ターボチャージャーを熱から保護するために稼働するポンプ。 このポンプは、キーがACCの位置から始動し、エンジンを切った後にも 一定時間稼働を継続する。 停止に際し、@ 液温が下がった時点で稼働を止める。 A 誤動作防止用で稼働時間に制限を設ける。 の OR制御にするのが正常な システムと思うが、現状は、Aのみの制御となっている。 回路図を見ると、ECUと独立した ラジエータファン制御モジュールの管理下に存在している。 ただ、3.2Lバージョン(VWエンジン)は ECUに1本制御線が行っている様だ( 緑枠 )。 これを見て、変だと思わない人が居るだろうか?
サーマルスイッチのみ( エアコンクラッチの動作は除く )で、ラジエータファン制御モジュールは、ラジエータファンを稼働させている。 ラジエータファン制御モジュールは、バッテリー直結となっていて、例えば、サーマルスイッチがON状態で故障した場合、ファンは バッテリー電圧が低下するまで動き続ける事になる。( = バッテリーが、おしゃか 逆に、サーマルスイッチがOFF状態で故障した場合、ラジエータファンは動かず、オーバーヒートする事になる。 一切、ECUの制御を介していないのは、大問題。 こんな危ないシステムが量産されていたとは信じられない。
実際に、納車前の整備点検で、ファンが回らない事が判明し、ラジエータファン制御モジュール、ファン一体を交換している。
爆弾を抱えた制御システムは後日見直すとして、現在問題なのは、ターボチャージャーを冷却するポンプの駆動仕様。 納車された日から気になり、その時にも書いたのだが、ACC ON → ACC OFFの動作*1( エンジンは掛けない/液温は室温 ) でも、ポンプが5分程動き続けて停止する動作。 試しにフル充電を終えたバッテリーに充電器を接続させたままの状態で、*1を させると、フル充電電圧13.5Vが13.0Vまで低下する。 かなりの電流を消費している事が解る。
これでは、バッテリーに負担が掛かるので、回路を変更せざるを得ない。 要は、エンジンを停止した直後に液温を測定して、ある温度以下ならポンプを動かさなければ良い。その温度は、夏場でも余裕のある 温度で、エンジン停止後に十分冷えている温度に設定する。 温度は、50℃にすれば良いだろうか。 制御のトリガーは、ACC ON → OFFを監視し、その後 液温測定、ポンプ起動の可否 のシーケンス。 エンジンが掛かった後は ラジエータファン制御モジュールに制御を渡す。
< Hardware >
今回は、ソフトウエアが単純なので、載せて置く。
< Software >
2024.1.17日 更新
仕様 : IG OFFを感知した後、液温を測定。 50℃未満なら、After Run Pumpを強制的に停止させる。
停止期間は、ラジエータファン制御モジュールが、ポンプに電源を供給している間。電源供給の停止を感知して
ラジエータファン制御モジュールとポンプ間を接続させた後、本制御は、スリープ状態に遷移する。
尚、IG ON時は、ラジエータファン制御モジュールが制御を行う。この期間中、本制御はスリープ状態に遷移する。
スリープ時の、本制御モジュールの消費電流は、1μA未満。
2024.1.18日 更新
さて、装着する前に水温センサーの出力値を確認する。
久々に、VCDSを使う。 CAN BUS上の温度データを見ながら、水温センサーの出力電圧を計る。
水温センサーのコネクターに、まち針を刺す。 ここに、テスターを接続して、電圧を計っていく。
一方、VCDSは、エンジンメニューを選択後、 ” アドバンスド メジャー バリュー ” を選択。
開いた画面の右側に測定項目の一覧が示されるので、水温センサーの項目にチェックを入れる。
( 項目を絞りたいなら、最上部の枠内に Temp とか打ち込めば、検索されて表示されるので、探す手間が省けて 楽
左側の画面に、選択した項目の値が、リアルタイム表示される。( ガレージ室温は、6℃だったので、表示された液温も合致
エンジンを掛けて、VCDSの表示を見ながら、水温センサーの出力電圧を見ていく。
結果が、下表。 制御に使う温度は ........ 50℃未満でポンプ停止だから、閾値 : 1.2(V)にする。
温度(℃) | 電圧(V) | 30 | 1.9 | 40 | 1.5 | 50 | 1.2 | 60 | 0.9 |
因みに、気になっていた、この位置は、約70℃だった。
2024.1.20日 更新
コントローラを実装をする。 必要な信号の中で苦労したのが、キー OFF → ACC → OFF で、 0V → 12.5V → 0Vと
変化するもの。 エンジンルームには、ソレノイドバルブが多々搭載されているが、これらは全てエンジンが掛かっていないと電圧が
供給されない。 センサー類は、電源が5Vとか、ACC → OFFに遷移しても、30秒程電圧が掛かったままとかで使用出来ない。
探す事、1時間 ..... エンジンルームに無ければ、車内から引き出すしかないか ... 最後の望みで、ブレーキフルードの
液面センサーを見てみると、使える !
配線を終えて検証する。 キー OFF → ACC → OFFで、通常は After Run Pumpが動き始めるが、駆動音が聞こえない。
エンジンを掛けていないので、液温はガレージ室温で低い状態。 コントローラのLEDを見ると、点灯しているので、ポンプを強制停止
している。
後は、エンジン掛けて液温を上げた後( 50℃以上)、エンジン停止した時にポンプが動けば OKとなる。
ソフトウエアは、シミュレーション済みなので動くはずだ。 これで、バッテリーの負荷を低減出来たし、あの ジーと5分間も続く音も
無くなったので、整備も進む ( 笑
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