AUDI TT @


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2024年04月04日
ホブキーのリーク現象

        2024.2.28日に、リーク不具合を解消出来たと思っていたのだが、又しても キーSWの押下に反応が無い。
        電池電圧を無負荷状態で測ると、2.8V。 これじゃ、SW押下時は2.1Vぐらいまでドロップしてしまうので、キーレスはスリープのまま。
        また、リークしている。

        リークの原因は、何かしらの因子がトリガーとなって、システム内に不確定な箇所が出来て、正常動作を逸脱し異常動作を止めない状態
        となる事。。
        こうなると、次のイベント( ex, SW押下 )が起こらないと、正常復帰しなくなる。 それまでの期間、スリープ状態に遷移せず、電流が
        流れ続ける事になる。 ICを設計する時は、予期せぬ事態に備えて、ウォッチドックタイマーを内蔵させて、ある時間以上システムが動いて
        いた場合、異常と判断して強制的にリセットさせる機能を組み込むのが通例。
        使用面でも、こんな場合がある。 バックにキーレスを入れていて、SWが押されっぱなしになる状況があるが、こんな場合は3秒以上継続
        した場合、強制的にリセットしスリープ状態に遷移させる等。

        兎も角、因子を発生させる事に専念する。
        RF関連は、異常動作する事は無いだろう。 これを制御するロジックIC周りが怪しい。電流計を見ながら、竹製のピンセットで突いていく。
        多少電流が流れる所を覚えて置き、次に、オシロのプローブ先で触って見る。 すると、ある端子を触った途端、300μA程流れ続ける
        現象が出た。 放置すると、流れたまま  ......  一度SWを押下すると、正常にスリープ状態へ遷移した。





        その端子が、3,4,5番。 基板を追うと、SWに繋がっている。 SWの一端はGNDに繋がっているので、この端子は3Vにプルアップ
        されている筈。 SWが押下されれば、GNDに落ち インターラプトが発生し、スリープからアクティブに遷移、そして押下されたSWの
        機能に準じる暗号パルス( Close , Open , Trank )を発生させる仕組み。SWが離されれば、スリープへ移行して終了。







         では、プルアップ抵抗は如何程か ? で、データシートを見ると、何と180kΩとなっていた。( 下図中の□で囲った
         プルアップMOSのON抵抗。 メタルマスクオプションなので、3個中のいずれかが、IC内の端子に内蔵されている )








         この抵抗値は、余りにも高い。 ハイ インピーダンス状態に近似しており、帯電した人、金属が触れれば、スパイクノイズを発生する
         原因となる。
         このノイズに因って、あたかもSWが押下されたとICは判断して、スリープからアクティブへ遷移してしまう事になる。
         人が持ち歩く電子機器ならば、抵抗値の設定値は一桁大きい。
         では、アクティブ状態になった時、このICの消費電流は ? となるが、下表の一番上に引いた赤線を見ると、300〜400μA
         まさに、起こっている現象と同じだ。





         問題は、アクティブになったらその後スリープに移行しなければならないが、保持されてしまう事。
         人がSWを押下する時、数百ms以上は押している。 これをICはSW押下確定として、次の処理に入る。処理が終われば
         スリープに遷移する(正常動作)。 一方、スパイクノイズ(20ms以下)が入ると、同様にアクティブに移行するが、さてどのSWが
         押下されたかを認識する時点では、不明状態。 さて、どうしようか ?  で、フリーズ状態となっていると推測する。

         これは、このICを設計する時点での、ミス以外に無い。 状態遷移に抜けが有るのだ。
         そもそも、このICは、32kHzの発振器が外付けされており、電池が挿入されればICは極低消費モードで動き続ける。
         このクロックが有れば、ウォッチドックタイマーで異常を検知出来る筈だが、この機能が無い。





         プルアップ抵抗180kΩを下げる為に、基板上に16kΩ程度の抵抗を並列させ実装させようとしたが、スペース不足で断念。
         代わりに、SW端子と、ICの端子に絶縁剤を塗布して対策した。



         しかし、上記 ICの不具合から察するに、SW以外にも起こり得る事象が存在する。 それは、電源の瞬断。
         試しに実験すると、即座に現象が現れた。





         3Vの端子が、下の楕円。 基板上の+端子に圧着させる為に、バネ形状となっている。 このバネ常数が低い為、手持ちの状態で
         地面に落下させた場合、一瞬この端子が基板の+端子から離れてしまう。 これで、電源の瞬断が起こる。
         ( GND側は、接点数が多くバネ常数も高い為、問題とはなっていない )
         この後、SWを一度押下しさえすれば正常復帰して、スリープ状態に入るのだが  ......  普通はしないよね
         日常使用していれば、リークしたままの状態を避けられるのだが、偶にしか使わない場合、電池は短期間で空になってしまう。





         そこで、3V側の端子を結線する事にした。





         これで、様子見となる訳だが、一つ懸念事項が有る。
         それは、SW。 落とした時、運悪くSW面に衝撃が掛かった場合、チャタリングが発生しないだろうか? 今使用しているSWは
         押下力が そんなに高くはない。 硬めのSWが必要になるかも知れない。

         あ それにしても、何でこんなICを採用したのだろうか。 車載 & 量産品 では、有り得ない事だ。





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