■マ・タ・ダ・メ・カ!    八ヶ岳・硫黄岳〜横岳        2007.06.9〜10

天気が悪いのはわかっている。でもこの時期しか見られない花がある。ツクモグサは花期が最も早いので入梅に見頃を迎える。本州では八ヶ岳と白馬岳に見られるだけだ。雨を覚悟で出かけた。

富士宮を5:30に出発。高速を使わず一般道だけで登山口を目指す。天気予報は外れず小雨。登山客が少ないはずなので美濃戸まで車で入る(8:50着)。思ったとおり駐車場はガラガラだ。駐車料金は2日で2000円。赤岳山荘に払う。

雨支度で歩き始める。美濃戸山荘先で柳川南沢コースを分けて、北沢コースの車道を進む。登山者のほとんどが南沢コースで行者小屋を目指すようで前後に人はいない。単調な林道歩きは、五感を無指向に開放して、小さな楽しみを見つけては進む。左下遠くに沢音、雨だれで不規則にお辞儀を繰り返す葉っぱ、かすかな濃淡で動きのユックリがわかる霧…。40分ほど歩くと北沢が見えてくる。右岸に渡ってしばらくすると林道の終点に着く。増水時用の巻き道を右に見送って、沢沿いの道を登る。南沢コースに比べると急登のない道だ。雨がなければ快適なのだろう。50分ほどかけて赤岳鉱泉に着く。小屋の北側には人工氷壁の残骸がある。時間的なこともあって小屋に客はいないようだ。小屋の従業員は屋根の補修をしていた。ここで早目の昼食を取る。玄関前から登山道は始まる。シラビソの樹林を抜け、ジョーゴ沢を渡る。そこには指導標があり、沢詰めの道を指していた。見送って尾根道を進む。樹林の尾根道は暗く静かだ。「ザクッ、ザクッ」、「ヒュッ、ヒュッ」。靴音と雨具のすれると音がやけに大きく聞こえる。しばらく歩くと道まで残雪が被さる。腐ったのと凍ったののミックスで何度か足をとられた。潅木帯を抜けるあたりで雲が流れ南側の視界が得られた。ジョーゴ沢を隔てて目指す横岳が姿を現した。すぐにまた姿を隠した。森林限界を越え、最後の急登を喘ぐと赤岩ノ頭に着く。

 
     ジョウゴ沢の分岐         ガスが切れて横岳が顔を出す。硫黄岳から

小休止するとすぐに身体が冷えてくる。早々に行動再会。20分ほどで着いた硫黄岳山頂は更に風が強く、しかも展望がない。この時点で13時過ぎ。硫黄岳山荘泊まりか横岳越えかを思案する。山荘の建つ大ダルミまで下る。山荘前の植物園をひと回りしたが花にはまだ早い。意を決して横岳に向けて登り出す。岩礫・砂礫の道は濡れている方が歩きやすい。しかし、風雨が強くなり視界を狭くする。最初のピーク・台座の頭(2796m)を巻く。天気が良ければ大同心、小同心などの岩峰群が見えるはずだ。そして最初の悪場。鎖、梯子が連続し、ガスで眼鏡がくもり、風で体温を奪われなかなか前に進めない。奥ノ院と呼ばれる横岳(2829m)主峰に着く。風雨を避けて小休憩する。ここから三叉峰(さんじゃほう・2825m)先までは危険のない道でツクモクサを探しながら歩く。鉾岳は稜線を諏訪側にトラバースする。大きく下るので「ミスコースか?」と思いながら歩を進める。再び頂稜に出て、しばらく進む。日ノ岳では野辺山側に巻く。ここにプチ雪渓が残っていて足元が不安になる。鎖場で急登して稜線に戻ったところが二十三夜峰。ここを過ぎて地蔵の頭の先に今日の宿・赤岳天望荘が見える。ああ、疲れた。

横岳頂上(奥の院) ツクモグサの蕾? 三叉峰。杣添尾根を分ける

赤岳天望荘で受付をする。「一泊二食でお願いします」と私。「予約はしてありますか?」山小屋でその質問はおかしいだろ。「8500円になりますが、1000円たすと個室が使えます」と従業員。「いいえ、大部屋でいいです」と私。すると従業員は露骨にイヤな顔をする。案内図を渡されて部屋に行くと4人部屋にすでに4人入っている。私が入ると5人になる。要は単独者が少ないので大部屋は使わず、個室に無理やり押し込もうというわけだ。だったら個室料金を取るな!私の山小屋経験からするとランクC「二度と泊まりたくない」だ。バイキング形式の夕朝食も初めの印象からあまり良いものではなかった。

久しぶりの山行とあって夜はグッスリ眠れた。朝食を一番に済ませ、身支度を整え、小屋を出た。雨天は変らないとみてそのまま下る。地蔵尾根の分岐まで戻り、急下降する。森林限界まで残雪はなく順調に下れた。潅木帯に入ると雪が現れ、3度渡らなければならなかったがストックで充分対応できる。予定の時間で行者小屋に着く。ほとんど休憩を取らずに下る。白河原あたりで青空が出るがすぐに隠れる。今日も稜線はガスの中だ。順調に美濃戸まで辿り着き、帰路についた。

結局、またツクモクサに出会えなかった。いつ来りゃイイんだ。

  着  発 
美濃戸   9:07
赤岳鉱泉 10:50 11:05
硫黄岳 13:04 13:09
硫黄岳山荘 13:26 13:38
横岳(奥ノ院) 14:20  
三叉峰 14:39  
赤岳天望荘 15:35 6:37
行者小屋 7:25 7:30
美濃戸 9:10  

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