■八ヶ岳縦走は分割で  その此  八ヶ岳・硫黄岳〜天狗岳    2004.06.26〜27

前々からの計画、「梅雨時期に花に遭いに行こう」を決行してみた。高山植物は雪解けを待って短い夏(繁殖期)に一気に花を咲かせる。つまり梅雨時期に多くの花が見られる。「花の横岳」付近を狙って雨中山行を行った。

1日目
小雨の中、富士宮を5時半に出発。いつものように精進湖経由で甲府に出、甲州街道を小淵沢まで、県道を使って原村に入る。尖石遺跡方面に進み、三井の森・別荘地の中を通る。フォレストCC三井の森の先で道は別れる。直進は唐沢鉱泉、右折で桜平。ここを右折して、20分ほどダートを走る。ゲートがあるところが桜平。駐車スペースが点在する。

身支度を整え、9:10歩行開始。ゲートを越え、シラナギ沢・夏沢の出合まで下る。ここに仮設トイレがある。夏沢沿いに林道(小屋関係者のみ通行可)を登る。夏沢を渡り、上槻木道分岐を過ぎる。ほのかに硫黄の匂いがしてきて、夏沢を渡ると夏沢鉱泉だ。ここで車道歩きから開放される。夏沢を2度渡り、右岸を登る。道脇に「〜滝」の標識がある。時間があるときに立ち寄ってみよう。水力発電施設を通り過ぎ、枝沢を渡るとオーレン小屋に着ける。小屋は入浴もできる新館がきれいだ。小屋前には高山植物が植えられ登山者を楽しませてくれる。幕営地の中を通り稜線を目指す。うっすら漂うガスに運ばれて、シラベの樹液の甘い香りがする。八ヶ岳の魅力のひとつだ。傾斜が増してくると明るい潅木帯になる。削られた登山道脇に高山植物が現れ始める。イワカガミは今が盛りのようだ。クロユリを撮っていると「それはこの登山道で1番最初のクロユリだよ」と誰かがおしえてくれた。森林限界を越え稜線に出る。ここは赤岳鉱泉との分岐。道を左にとる。写真撮影をしながらユックリ登る。道沿いにミヤマシオガマ、ミヤマダイコンソウ、イワウメなど多種の高山植物に遭える。

  
   クロユリ          ミヤマダイコンソウ             ミヤマシオガマ

しかし、ものすごい強風で、カメラを構えることができないくらいだ。硫黄岳(22765m)山頂は石畳の広場のようだ。ガスで方向がわからず、標識の指す方向に慎重に進む。風は更に強くなり、歩行困難になることもしばしば。ケルンを頼りに横岳方面に進む。砂礫地になり、風は弱まる。ガスの中に突然、硫黄岳山荘が現れた。天候を考え、今日はここに泊まる。

硫黄岳山荘は硫黄岳と横岳の鞍部、大ダルミといわれるところに建つ。300人収容の大きな山小屋だ。今年改築したトイレは山小屋のものとは思えないほど清潔。臭いはない。泊まった日は「タルチョ祭」というチベットの祭りの再現をやっていた。地酒が振舞われ、20年ほど前のユースホステルのような雰囲気だった。お酒もはいって早々に寝てしまった。

2日目
目覚めるとすぐに天候のチェック。風はないものの、ガスは相変わらずだった。朝食が終わる頃には風も出てきた。横岳まで行って、ピストンするつもりだったが、天狗岳方面に変更した。身支度をして小屋前のお花畑を散策する。コマクサ、コマクサの白花種、ウルップソウなど八ヶ岳特有種が多く見られた。もう少し天気が良ければいい写真が撮れるのに…。(言訳) 

  
   高山植物の女王・コマクサ          白花種・シロバナコマクサ      ウルップソウ

ザックを背負って、来た道を戻る。昨日ほどの風ではなく、脇の花を見ながら歩ける。硫黄岳頂上から縦走路を北に進む。噴火口の縁を下っているはずだが、ガスで見えない。20分ほど下ると樹林に入り、それを抜けると夏沢峠に出る。峠にある2軒の山小屋は商売気がなく、イイ感じだ。箕冠山(みかぶりやま)まで緩く登り、少し下れば根石山荘前に出る。ここにもコマクサの群生地があり、保護ロープ越しに見ることができる。岩礫の斜面を15分ほど登ると根石岳山頂。少し稜線を離れて、天狗岳との鞍部に出る。ここからは急登であるが、イワベンケイなどを撮りながらユックリ登った。傾斜が緩み、鉄桟橋、鎖場を過ぎると天狗岳(2646m)山頂だ。展望はない。こんなときはピークハントに徹しよう。空身で西天狗に向かった。しかし、そこは祠だけのある頂上だった。40分ほどで往復できる。大休憩のあと来た道を戻る。箕冠山からオーレン小屋までは単調な下りだ。後は来た道、余韻を楽しみながら下った。

小屋から少し下ったところで可憐な黄色の花をカメラに収めた。キバナコマノツメというスミレ科の花だ。お気に入りがひとつ増えた。

 
 お気に入り キバナコマノツメ(黄花駒爪)         これがオーレン(黄蓮)


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