■恐るべし 大門沢下降 南アルプス・白峰三山 2009.08.14〜16

いよいよ白峰三山をやる。10年前ローツェ深沢氏にそそのかされたきっかけがこの山だった。甲府市街から望む山々は威厳に満ちている。八ツや甲斐駒とは一線を画す。ハードな2泊3日となりそうだ。

1日目
登山口が近いので早朝発とした。3時半に富士宮を出発。下山地となる奈良田に5時過ぎに到着。駐車場は九分入りといったところか?5時半に一番のシャトルバスに乗る。(運賃1000円+協力金100円) 荒れた南アルプス公園線を45分走ると登山口・広河原に着く。登山者でいっぱいだ。6割は北沢峠行きか?

野呂川に架かる吊り橋を渡り、いよいよ縦走の始まりだ。水量の多い大樺沢・左岸を登る。20分ほどで白根御池小屋コースの分岐を過ぎる。その先で右岸に渡ると傾斜が増す。背の荷をズッシリと感じながらゆっくり上がって行く。左岸に戻ると草付けの道となり、前が開ける。空には雲ばかりで、その雲の動きは速い。バイオトイレ用発電機音が聞こえてきて、大樺沢二俣に着く。最近は馴れてしまったが、いいものではない。右俣コースへ。潅木帯を抜け、花の多いよい登山道となる。しかし、登山者は最もキツイ道だ。雲で展望もなく、足元を見て、ひたすら登る。草すべりの分岐を過ぎ、小太郎山分岐に着く頃にはもうヘロヘロだった。傾斜が緩み、多少楽になる。足元のお花畑には赤、黄、紫、白 様々な色が見える。中でもチシマギキョウの紫が目立った。肩の小屋でちょうど昼時となったので大休憩。北岳目指して進む。ガスの中に見えるピークは本峰のひとつ手前。西側を巻いてからジグザグに登って行く。北岳(3192m)頂上は人で一杯だったが、ガスで眺望はない。


可憐なミヤマオダマキ


雲に霞む北岳山頂(二俣で)


北岳での証拠写真

証拠写真だけで下りにかかる。この下りが意外と長く感じられた。前回は登った道なのだが、ガスで目標が見えないからだろう。北岳山荘に到着。テン場はほぼ満杯で、何とか傾斜地にテントを設営した。

北岳山荘
北岳と中白根の鞍部に建つ。黒川紀章の設計で南アルプス市営(当初は山梨県営)。テン場600円/人、ビール500円、水100円/リットル

2日目
4時起床。テント撤収に時間を食い、5時半の出発となってしまった。天気は上々だ。中白根の登りは最高に気持ちイイ。北岳山荘がみるみる小さくなって行く。中白根では白根三山、甲斐駒、仙丈、塩見、中ア、遠く北アとぐるり見渡せる。間ノ岳へは尾根の西側に道がつけられ、朝日をうけずに進む。尾根に戻って、急登をこなすと間ノ岳(3189m)。岩屑の頂上は広々している。地図上では静岡県のてっぺんだ。当然の様に「東海フォレストの私有地だよん」的な標柱が立っている。ここからの眺望は今山行一番だった。塩見、荒川三山、赤石と南部の山々まで見渡せた。写真休憩後、足下の農鳥小屋まで下る。長く苦しい下りだが、目標が見えるので気持ちは楽だ。


富士とケルン(間ノ岳で)


間ノ岳三角点
(測量地図では「相ノ岳」となっている)


間ノ岳から西農鳥を望む

農鳥小屋は昔ながらの山小屋で好感が持てる。高く聳える西農鳥目指して登り始める。急登で15分登っては休憩を繰り返さなければならなかった。登り切ったところが「西農鳥のはず」なのだが、先にまだ高いピークが見える。そこに着いても「西農鳥?」。結局どのピークだったのか確認できなかった。一旦西側に下り、上り返したところが農鳥岳(3026m)頂上。しかし、山梨側から涌いた雲で眺望は限られた方向だけだった。休憩後、下山を開始。尾根から離れ、山梨側の切り立った崖上を進む。船窪状地に降り立ち、広河内岳からの道が見える。広く開けた大門沢下降点で靴ヒモを締め直し、下降を開始する。これがトンでもなかった!ハイマツ、潅木帯は鼻歌でも出そうな感じだったが、森林に入ると傾斜が増し、体力を奪っていく。乳酸が溜り、筋力が落ちるとリカバリー能力が落ち、少しのスリップで転倒してしまう。それが3時間近く続く。膝の大爆笑に耐えながらやっとの思いで大門沢小屋に着けた。

大門沢小屋
大門沢と蓬沢の出合に建つ。温水シャワーが利用できる。35張とあるテン場は当日キャパ超えで素泊まりに変更した人も出た。テン場500円/人、水は無料。

3日目
今日も天気はイイようだ。温泉目指して下山開始。小屋から大門沢に降りて、沢沿いに下って行く。傾斜は昨日ほどではないが木梯子、鉄パイプ桟道、木橋とトラップが次々と現れる。それを過ぎると木々の美しい平を通る。杣道風になってくる。人の気配がしてきた。鉄製の吊り橋を3度渡るとゴールは近い。足下に巨大な堰堤が見え、雷光状に下ると林道に出る。(予約しておけばここまで奈良田からの送迎あり) 舗装路はなんて歩き易いんだろう。30分ほどで開運トンネルに出、それから20分で奈良田の駐車場に着けた。ああ、疲れた!


農鳥岳の標柱


大門沢小屋の玄関


大門沢とトラップ木橋

下界から見上げると稜線が繋がっているように見えるが、実際は三山なのであって、登下降が多く体力は必要だ。テント泊ならばもう一日とれれば申し分ない山行となるだろう。天気は期待しちゃダメだな。

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