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■暴風雨の殺生平 穂先は拝めず 北アルプス・槍ケ岳 2010.08.15〜17 今年のお盆山行は同行者がいる。いつからか自由人となったピラタス横山氏。先月の霧ケ峰山行から山を再開した。毎朝のウォーキングを日課にしているので脚は問題がない…はず。久々のテント山行ということでキャッチーな「北アルプス・上高地から槍ケ岳へ、梓川を遡上、槍沢ピストン2泊3日テント泊の旅(OKツアーズ)」ということになった 1日目の行程が短いので前夜発ではなく早朝発とした。出発に滞りはなく、予定通り4時に富士宮を出発した。精進湖から甲府に抜け、甲府南ICから中央道に乗る。お盆休みのなごりか車の量は多い。といっても早朝だけに渋滞はない。長野道・松本ICで下り、国道158号を西進する。梓川を遡上し、奈川渡ダムを過ぎれば沢渡はすぐだ。 1日目 |
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![]() ババ平の位置関係 |
![]() テン場と槍沢(石積の上から) |
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槍沢キャンプ場 旧槍沢小屋跡、ババ平にある。キャパ30張。水場、トイレあり。槍沢が見渡せる好ロケーション。水はホースで引いている。ややゴミ混じり。トイレは簡易式。 500円/人(槍沢ロッジで受付) 携帯電話、NTTは通話良好。 |
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2日目 学生の団体が2時前から動き出した。しかもそれから2時間強ゴソゴソやっていた。迷惑を考えろよ!でもその時刻、谷間の狭い空にはいっぱいの星があった。テントを撤収、食事を済ますと5時。横尾尾根に帯状の朝焼が見えたものの空は曇天に変っていた。5:15テン場を出発。一旦槍沢の河原まで下り、短い平坦路の後は緩く登って行く。水俣乗越への分岐がある大曲にはあっさり着ける。ニッコウキスゲに励まされながら急登に挑む。天狗原の分岐を過ぎると更に傾斜が増す。頻繁に向きを変えながらジグザグで登る。ここで横山氏の脚が遅くなる。最後の水場で小休止中に雨が落ちてくる。私は合羽を着たが、横山氏は「暑いから」とザックカバーを装着しただけだった。グリーンバンドで傾斜が緩む。晴れていればここから穂先が拝めるはずだが、ガスで方向すらわからない。グリーンバンドで傾斜が緩む。晴れていればここから穂先が拝めるはずだが、ガスで方向すらわからない。ヒュッテ大槍への分岐を過ぎ、播隆窟で休憩。強風が吹き細かい水滴が身体を打つ。合羽を着た横山氏だったが、かなり消耗しているようだ。ここから1時間以上かけて殺生(せっしょう)ヒュッテに辿りつくことになる。私は20分ほど小屋前で待つことになった。なにしろ暴風雨ってやつで、指定地を無視して風避けができそうなところにテントを設営しようとしていたやつらが吹き飛ばされていた。ババ平で一緒だった学生団体の女子ひとりが消耗が激しく、低体温症の兆候が出ていた。それらを見た後で横山氏が牛歩いやデンデンムシ歩で石階段を上がってきた。ヒュッテで休憩し、顔色も悪くないので、カラ身で穂先を目指すことにした。暴風雨の中、テン場を横切って登山道に戻る・・・、横山氏が着いてこれない。「やめるか?」と私、「やめよう」と横山氏。山小屋情報によると「明日も雨」、現時刻、3日目の歩行時間を考慮して「槍沢ロッジまで下る」判断をした。下りになっても横山氏の脚は戻ってこない。播隆窟からは横山氏を先行させ、後から様子を見ながら下る。モレーンを下りきり、天狗原分岐あたりにくると脚が戻ってきた。大曲、ババ平と順調に下ってくる。しかし、ババ平−槍沢ロッジ間は時間以上に長く感じられた。宿泊手続きをし、入浴(石鹸不可)を済ませると横山氏はすっかり回復していた。ロッジは混雑ものなく、蚕棚も「ベッド」として寝れた。 |
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槍沢ロッジ 横尾から1.5時間、槍沢沿いの林の中に建つ。キャパ150名、一泊二食で9000円。(今回は一泊一食で7700円)風呂、バイオトイレと施設は充実している。ベッドは蚕棚だが山では標準的。 携帯電話は全社通話不可。ロッジ内に公衆電話あり。 |
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3日目 登山者があらかた出払った時刻にモソモソと起床。今日は上高地に下るだけだ。で、天気は快晴、これでもかっていう青い空。ロッジ前から穂先は見える。置かれた単眼鏡を覗けば登山者が動いているのが見える。うらやましいが今日ピストンする気力、体力は持ち合わせていなかった。ロッジ前で朝餉の支度をしていると明朗快活な娘が「槍ケ岳、今から行って帰ってこれますかネエ」と話しかけてきた。話によると、数日間東鎌尾根にいたが穂先はおろか眺望はほとんど得られなく、友人のいるこのロッジまで下ってきたとのこと。最低限の装備でなら可能であると伝えると「どうしようかなあ」といいながら仕事を手伝いに行った。朝食が終わる頃、彼女は装備を整え、玄関に出てきた。日帰りピストンを決意した様だ。健闘を祈りつつ横尾に下り始める。槍沢は、清流と木立を通過する朝日で、幻想的な美しさを見せる。横尾尾根が尽き、屏風岩が見えてくれば横尾は近い。天気は良ければここからの景色はすばらしい。梓川から屹立する屏風岩、前穂北尾根、その後ろに明神岳。青空をバックに河原の白、山の緑・深青、横尾大橋の茶色がアクセントとなる風景はここまで歩いてきた者だけが見れる絶景だ。(写真の腕が良ければねえ…)長い横尾街道、姿を変える明神岳を見ながら上高地に向かった。小梨平から下流方面を見ると人だかりの河童橋の向こうに焼岳の勇姿が見えた。 |
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今回の反省、リーダーとしていくつか判断ミスがあった。 (1)1日目で横山氏の体力を把握し切れていなかった。歩行ペースの変更や呼吸法の指導などやるべきことがあったはずだ。 (2)停滞、撤退の判断が早すぎた。結果的には「殺生ヒュッテ停滞」が正解であった。山小屋スタッフの天気情報を鵜呑みにし、また時刻が早かっため「槍沢ロッジまで下る」を選択。横山氏の体力回復を見る上でも2時間停滞してもよかった。 この経験を次に生かせるようにしたいものです。 |