか次の言葉が出てこなくて・・・・・・。
「・・・・・・あ・・・あの・・・可憐・・・・・お兄ちゃんと・・・朝のお散歩がしたくて・・・・・・」
そう言いつつも可憐は僕の方を見つつ、顔を真っ赤にしたままだった・・・・・・。
「可憐・・・先に玄関に下りて・・・待ってますから・・・・・・」
可憐は、そう僕に告げて部屋をあとにしたのだった・・・・・・。
いつもは甘えん坊でよく僕に抱きついたり腕を組んできたりする可憐が、なぜあそこまで顔を真っ赤にしていた
のかが不思議だったが、その次の瞬間・・・僕にはその謎が一気に解明されることにはなったのだが・・・・・・。
あとで可憐にどう説明しよう・・・・・・その難しい問題に僕はどう答えを出すか、しばらくは自問自答に明け暮れ、
公園までの散歩の間も、お互いに気恥ずかしい気持ちでいっぱいになるのだった・・・・・・。

 公園に着くと、一息つくために2人でベンチに腰掛けたが、しばらくはお互いに意識しあっていたために、
変わらず何も言葉が出てこない時間が、しばらくの間続いた・・・・・・。
でも、そんな僕たちの前に一匹の子ネコがやってきて・・・・・・。
「わぁ〜!かわいい〜!!」
可憐はそう言って、そのネコの頭をなでであげていた。
「そういえば、このネコ・・・さっき夢の中で出てきたネコに似てるな〜・・・」
と僕が呟くように言うと、
「お兄ちゃん・・・ネコちゃんが出てくる夢を見てたの・・・?」
そう可憐が僕に訊いてきたので、
「うん・・・まるで可憐のようにかわいい子ネコだったよ!」
と答えると、可憐はとても嬉しそうにして・・・・・・。
「だから、お兄ちゃん・・・さっきは可憐のこと・・・あんなにギュッと抱きしめてくれたんですね☆」
またお互いに顔が少し赤くなりつつはあったが、可憐は続けて僕に話し続けるのだった。
「それに・・・もっとビックリもしちゃったけど・・・・・・お兄ちゃんだって・・・男の人・・・だもんね・・・・・・。
可憐・・・男の人ならだれでもそうなるのは・・・普通なんだってことは聞いてはいたんだけど・・・・・・
実際には・・・その初めてだったから・・・頭の中がボーとしちゃってたの・・・・・・」
可憐が僕に抱いていた気持ちを知ることとなり、兄としては複雑な気持ちにもなったけど・・・・・・、
いつまでも仲がぎこちない兄妹でいたくはなかったので、僕も可憐に答えることにした。
「可憐・・・さっきはごめんね・・・・・・その・・・・・・」
「ううん、いいんです。可憐のほうこそ・・・お兄ちゃんが起きるのを待っていればよかったんだけど・・・・・・、
その・・・待ちきれなくて・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」
そう僕に告げる可憐に・・・僕は可憐の頭を優しく撫でるようにすると・・・・・・。
「・・・お兄ちゃん・・・大好き・・・・・・」
そう新たに湧き上がる想いを口にして僕に体を預けてくる可憐を、僕はそっと抱きとめるのだった・・・・・・・・・・・・。


 (おしまい) 
(まえがき)今回は「シスプリ2」が発売されたことを記念して、「シスプリ2」設定の初のSSとなります。
      もうすでに発売されてから一ヶ月が経過していますが、SSを書くにあたっては、その間はゲームを
      とことんプレイしてその世界観を熟知する必要があったのです!(おもいっきり言い訳・・・(汗&笑)
      今回のお話は、元々はラジオでのなっちゃんともっちーのトークが引き金となってはいますが(笑)、
      もしそれを「シスプリ2」での可憐とお兄ちゃんに持ってきたら、はたしてどうなるかというコンセプトで
      書いてみることになりました。
      それでは、どうぞお楽しみください!!
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(あとがき)いかがでしたでしょうか?
      今回は「シスプリ2」のイメージをどこまで再現できるかに重点を置いてみました!
      特に可憐のかわいさや兄妹のラブラブ&ドキドキ感を出すことには精一杯になっていました!!(笑)
      ちなみに今回のお話は、“日記(4/17)”で書いたものに後から加筆修正をしたものです。
      そこでは続きに関しては、読まれた方のご想像にお任せするとしていましたが、やはり形として残したい
      という思いに駆られ、今回書き足すことにしました!(苦笑)
      ゲームではまだまだ書いてみたいお話があちらこちらにゴロゴロと転がっていますので(笑)、いずれ
      また近いうちに何か別のお話を書こうかとも考えています。
      それでは、また次回をお楽しみに〜!!