■山深い光岳は大賑わい 南アルプス・茶臼岳〜光岳 2005.08.14〜16 静岡市内から直線で約50km、身近のようで山深い南アルプス南部の山々。お盆の休日を利用して最南部の山に行ってみた。
0日目
仕事を終え、スーパー銭湯でサッパリして登山口に車を走らせた。流通センター通りから鯨ヶ池を抜けて県道井川線に入る。玉機橋で梅ヶ島の道を右の分け、落合でビールを購入、横沢からのワインディングロードを3速全開でかっ飛ばす。2時間強で井川ダムに到着。いよいよ奥山だ。ライトを頼りに落石を避けながら走る。トンネルをいくつも通り畑薙第一ダムに到着。更に走って沼平の駐車場に。20〜30台の車がとまっていた。ここに駐車する人は東海フォレストのバスを利用しない人だ。ビールを2本飲んで眠た。
1日目
あたりが明るくなって目を覚ました。軽い朝食を摂る。身支度を整え、登山届を投函して出発。左岸をダム湖の半分の距離を歩く。仁田沢でほぼ半分。30分ほどで畑薙大吊橋に着く。このコースで最も危険なところかな?慎重に通過すると雷光型の急登となる。鉄塔を過ぎると巻き道になり、緩く登ってヤレヤレ峠に着く。ここからザレた樹林を上河内沢までイッキに下る。最初の吊り橋で沢の左岸に渡る。作業小屋を左に見て緩く登る。その後2回吊り橋を渡り、再び左岸に出る。右手の斜面は土砂が流れた痕が多く見られ、危なっかしい。水場を過ぎて、傾斜が増す。すると鉄梯子と鉄階段が現れる。これが、手すりが低く、使おうとすると前屈みのおかしな姿勢になり危ない。同じような階段がもう一度あり、大岩を回りこむとウソッコ沢小屋前に出る。人気はない。管理人は居ないのだろうか?この先が上河内沢とウソッコ沢の出合であるが、上河内沢は滝となって落ちる。その脇を吊り橋で渡るが、増水時には気を付けなければならないだろう。またも危険な鉄梯子を過ぎる尾根上のキツイ登りとなる。左に枝沢が見えて、尾根を乗越すところが横窪峠。ここから沢まで下り、橋を渡って横窪沢小屋に出る。立派な小屋でテン場も広い。ここを利用するユックリ山行もしてみたいなあ。小屋の裏手からジグザグに登り、両側から沢音が聞こえる尾根に出る。ここからが急登だ。しかし、道はしっかりしている。眺望のない暗い樹林を牛歩のごとく登る。水呑場いわれるところは木の根元からわずかに水がしみ出る程度で給水は無理。また急登。ガイドブックによると「開けたところから上河内岳が見える」とあるが、稜線はガスって見えない。楽しみがなくってツライ!ベンチのある樺段で昼食。フランス・パンとポタージュが美味しい!元気になって少し緩くなった道を登る。30分ほどで左側が開けてくる。薄日がさした。やがて跳ね上げ窓の立派な建物が見えてくる。「茶臼小屋だあ」。道を巻いて行くとログ調のもっと立派な茶臼小屋が見えてきた。最初に見たのは「立派な便所」だった。手続きを済ませ、テント設営にかかると雨が降ってきた。それから朝まで雨は断続的に降った。明日、どうなんのォ!
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左)畑薙大吊橋
長さ182mのまさに大吊り橋。畑薙湖の幅がやや狭くなった所に架けられている。湖面からはかなり高く、緑の水を眺める余裕はない。右)アサギマダラ
学名 Parantica
site(Kollar,[1844])
日本全土で見られる蝶だが、南西諸島など温暖な地域では夏はほとんど見られず、逆に山地や北日本では主に夏に見られる為、「渡り」をすると考えられている。
横窪沢小屋のテン場で撮影。
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県営茶臼小屋
茶臼岳北東下方、横窪沢源頭に建つ。あたりはお花畑で美しい。テン場は小屋の両側にあり、広い。幕営500円、ビール(スーパードライ)350ml 600円、バッジ 500円
2日目
テン場は雲の中のようだ。ガスが稜線から吹き降ろしている。停滞も考えたが、小屋のオヤジが「崩れるなんて言ってたかあ?」なんてトボケタ応えを聞いて、カチン!テントを撤収して上を向いた。風雨で下を向いた花を見ながら、歩きづらい沢を登る。稜線の縦走路に出ると伊那側からの強風とガスで意識しないと立っていられない。最初の斜面を登ると方位盤が置かれた展望地に出るが、今日はもちろん・・・ない。そこから間もなく茶臼岳(2604m)頂上だ。何も見えないからすぐに南に向かう。二重山稜の窪地に下って行くと仁田池に出る。かつて仁田池小屋があったところで、辺りは湿地帯になっている。新しい木道が整備されていて気分良く歩ける。ハイマツの稜線に出る。降りかえると急速に流れる雲間に見事なトンガリの上河内岳、ドッシリ重厚な聖岳が見えるではないか。わずか10分ほどだったが、カメラに収めることができた。その先をひと登りで希望峰だ。縦走路を離れて仁田岳に向かう。稜線から離れたここは好展望地だ。これから向かう光岳は雲に隠れていたが、寸又峡まで続く緑の主稜線がカッコイイ。特異な頂は百俣ノ頭か。30分ほどで希望峰に戻る。ここから200mほど一気に下る。すれ違う登山者は皆無口だ。それくらいキツイ。下りきったところに「携帯電話 通話可」の看板がある。(本当に可能)そこからはほぼ水平に進む。霧の中を進むので「あれが頂上か?」を何度も口にする。人の声が聞こえて頂上が近いことがわかった。ただの分岐点でしかない易老岳(2354m)頂上に感動はない。ここを下るとまた水平の道となる。ヌタ場が続きあまり気分は良くない。まわりは南アルプスらしい鬱蒼とした樹林帯だ。三吉平といわれるヌタ場を過ぎ、登り難い涸れ沢を喘ぐ。これは長く感じた。登り出たところが明るい静高平だ。トリカブトが群生していた。これならかなりの人を殺せるな。涸れた水場を横目で見て、緩く登ると亀甲状土が見られるセンジヶ原。昔のテン場らしい。潅木の間を抜けるとキレイな光小屋が現れる。テントを設営して空身で光岳に向かう。小屋裏を短く急登すると縦走路を右に折れる。窪地を横切り、チョコっと登ると光岳(テカリダケ、2591m)頂上だ。森林限界を越えておらず、パッとしない。加加森山への道を進み、支尾根を急下降すると山名の由来、光石だ。大きな石灰岩で駿河湾からも光って見えるそうな。岩の脇にミヤマシャジンが咲いていた。来た道を戻り、光小屋へ。日が沈むまで崩壊地での花撮影、聖・赤石方面の夕焼け、南アルプス最深部の山々などを楽しんだ。
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一瞬見えた聖岳 希望峰付近から |
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樹林の光岳山頂 たまには証拠写真 |
県営光小屋(てかりごや)
光岳直下、センジヶ原南側に建つ。平成10年に建て替えられ、大変キレイ。バイオトイレは発電機が回っているときには使用できる。テン場は小屋の上下の2箇所。水はガレの縁を10分程下ったところ。でも小屋に申し出てば無料で分けてもらえる。幕営500円、ビール(スーパードライ)350ml 600円、バッジ(手作り)500円
3日目
4時半に目が覚めた。私以外の人達は皆早い。暗いうちに出発して行った。ゆっくりと食事、荷身支度をして6時過ぎに出発した。センジヶ原先の分岐を右に折れ、潅木を抜けると少しでイザルガ岳(2540m)に着く。縦走路からはずれた好展望地で気持ちが良い場所だ。分岐に戻り、昨日歩いた道を戻る。静高平先の沢は登りより歩き難い。平坦なヌタ場は余裕で歩く。易老岳の登りで今日最初のパーティーとすれ違う。「茶臼小屋からです」だと!まだ8時前だゾ。何時に出発してきたんだ。緩く、ゆるく下る快適なヌタ道。時折、パラパラと雨が降る。道が大きく曲がると希望峰への急登だ。これはキツカッタ!30分ほど喘いで希望峰で休憩。仁田池までゆっくり下り、本日最後の登りとなる。これは意外とアッサリ終わってしまった。小雨の茶臼岳では記念撮影だけして下った。茶臼小屋に下りてきたのが10時半。
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イザルガ岳から見た光岳 中央は光小屋 |
証拠写真U ガスで面白くも何ともない |
時間に余裕があるので、日程を短縮して今日中に下ることにした。茶臼小屋−横窪沢小屋間、登り3時間半の道を1時間半で下る。小屋を少し下った時、本格的に雨が降ってきた。合羽を着て下る。猛烈に暑い!登りで難儀した鉄梯子は雨の下りで更に危険になる。小さな崩壊が雨で「カラカラ」と音を立てる。いつ土砂崩れが起きても不思議でない。どうにか危険箇所を過ぎ、ウソッコ沢小屋に着く。ここからは危険箇所はない。沢沿いに出て平坦な道となる。上河内沢を渡り、最後の登りとなる。これが長かった!たどり着いたのがヤレヤレ峠。これだったのか。巻き道が終わり、鉄塔したの雷光道を急下降するとフィナーレ・畑薙大吊橋だ。雨はすっかりあがり、イイ天気。林道を沼平までトボトボ歩いた。
稜線に出るまでキツイ登りだが、稜線歩きは比較的楽なコースだった。ほとんどが森林帯を歩くので、南アルプスらしい良いコースだった。
1日目 |
着 |
発 |
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2日目 |
着 |
発 |
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3日目 |
着 |
発 |
沼 平
畑薙大吊橋
ウソッコ沢小屋
横窪沢小屋
茶臼小屋 |
6:10
7:55
9:46
13:20 |
5:36
6:13
8:00
9:56 |
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茶臼小屋
茶臼岳
希望峰
易老岳
光小屋 |
7:21
8:15
10:07
13:02 |
6:42
7:30
8:44
10:25
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光小屋
易老岳
茶臼小屋
横窪沢小屋
ヤレヤレ峠
沼 平 |
8:05
10:32
12:27
14:30
15:32 |
6:02
8:10
11:00
12:32
14:32 |
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