投稿作品(1) 「Brothey Memorize Me」
  灰色の雲からシトシトと雨が降ってきています
「あ〜あ、とうとう降ってきちゃった」
その時ちょうど可憐の家の電話がなりました。誰からだろう?
「はいもしもし、お、お兄ちゃん」
電話はお兄ちゃんからでした。お兄ちゃんはご用事で可憐の家の近くまで来たらしいのでもかさを忘れちゃって、困っていると言うお電話でした。
「わかった、お兄ちゃんすぐ行くね」
可憐、お兄ちゃんが可憐のこと頼りにしてくれたことがちょっとうれしかったな、だから、可憐すぐにお兄ちゃんにかさを届けようとしたんだけど、外に出てみると雨はかなり強くなっていました。早くしないとお兄ちゃんがお風邪をひいちゃうよね。

可憐が本屋さんの前まで行くとお兄ちゃんがこっちを向いて手を振っていました。
「お兄ちゃん、かさを持ってきましたよ」
可憐、なんだかうれしくなって走っちゃいました
「可憐、あぶない」
「えっ!?」
お兄ちゃんが可憐を突き飛ばしたと思ったらお兄ちゃんが車に
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
可憐がお兄ちゃんをゆするとお兄ちゃんはかすかに目を開け
「可憐、けがはないか」
「可憐は大丈夫だけど、お兄ちゃんが」
お兄ちゃんの頭からは真っ赤な血が今も流れていてこのままじゃ、このままじゃ
「そうかそれは良かった」
お兄ちゃんは静かに目を閉じていきます。おねがいお兄ちゃん目を閉じないで、いつもどおりのあのやさしい笑顔をみせてよ、お兄ちゃん
「お兄ちゃん、お兄ちゃん目を開けてよ」
可憐は泣きながらお兄ちゃんに呼びかけました。だって呼びかけていないとお兄ちゃんが死んじゃうような気がして
「可憐ちゃんどうしたの、お、お兄様!!」
そこに咲耶ちゃんがちょうど通りかかったらしく、咲耶ちゃんが走ってきます
「咲耶ちゃん、お兄ちゃんが可憐の所為で車に」
「可憐ちゃん、今はお兄様を助けることだけを考えましょう」
咲耶ちゃんは携帯電話を取り出し救急車を呼んでいます、数分後救急車が到着しました。お兄ちゃんは救急車に運び込まれ、看護婦さんの指示で可憐たちも救急車に乗り込みました。可憐はお兄ちゃんの手をにぎって『お兄ちゃん、無事でいて』と一生懸命、神さまに祈りました
病院に着くとお兄ちゃんはすぐに緊急手術室に運ばれて手術が始まりました。
咲耶ちゃんは、今みんなに電話をかけに行っています。
「あ、あの大丈夫ですか、本当にすいません、こんな事態にしてしまって」
車の運転手さんが話し掛けてきてくれたけど
「おに・・ちゃ・・をか・・て」
「え、なんですか」
「お兄ちゃんをかえして」
可憐だって本当は自分がいけないことはわかっていたけど、だけどお兄ちゃんがもしかしたら、いなくなっちゃうと思ったらそんな言葉しか出てきませんでした。
「可憐ちゃん」
ちょうどその時、咲耶ちゃんが帰ってきました
「すいません、この子事故のショックから立ち直っていないので」
「では、また後日うかがいます」
男の人が頭を下げて帰っていきます
「咲耶ちゃんどうしよう、可憐の所為でお兄ちゃんが死んじゃったら」
お兄ちゃんが死んじゃうと思ったら、可憐、なみだが止まりませんでした
「可憐ちゃん、お兄様が今まで私達を悲しませたことがある」
「ううん、一度もないよ」
「だから、今回も大丈夫よ、それに可憐ちゃんが泣いていたらお兄様、きっと悲しむわ」
「そう、だよね」
咲耶ちゃんの言うとおりだよね、今は悲しんでいる場合じゃないよね
「咲耶ちゃんは大人だね、可憐事故に遭ったときも何もできなかったし」
咲耶ちゃんは可憐よりぜんぜん大人でみんなのまとめ役で可憐本当に尊敬しちゃういつか、可憐も咲耶ちゃんみたいに大人の女の人になれるかな
「私だって、目の前でそんなことが起こったら何もできないわよ」
それから、十分くらいたったら、手術中のランプが消えてお兄ちゃんとお医者様が出てきました

「ご家族の方ですか」
一人のお医者様が聞いてきました
「はい、それでお兄ちゃんは大丈夫なんですか」
「ええ、手術は無事成功しました」
「よかった」
可憐はまた泣き出しちゃいました。だってお兄ちゃんがご無事で本当にうれしかったんだもん
「ほら、可憐ちゃん、お兄様のところに行きましょう」
お兄ちゃんはそれから一時間後ぐらいに目を覚ましました
「ここは?」
「お兄ちゃん、大丈夫ですか」
あれ、お兄ちゃんどうしたのそんな知らない人を見るような目で
「君は誰だい、それにここは何処」
「え、お兄ちゃん、なに言っててるの」
一瞬、可憐はお兄ちゃんが何を言っているかわかりませんでした
「ただいま、みんなすぐ来るそうよ、あらお兄様起きたの気分はどう」
咲耶ちゃんが病室に入ってきました。お兄ちゃんはやっぱり怪訝そうな顔をして
「君も誰なんだい」
「なに冗談言っているのお兄様、こんなにかわいい妹を忘れたとは言わせないわよ」
でも本当にお兄ちゃんはわからないらしく、首をかしげています
咲耶ちゃんも冗談じゃないことにきづいたのか
「可憐ちゃんはちょっとここで待っていてだれか呼んで来るから」
そうゆうと咲耶ちゃんは病室を出て行きました
数分後、咲耶ちゃんとお医者様が入ってきました
「どうやら記憶喪失ですね」
想像はしていたけど、その答えはあまりにも無情でした
「そ、それで、お兄ちゃんの記憶は戻りますか」
「はい、脳に異常はありませんから一時的なショックの所為ですね」
「よかった」
本当によかった、可憐の所為でお兄ちゃんの記憶がなくなったら可憐、悲しくて悲しくて
「けがの方も軽症ですから明日にも退院できますよ。それと帰ったらなるべく昔の写真など見せてください」
「おにいたま」
そこに雛子ちゃんが入ってきました。後ろには、ほかのみんなもいます
「ご家族の方ですか、それじゃ、私はこの辺で」
お医者様が病室を出て行きました
「兄君さまだいじょうぶですか」
「大丈夫だよ。ええっと」
「はい、お兄ちゃま、お見舞いのお花だよ」
「にいさま、このケーキも食べてくださいですの」
「ありがとう、ええっと」
お兄ちゃんは困ったように咲耶ちゃんを見ています。そうだよね記憶がないんだもんね、みんなのこともわからないよね
「春歌ちゃん、花穂ちゃん、白雪ちゃんでしょ」
咲耶ちゃんが小声で耳打ちしています
「ありがとう、春歌ちゃん、花穂ちゃん、白雪ちゃん、それにみんなも」
「どうしたのアニキ、困っているようだけどまさか記憶でもなくしたの。なんてね」
「そのまさかなのよ」
咲耶ちゃんがみんなに告げます
「えっ!!」
みんなもその答えに固まってしまいました
「咲耶ちゃん、あにぃの記憶は戻るの」
「大丈夫、一時的らしいからすぐもとに戻るわ」
みんなほっとした様子です、そうだよねお兄ちゃんとの今までの思い出がなくなるなんていやだもんね、
そのあとはみんなの自己紹介やおしゃべりが続きました。
「すいません、そろそろ消灯時間なのでお帰り願いますか」
看護婦さん消灯時間をつげにくると、みんなはしぶしぶ帰っていきました。

それから一週間、お兄ちゃんの記憶はまだ戻りません。そして明日は可憐のお兄ちゃんの日、お兄ちゃんにメールを送って、明日は絶対がんばらなくちゃ
次の日お兄ちゃんはちゃんと待ち合わせ場所にきてくれました
「おはよう、可憐ちゃん今日はどこか秘密の場所に連れて行ってくれるらしいけど何所に連れて行ってくれるのかな」
「それは、行ってからのお楽しみです」
お兄ちゃんはとても残念そうだけどそうしないと記憶が戻らないかもしれないものね
そのあと可憐とお兄ちゃんは電車に乗って目的の場所まで行きました
そして小さな駅で降りました。お兄ちゃん思い出してくれるかな
「お兄ちゃん、ここからはちょっと歩きますよ」
「可憐ちゃんが何所に連れて行ってくれるか楽しみだな」
ふふ、お兄ちゃん本当に楽しそう。お兄ちゃんが楽しそうだと可憐もとっても楽しいです。だけど今日はお兄ちゃんの記憶を取り戻しに来たんだもんね、可憐がんばらなくちゃ
「お兄ちゃん、何か思い出した」
お兄ちゃんは首を振りました。だからね、ちょっとだけ本当にちょっとだけお兄ちゃんにひみつの場所のヒントを教えてあげようと思いました
「昔ね、可憐がもっと小さかった時にね、お兄ちゃんにお花畑が見たいってわがまま言っちゃって、困らせちゃった時があったのでもお兄ちゃんは可憐のお願いをかなえてくれたよね」
可憐は丘の頂上で止まりました。後ろのお兄ちゃんも近づいてきました
「お兄ちゃん、ここにつれてきてくれたよね」
そこはコスモス畑が一面に広がっていました。可憐とお兄ちゃんの思い出のコスモス畑です
「あのときのお兄ちゃんとてもかっこよかったなぁ」
あれ、可憐またなみだが出てきちゃった、今日は泣かないって決めてきたのに、泣いたらお兄ちゃんに心配をかけちゃうから
「大丈夫かい、可憐」
やっぱり、お兄ちゃんに心配かけちゃった、あ、あれ今お兄ちゃん可憐って呼んでくれたもしかして
「お兄ちゃん、記憶が戻ったの!!」
「ああ、もう大丈夫だよ可憐、ごめんな、心配させるようなことして」
「お兄ちゃ〜ん」
お兄ちゃんの記憶が戻って可憐うれしくてうれしくて、お兄ちゃんに抱きついちゃった。お兄ちゃんはちょっと困っていたけど、可憐、本当にうれしかったんだもん。
「お兄ちゃん大好き、チュvv」
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投稿者;JUN 様