■充実の尾瀬・弾丸ツアー
2005.06.17〜06.19 高校2年の夏、「高原教室」の中に尾瀬ヶ原散策があった。湿原の中に伸びる木道、澄んだ蒼い空、鳥の鳴き声など印象に残っている。何年も前から「もう一度行きたい」と思っていたが、全域を歩くには3連休が必要で延び延びになっていた。でも我慢できなくて強行日程を組んで決行した。
0日目
仕事を17時に終え、コンビニで夕食を済ませ、清水ICから東名高速に入る。東京ICを出て、環八を北上する。井荻トンネルの工事渋滞もそれほどでなく、1時間で関越・練馬ICに着けた。1度のトイレ休憩だけで沼田ICまで走る。R120号を尾瀬・日光方面へ向かう。この道沿いには温泉施設が多い。鎌田からR401号に入る。片品までは普通の国道だが大清水まではやや細くなる。大清水には3つの駐車場があり、一番奥の第二駐車場に車を止める。すぐに就寝。と、人声で目を覚ます。6〜7人の馬鹿パーティーが騒いでいる。文句をいっても5分と静かにしていられない。耳栓をして何とか寝る。
1日目
昨夜の馬鹿パーティーは4時頃から行動開始。テント張っただけで寝テネエダロ!こちらは少し寝てから5時半に出発した。ゲートを抜け、簡易舗装の林道を歩く。新緑がまぶしい。回りを見ると軽装のハイカーばかりで私の荷物は奇異な感じすらする。40分で一ノ瀬に着く。ここには休憩所が建つ。橋を渡って、沢沿いの登山道に入る。ほどなく木道が現れる。さすが尾瀬!やや傾斜が増して一汗かくと岩清水に着く。文字通り岩清水が涌いていて、多くの人が休憩をしていた。その中にあの馬鹿パーティーもいた。挨拶もせず通りすぎる。短い急登をこなすと木道の緩斜面となる。辺りに残雪が出始めると三平峠は近い。15分も下ると小屋のある三平下。尾瀬沼越しに燧ケ岳(ひうちがたけ)が高い。木道を東岸へ歩く。ミズバショウ、リュウキンカなど湿地の植物がいっぱいだ。ちょうど見頃のミズバショウは大きくなりすぎでハシタナイ。長蔵小屋前を通る。あの事件があったため、通り過ぎただけだった。

見頃だったミズバショウ 大江湿原 美しい
大江湿原入口の分岐で左へ。大江川を渡り、ぬかるんだ林の道を進む。浅湖湿原手前で燧ケ岳分岐を右に入る。ハイカーはいなくなる。夏道は残雪に隠され、かすかな踏み跡をひとり辿る。緩やかに登る。樹林を抜け、開けた台地に出る。ようやく一休みできる。サンカヨウの咲く斜面を登り、雪解け水で沢と化した登山道を赤テープを頼りに登る。潅木帯を抜けるとミノブチ岳頂上に着く。南に尾瀬沼、西に赤ナグレ岳、北に御池岳、俎グラ(マナイタグラ、グラは山冠に品)と絶景です。御池岳の裾を通り、岩稜を急登した先が俎グラ(2346m)だ。思いのほか時間がかかったため、ここで昼食を摂った。西には柴安グラ(シバヤスグラ)、遠景に至仏山だ。急下降して、同じだけ登り返す。ここには残雪があり、鞍部でアイゼンを着けているパーティーもあったが、私はキックステップで上がっていく。頂上直下の急斜面、「そこで待っていろ!」とやけに威張った爺さんの声。見上げれば15人くらいのパーティーが下ってくる。皆つま先爪がない簡易アイゼンを着けている。2人目の女性が3mほど滑落。続いてもう一人。全員ビビッてしまい大渋滞となる。リーダーらしき人は見当たらない。あまり経験がないようだ。私が中間で補助して何とか通過していった。しかし、礼の一言も無かった。馬鹿たれ!さっさと「なんちゃってヒラリー・ステップ」を越えて柴安グラ(2356m)に着く。時間が押しているので、写真撮影だけにして下りにかかる。

俎グラから見た柴安グラ 下田代から燧ケ岳を振り返る
岩稜を急下降する。すぐに赤田代の分岐が現れ、道を左にとる。潅木帯から樹林に入り、やがて赤ナグレ沢を下る。沢には雪が残り歩き難い。雪で折れた木枝が行く手を遮る。それを避けるとバランスを崩して転倒する。やんなってくる頃、木道に当る。右に折れると間もなく見晴(下田代十字路)に着く。ここまで歩行時間8時間半、かなりの疲労感がある。しかし、明日の行程を考えて脚を伸ばすことにした。見晴から西が尾瀬ヶ原。湿原特有の植物が多くいる。ミツガシワ、タテヤマリンドウ、ワタスゲなどが確認できた。至仏山を正面に西進する。下田代は木道沿いに池塘が少なく乾いた感じだ。沼尻川を渡り、竜宮小屋を通過する。竜宮十字路から西を中田代という。竜宮現象は確認できなかった。池塘が点在し、ミズバショウの撮影ポイントがたくさんある。尾瀬沼より尾瀬ヶ原の方が見頃のようだ。モウセンゴケも多くなる。森が迫り湿地が狭くなったところが牛首。ここは私の思い出の場所。高原教室の際、数人の仲間と分岐のベンチに寝たのだ。蒼い空、鳥の鳴き声、かすかな風の音。いまも頭の深にある。多くのハイカーが休んでいた。上田代を30分ほど進むと尾瀬ヶ原の西端・山の鼻に着く。長かった10時間の歩行はこれで終わり。今日はここに幕営する。小屋で飲んだビールがウマかったぁ!
2日目
4時半頃の起床。今日も天気は良さそうだ。テント撤収、朝食、身支度を1時間ほどで済ませ、6時前に山の鼻を出発した。前日歩いた道も時間帯でかわって見える。朝霧漂う林、霞がかった至仏山、光る木道。尾瀬ヶ原三又を左に進む。あたりは私だけとなる。鳥の声と靴音だけでイイ感じです。自然と脚が遅くなる。木道の上にカエルやイモリが這う。と、「熊出没注意」の看板と鐘とハンマーが出現。山が迫った地形でそうなるらしい。ここからいくつも「看板、鐘、ハンマー」がある。竜宮十字路への道を見送って、川幅が広がったところにヨッピ橋が架かる。尾瀬唯一の吊り橋で名所となっている。この付近にニッコウキスゲがはしりで咲いていた。景鶴山の支尾根が下りたところに東電小屋が建つ。只見川を渡り、少し行くと赤田代の分岐となり、右に折れる。荒れた木道を20分ほど行くと見晴に着く。これで尾瀬ヶ原をざぁと一周したことになる。尾瀬沼に向かって木道を緩く登っていく。ブナ林で啄木が軽やかなクラップを打つ。沼尻川沿いの段小屋坂といわれる県境の道を登る。川を離れて急登すると白砂峠を越えると湿原に出る。小さな丘を回りこむと沼尻に着く。ここにも長蔵小屋の休憩所があり、なんかウンザリ。休憩もそこそこ南進する。小沼を右に尾瀬沼を左に見て進む。その先の曲り田代といわれる湿原を過ぎると後は沼岸を小さく上下しながら淡々と歩く。沼尻から1時間ほどで三平下に着く。かなり疲労感がある。ここで尾瀬とサヨナラして、三平峠に向かって登る。三平峠までくれば後は下るだけだ。少し早足で下り、1時間40分で大清水に着けた。ん〜ン、天気も上々、雪あり、花あり、山あり、木道ありの充実した山行だった。

ヨッピ橋。一度聞いたら忘れない モウセンゴケ(ピンボケ) ワタスゲ(ピンボケ)
アクセス走行距離664km、2日間歩行時間 約17時間30分、テント泊 を一人でこなすのはなかなかハードだった。サッカー観戦の海外弾丸ツアーは飛行機内でもバス内でも寝れるからどうってことないナ。
1日目 |
着
|
発 |
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2日目 |
着 |
発
|
大清水
一ノ瀬
三平下
尾瀬沼東岸
燧ケ岳
見晴
竜宮十字路
山の鼻 |
6:10
7:22
7:46
11:54
13:55
14:37
15:35 |
5:30
6:15
7:30
7:50
12:00
14:12
|
山の鼻
東電小屋
見晴
沼尻
三平下
大清水 |
7:14
7:50
9:28
10:24
12:13 |
5:48
7:20
7:55
9:35
10:35
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