K2小川は夏休み最後の土日に甥っ子・SHOOT小川と自由研究の登山を行った。以下はSHOOT小川の自由研究のレポートです。(多少修正をしています)    では、始まり始まり…

■八ヶ岳に登って   1年2組 SHOOT 小川 

1. 研究の動機
となりに住んでいる伯父(通称カズちゃん)がテントを持ってよく山に登ります。いろいろな山の話を聞かせてくれますが、どこがおもしろいのかよくわかりませんでした。同じように小学生のときからやっている「富士山学習」もおもしろいものではありません。するとカズちゃんが「とりあえず山に登っていろいろ体験して感じてみろ」というので、八ヶ岳登山に出かけることにしました。

2. 研究のねらい
いつもの生活では気がつかない「アレ何?」、「なんで?」を見つける。今年まとめられるものだけをまとめ、残った疑問は来年のテーマとする。

3. 研究の方法
実際に八ヶ岳に登る。いろいろなことを記録に取る。

4. 観察の結果
(1)準備  1泊2日の登山に必要なもの(ほとんどを前日までに準備)
登山靴、ソックス(ウール、厚手)、Tシャツ(化繊)、フリース上着、合羽、ザックカバー、軍手
スパッツ、テント(本体、ポール、ペグ、グランドシート)、マット、サンダル、シュラフ
ガスバーナー、ガスカートリッジ、コッヘル、ヘッドライト、地図(25000分の1)、コンパス
救急セット、デジカメ、腕時計、筆記用具、水(ペットボトル 1リットル)、アルファー化米、
レトルト食品(カレー、シチュー、米)、インスタントラーメン、ゼリー飲料、行動食、調味パン

1泊2日、二人でのテント泊の持ち物はかなり多く、重くなる。これを50リットル(カズちゃん)、 35リットル(私)の登山ザックに分けて詰める。

(2)登山計画書
登山するときには「登山計画書」を登山口などに提出する。カズちゃんの言うには「半分ぐらいの人は出さない。出さない人に事故(悪ければ遭難)が多い(プンプン!)」とのこと。今回はカズちゃんが前もって作っておいてくれた。(印刷物)

(3)山行記
登山前日の夜、カズちゃんの運転で登山口のある長野県原村に向かう。(正確には原村、茅野市、諏訪市が入組んでいてよくわからないそうだ)富士宮の自宅を出発。国道139号で北へ進む。精進湖で国道358号に入り、甲府から国道20号で小淵沢へ。右折して小淵沢ICを通りすぎ、左折して県道を20分くらい進むと登山口・美濃戸口(みのどぐち)に着いた。八ヶ岳山荘横の駐車場に車をとめて、車の中で寝る。

朝は回りがザワザワするので起こされた。カップめんとコンビニおにぎりの朝食を食べ、身じたくをして出発した。天気はくもり(天気予報ではくもり、空気が不安定)で少し不安。カズちゃんがいうには「暑くなくてイイ」とのこと。歩き始めはジャリの林道でおもしろみがない。道ばたの木を見ると普通の木の中に幹が白いのがある。これはダケカンバ(白樺に似ている)という少し高いところに生える木だそうです。回りの木もシラビソ、ツガなどの針葉樹であることも看板で知った。1時間くらいで美濃戸に着く。ここは柳川北沢・南沢が合流するところ。南沢方面に進む。小さなダムを越えて、本格的な山道になる。山道の近くにむらさき色の花が目立つようになる。ホタルブクロ(キキョウ科、写真)という夏の花で見ごろは過ぎているそうです。石のゴツゴツした道は歩きにくく、底の厚いトレッキングシューズを借りてきてよかった。急坂でドンドン登って行く。今度はホタルブクロより濃いむらさき色の花が目立ってきた。これはトリカブト(キンポウゲ科、写真)という秋の花で根に毒があるそうです。何度か沢に近づいたりはなれたりして高さをかせいで行く。

        ホタルブクロ       トリカブト     トウヤクリンドウ

このあたりから下山してくる人とすれちがうようになる。するとカズちゃんはその人に「おはようございま〜す」と声をかけた。その人が「おはようございます」と返す。少し歩いて、「さっきの人、知ってる人?」と聞くと「知らないよ。でも山登る人は知らない人でもあいさつをするんだ」と答えた。よく聞くと、声や顔色を見て非常時を感じたり、山上の情報を交換する意味でやっているとのこと。そして、すれちがうときは基本的に「登り優先」なのだそうだ。でも実際は、登る人がすれちがいのとき小休憩をして、下る人が優先されることも多いそうだ。急な登りが終ると白河原(しらつかわら)と呼ばれる水のない河原に出る。ここからはアップダウンは少なくなり、少しでキャンプ地の行者小屋(ぎょうじゃごや)に着く。小屋前からの景色はなかなかスゴイ!右から阿弥陀岳、中岳、赤岳、横岳とゴツゴツした変な形をした岩だらけだ。テントを張り、荷物を軽くする。最低限の持ち物をひとつのザックに入れて、赤岳に向かって登り始めた。小屋前から樹林に入っていく。高さをかせいで行くと木の高さが低くなってくる。急坂にかかる金アミの階段が現れるあたりから地面にへばりつくように生えているマツだけになる。ハイマツというマツで雪が多く、風の強いところに生えるそうだ。その道のちょっと先はすごいガケで赤岳の頂上のすぐ下から赤茶色に落ちている。金アミの階段を終って、斜面を斜めに登って分れ道に着く。左折して尾根の南側を進む。この道には白いトウヤクリンドウ(リンドウ科、写真)やツメクサが生えていた。キレットからの道が合わさったところから危険な道になる。すべりやすい岩にはクサリが付けられている。でもクサリは補助的に使うだけで「基本的にあしで登れ!」なんだそうだ。カズちゃんは私を気にしながらもスイスイ登る。私はチョットすべってクサリに振られてしまった。高さ50mくらいをクサリと鉄ハシゴに助けられて登りついたのが赤岳・南峰(2899m)だ。標柱と祠(ほこら)がある頂上には多くの人が休んでいた。写真をとって頂上小屋前に移動して昼食となった。雲で景色は見られなかったけど「やっと着けた。やり終えた」気分はなんかうれしかった。  

     証拠写真         頂上の祠(ほこら)       行者小屋前で

ところがちがった。下りになると登りのようにはうまくいかなかった。バランスがとりにくくなって、すべってしまう。足元がグラグラして石を落としてしまう。石を落したときには下の人に「落(ラクッ)!」と大きな声でおしえなくてはならない。いろいろなことを考えながら下るので、すごく疲れた。赤岳天望荘を少し北に歩いたところに分かれ道があり、地蔵尾根というところを下る。ここがまたすごかった。尾根というよりガケを下るようところで「落ちたらタダじゃすまない」ところをクサリ、鉄バシゴ、鉄階段で下る、下る、下る。ふとももの前の筋肉がはってくる。やっと行者小屋に着けたときにはかなり疲れた感じがした。

夜には雨がふったけどぐっすり眠れた。下りに不安があることを考えて、今日の予定は変更して来た道を下ることにした。しかし、「下りが苦手」の意識があるのか疲れているのかなかなか調子が出ない。夜の雨でぬれた石や木の根ですべる。疲れでうまく止まれない。昨日と同じでなかなか対応できない。結局、下り方をマスターできずに着いてしまった。

登山時間の記録

1日目  着  発 
美濃戸口   6:20
美濃戸 7:23 7:30
行者小屋 9:38 10:07
文三郎道分岐 11:10  
赤岳頂上小屋 11:47 12:00
赤岳天望荘 12:23 12:30
行者小屋 13:22  
 
2日目 着  発 
行者小屋   6:55
美濃戸 8:34 8:39
美濃戸口 9:28  
     

(4)分かったこと、疑問に思ったこと
@登山には特別なルールがある。環境の意識が強い。
・ 登山計画書、登山届はかならず提出する。遭難時に役立つ。
・ 登山装備は必要なものだけを持つようにする。
・ 朝早く行動を始めて、午後3時までに歩行をやめる。午後は天気が変りやすく、特に夏はカミナリ、夕立があぶないから。
・ 登り・下りのすれちがいは「登り優先」。例外もある。
・ 知らない人とも「おはようございます」、「こんにちは」のあいさつをする。
・ 植物、動物はとったり、さわったりしてはいけない。「とっていいのは写真だけ」(看板より)
・ 落石を起こしてしまったら「落(ラクッ)!」と大きな声で下にいる人に知らせる。
・ ゴミは持ちかえる。(山小屋にゴミ箱はない)
・ チップ制トイレ、風力発電、バイオトイレなど環境にやさしい考え、設備が当たり前になりつつある。
A登山の動作は他のスポーツにも使えそう。
・ 登りも下りもくつ底全体で地面をふむ。ひざをうまく使って、あまり急な体重移動はしない。野球のピッチャーの投球動作と同じような気がする。
B植物は高さによって種類が変る
・ 登山口あたり(標高1500m)はダケカンバやカラマツ。
・ 美濃戸〜行者小屋(標高1800m〜2200m)はシラビソ、ツガなど針葉樹。花はホタルブクロやトリカブト。
・ 行者小屋から上は木が低くなって、最後はハイマツになって木はなくなる。それより上はトウヤクリンドウやチシマギキョウ。

5. 研究のまとめ
 この登山でわかったとの一つは4.の(4)の@です。夏休み最後の日に観察(登山)をしたのでその他は調べられませんでした。たった二日間でしたがいろいろな山のルールを知ることができました。時間があったらまた登って多くのことを知りたいです。また植物が標高によって種類が変るのは富士山や他の山でも見て調べてみたいと思いました。 

6. 感想
 いつも同じような生活をしていると「なんだあれ?」と思うことが少ないなあと思いました。


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