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2024年01月09日
After-Run Coolant Pump

        ターボチャージャーを熱から保護するために稼働するポンプ。 このポンプは、キーがACCの位置から始動し、エンジンを切った後にも
        一定時間稼働を継続する。
        停止に際し、@ 液温が下がった時点で稼働を止める。 A 誤動作防止用で稼働時間に制限を設ける。 の OR制御にするのが正常な
        システムと思うが、現状は、Aのみの制御となっている。
        回路図を見ると、ECUと独立した ラジエータファン制御モジュールの管理下に存在している。 ただ、3.2Lバージョン(VWエンジン)は
        ECUに1本制御線が行っている様だ( 緑枠 )。 これを見て、変だと思わない人が居るだろうか?

        サーマルスイッチのみ( エアコンクラッチの動作は除く )で、ラジエータファン制御モジュールは、ラジエータファンを稼働させている。
        ラジエータファン制御モジュールは、バッテリー直結となっていて、例えば、サーマルスイッチがON状態で故障した場合、ファンは
        バッテリー電圧が低下するまで動き続ける事になる。( = バッテリーが、おしゃか
        逆に、サーマルスイッチがOFF状態で故障した場合、ラジエータファンは動かず、オーバーヒートする事になる。
        一切、ECUの制御を介していないのは、大問題。 こんな危ないシステムが量産されていたとは信じられない。

        実際に、納車前の整備点検で、ファンが回らない事が判明し、ラジエータファン制御モジュール、ファン一体を交換している。





        爆弾を抱えた制御システムは後日見直すとして、現在問題なのは、ターボチャージャーを冷却するポンプの駆動仕様。
        納車された日から気になり、その時にも書いたのだが、ACC ON → ACC OFFの動作*1( エンジンは掛けない/液温は室温 )
        でも、ポンプが5分程動き続けて停止する動作。 試しにフル充電を終えたバッテリーに充電器を接続させたままの状態で、*1を
        させると、フル充電電圧13.5Vが13.0Vまで低下する。 かなりの電流を消費している事が解る。

        これでは、バッテリーに負担が掛かるので、回路を変更せざるを得ない。
        要は、エンジンを停止した直後に液温を測定して、ある温度以下ならポンプを動かさなければ良い。その温度は、夏場でも余裕のある
        温度で、エンジン停止後に十分冷えている温度に設定する。 温度は、50℃にすれば良いだろうか。
        制御のトリガーは、ACC ON → OFFを監視し、その後 液温測定、ポンプ起動の可否 のシーケンス。 エンジンが掛かった後は
        ラジエータファン制御モジュールに制御を渡す。


< Hardware >



         今回は、ソフトウエアが単純なので、載せて置く。

< Software >









2024.1.17日 更新



               仕様 : IG OFFを感知した後、液温を測定。 50℃未満なら、After Run Pumpを強制的に停止させる。
                     停止期間は、ラジエータファン制御モジュールが、ポンプに電源を供給している間。電源供給の停止を感知して
                     ラジエータファン制御モジュールとポンプ間を接続させた後、本制御は、スリープ状態に遷移する。
                     尚、IG ON時は、ラジエータファン制御モジュールが制御を行う。この期間中、本制御はスリープ状態に遷移する。 
                     スリープ時の、本制御モジュールの消費電流は、1μA未満。








2024.1.18日 更新



        さて、装着する前に水温センサーの出力値を確認する。
        久々に、VCDSを使う。 CAN BUS上の温度データを見ながら、水温センサーの出力電圧を計る。
        水温センサーのコネクターに、まち針を刺す。 ここに、テスターを接続して、電圧を計っていく。





         一方、VCDSは、エンジンメニューを選択後、 ” アドバンスド メジャー バリュー ” を選択。 


 


         開いた画面の右側に測定項目の一覧が示されるので、水温センサーの項目にチェックを入れる。
         ( 項目を絞りたいなら、最上部の枠内に Temp とか打ち込めば、検索されて表示されるので、探す手間が省けて 楽
         左側の画面に、選択した項目の値が、リアルタイム表示される。( ガレージ室温は、6℃だったので、表示された液温も合致





        エンジンを掛けて、VCDSの表示を見ながら、水温センサーの出力電圧を見ていく。





         結果が、下表。  制御に使う温度は ........ 50℃未満でポンプ停止だから、閾値 : 1.2(V)にする。


温度(℃)電圧(V)
301.9
401.5
501.2
600.9


         因みに、気になっていた、この位置は、約70℃だった。







2024.1.20日 更新



        コントローラを実装をする。 必要な信号の中で苦労したのが、キー OFF → ACC → OFF で、 0V → 12.5V → 0Vと
        変化するもの。 エンジンルームには、ソレノイドバルブが多々搭載されているが、これらは全てエンジンが掛かっていないと電圧が
        供給されない。 センサー類は、電源が5Vとか、ACC → OFFに遷移しても、30秒程電圧が掛かったままとかで使用出来ない。

        探す事、1時間  .....  エンジンルームに無ければ、車内から引き出すしかないか  ...  最後の望みで、ブレーキフルードの
        液面センサーを見てみると、使える !  





        配線を終えて検証する。 キー OFF → ACC → OFFで、通常は After Run Pumpが動き始めるが、駆動音が聞こえない。
        エンジンを掛けていないので、液温はガレージ室温で低い状態。 コントローラのLEDを見ると、点灯しているので、ポンプを強制停止
        している。
        後は、エンジン掛けて液温を上げた後( 50℃以上)、エンジン停止した時にポンプが動けば OKとなる。
        ソフトウエアは、シミュレーション済みなので動くはずだ。 これで、バッテリーの負荷を低減出来たし、あの ジーと5分間も続く音も
        無くなったので、整備も進む ( 笑








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