■今年も雲の中  北アルプス・常念岳         2004.07.18〜19

昨年の「海の日」は梅雨明け前で、2日間雨中山行を強いられた。期待した槍・穂高の大パノラマは見られず。「今年こそはっ」と常念〜蝶を目指した。

今年は梅雨明けしていた。俗に言う「梅雨明け十日」で、天気は安定しているはず。しかし、梅雨前線が南下し、端が新潟辺りまで伸びている。天気予報は「曇りのち雨」だ。太平洋高気圧のガンバリに期待して、安曇野を目指す。睡眠時間を確保するために韮崎ICから中央道に入り、長野道・豊科ICで下りる。堀金村に続く県道を西進、オープン前の「国営アルプスあずみの公園」横を通り、鳥川沿いの林道を進む。このあたりはキャンプ場などが整備され、登山者以外の車も多い。林道の終点が三股で、広い駐車場が整備されている。寝る頃には雨が強く降ってきた。「やんでくれよぉ」。

白々した頃、目が覚める。雨は弱い。朝食を済ませる頃には薄日が差す。雲の流れは速く、天気の予測が立たない。合羽の下だけ着けて出発した。鳥川沿いの林道を数分歩くと登山指導所に着く。予め用意しておいた登山計画書を提出して登山道に入る。沢沿いを少し登ると蝶ヶ岳の巻き道を分けて、本格的な登りとなる。鬱蒼とした針葉樹の登りは単調でスッキリ感がない。数パーティーとすれ違い、追い越されるが何故か皆無口だった。天気が奏させるのだろうか。標高差1000mを登りきると尾根に出る。平坦地といっていい程の尾根道を1km進むと標準点櫓跡に出て、視界が開ける。前方に前常念が高い。潅木帯を抜けると一気に傾斜が増す。岩間にうまく登山道が付けられている。休憩を取りながらユックリ登る。この前常念・南面には植物分布が薄い。土壌成分によるものだろう。巨岩が目立つようになると前常念岳(2662m)は近い。前常念岳避難小屋(石室)のある山頂からは、南に常念沢をはさんだ蝶ヶ岳、北に一ノ沢をはさんで横通岳が美しい。しかし、目指す常念岳頂上は雲の中だ。大休憩後、常念を目指す。飛び石よろしく巨岩帯を通過。常念小屋への巻き道(崩落で通行止め)分岐を過ぎる。頂上直下の分岐に着く頃にはガスが晴れた。岩間を急登すると10分ほどで常念岳(2857m)頂上に着ける。祠のある頂上から蝶ヶ岳、横通岳、表銀座、遠く燕岳が見えた。

  
  
常念岳頂上の祠           常念から北を望む            横通岳と常念小屋

しかし、肝心の槍・穂高の稜線はガスの中。強風もあって少しで頂上を後にした。分岐に戻って、常念乗越まで急下降する。この下りの間、強風に吹かれる。あまりに強いので岩陰に停滞することさえあった。強風にあおられながら、なんとか常念小屋の建つ常念乗越に辿り着く。朝も強風は変わらず、小雨が降ったりやんだり。蝶への縦走は諦め、ピストンで下山することにした。「なぎ」を待って、テントを撤収。来た道を戻る。分岐に立ち、西に目をやっても槍・穂高は未だ雲の中。今年もダメだった。急傾斜を下りながら「来年こそっ!!」と誓った。

常念小屋
常念乗越に建つ。300人収容、一泊二食8500円テン場600円/人この日はキャパ越えで食事は4部制、最終は20時開始だった。どうやって寝たんだろう?テン場は強風でフライシートを飛ばされ、ずぶ濡れのパーティーもあった。携帯電話の中継基地が近くにあり、通話可能だった。

下りの中ほどで血のりの着いた岩を見た。まだ乾いていなかった。テントを設営していると、「救急ヘリが来ますので、テントを押さえていて下さい」との声。先ほどの血のりだ。エンジン音が予想外の方向から聞こえてきた。谷スレスレに飛んで、フワリと着陸したのだ。有名な東邦航空だ。1〜2分で患者を乗せ、アッという間に谷側に消えていった。強風の中、スゴイ技術だ。感心、歓心。


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