■聖地・涸沢へ   北アルプス・涸沢            2008.08.09〜08.10

上高地に入るのは何年振りだろう。徳本峠から蝶ヶ岳に縦走して以来だ。涸沢往復のお気楽山行だけれどもワクワク感は大きい。

0日目
残業があったり、忘れ物をしたりで予定より1時間遅れで静岡を出発。R1号を興津で左折、R52号に入る。富士川沿いの国道は流れが悪く、いつもより時間がかかった。南アルプス市で県道に迂回して、武川でR20号に出る。ここは順調に進み、諏訪ICから中央道にのる。長野道に入り、松本ICで下りる。R158号を西進して沢渡に到着。新しくなった沢渡中・駐車場には足湯が隣接する。ビールを飲んで就寝。

1日目
4時半に起床。寝ている間に駐車場はほぼ満車。入山者は多そうだ。身支度を整え、シャトルバスに乗り込む。初めて通る新釜トンネルを過ぎ、大正池に近づくと焼岳が勇姿を現す。上高地の荒ぶる衛兵だ。それにしても峠沢の崩壊は顕著だ。上高地バスターミナルから河童橋に向かう。にぎやかな橋を横目に横尾街道に入って行く。左手に明神・独標が高く見えると明神分岐。新館だか別館だかが建ち、風情ある本館入り口が隠れてしまった。徳本峠への道を見送ってシラベやトウヒの林を進む。時折望める明神岳・東面は荒々しい。一般登山者は入山できない憧れの山だ。徳沢には多くの人が休んでいた。軽装の観光客のほとんどはここで引き返し、ここから先はザック姿の登山者だけになる。前穂北尾根が見渡せ、屏風岩が大きくなる。横尾到着。ここは槍ケ岳、穂高、蝶ヶ岳の分岐である。

河童橋からの焼岳 小梨平からの岳沢 横尾大橋を渡って穂高へ

梓川に架かる横尾大橋を渡り、横尾谷に入っていく。暗い樹林をしばらく歩くと岩小屋跡で横尾谷沿いとなる。石畳の道となり、木枝の間に屏風岩が迫ってくる。先に開けた場所があり、アマチュア写真家が屏風岩の威容をフィルムに捕えようとしていた。そのときゲレンデに登攀者はいないとのことだった。横尾からほぼ1時間で本谷橋に着く。ここまで急登はない。小休憩の後、上流に向かう。急登だ。葛折りで谷から離れていく。ペースが落ちる。すると雨まで落ちてきた。合羽を着る、着ないを迷う強さだ。すれ違う下山者が着ていたため「着る」を選択。少しすると沢の脇に出る。水量は多い。前が開けてモレーン上にヒュッテの屋根が見えてくる。しかし、それがなかなか近づいてこないのだ。道は階段状に整備され、歩き易いはずなのに脚が前に進まなかった。ようやくモレーン下の分岐に着き、ステップの切られた雪渓を登って涸沢ヒュッテに辿りつけた。上高地から6時間45分(休憩込み)。「お気楽山行」なんてとんでもなかった。立派なもんだ。

迫力の屏風岩(伝わり難いか) 本谷橋(上流から) 賑わうヒュッテのテラス

テント泊の手続きを済ませ、適当なスペースをさがし、テント設営をする。落着いたところでヒュッテを見物する。モレーンの端に3棟の建物がある。売店のあるテラスはとても2300m地点とは思えない賑やかさだ。食事はラーメン、カレー、おでんがあり、ジョッキで生ビールだってある。副食、飲料、お土産も豊富にある。金さえ払えば重いザックを背負ってくる必要はなさそうだ。テントに戻り、涸沢を取り巻く稜線を仰ぎ見る。右は北穂東稜から北穂、涸沢岳、白出のコル、奥穂、吊り尾根、前穂、北尾根、屏風岩と続く。2001年に縦走したときのことが思い出された。雨に濡れた奥壁バンド、ブロッケン現象、晴天の奥穂頂上、霧の前穂など昨日のことのように頭に浮かんだ。現実と妄想を混ぜて30分ほど見とれてしまった。


稜線の合成パノラマ写真。またいつか歩きたいものだ

食事を終えると日没を待たずに眠ってしまった。稜線上を駆け抜けるような雷鳴と雨音で数回起こされたが、疲労のため10時間ほど寝てしまった。


天場と涸沢小屋と北穂

  2日目
4時半起床。テントを撤収、身支度、朝食を済ませてしばらく稜線を眺めていた。景色が変化することを期待してみたが、大きな変化がないため6時に下山を開始した。天気、体調ともに上々。快調に下って行く。横尾まで2時間強、そこから上高地までも2時間強で歩いてしまった。横尾街道の長いエピローグはこたえたが、心地イイ山行だった。
1日目   2日目
沢渡   5:50 涸沢   6:00
上高地 6:15 6:25 本谷橋 7:10 7:25
明神 7:19 7:25 横尾 8:13 8:20
徳沢 8:12 8:23 徳沢 9:03 9:12
横尾 9:20 9:45 明神 9:52 10:00
本谷橋 10:53 11:10 上高地 10:37 10:40
涸沢 13:10   沢渡 11:08  

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