慣性実験器(電磁石式)
 「慣性実験器」として、電磁石を利用したものは、約6万円ぐらいで市販されている。しかし、電源としては、100VACを整流し、一端コンデンサーに蓄え、それを放電する方式をとっている。走らせる台車と滑走台は、それぞれ専用となっている。ここでは、やや正確さに欠けるが、生徒が普段使用する「力学台車」にセットして、手軽にできるような工夫してみた。
     
1 問題点と工夫
@ 打ち上げる玉は、普通、鉄が封入されたプラスチック球であるが、かなりの電圧と電流が必要となり、また、危険である。ここでは、ネオジウム磁石球を使用する。
A コイルに電流を瞬間的に流したときの磁界によって、磁石球がコイル内に引き寄せられ、その勢いでコイルの反対側(上)から飛び出す。このとき、磁石球のスタート時の磁力の向きが、いつも同じになるようにする工夫が必要である。
B コイルに電流を瞬間的に流し、そして、瞬間的に切れる工夫をしないと、磁石球は高く上がらない。
C 磁石球が回転すると、飛び出してから、野球のカーブと同じで、やや曲線を描いてしまう。なかなかこれを防ぐ方法が見あたらない。球を使わず、棒状の磁石を使うのも1つの方法かも知れない。
  ※球の場合は、受け皿に落ちてから、コイルの中を下に自然と落ちるが、棒状の場合は、受け皿でとまったままで、繰り返しの実験はできない。
2 材 料
 エナメル線 0.65mmφ
 アクリル板 厚さ3mm(コイルのボビン用など)
 アクリルパイプ 内径 10mmφ 長さ20cm
 ネオジウム磁石 10mmφと8mmφ 各1
 アクリル板 厚さ 3mm 
 プラスチックロート(受け皿)
 リレー(オムロン LY2 DC12V)
 押しボタンスイッチ
 抵抗 200オーム 3W 
 配線用導線、ネジ類  
3 作り方
◆ボビンとコイルをつくる。       
@ コイルのボビンを右図のような寸法につくる。
  A 0.65mmφのエナメル線をコイルのボビンに約600回(8段)巻く。
  B 巻き終わったら、台になるアクリル板に、ネジで固定する。
    ※台の中央には、フェルトを貼る。
  C そのネジを利用して、コイルの両端を半田付けし、端子にする。
  ◆受け皿をつくる。
  D リレー、押しボタンスイッチ、抵抗を使って、右下の回路図のように配線する。
  ◆発射スイッチをつくる。 
  E リレー、押しボタンスイッチ、抵抗を使って、右の回路図のように配線する。  
   
 4 実験の方法  
  装置を力学台車に固定し、電源装置を用意する。  
  @ 力学台車が静止している状態で、玉を打ち上げる。  
  A 力学台車を動かしながら、玉を発車する。  
  B Aの状態のとき、つまり玉が空中にあるとき、力学台車を急にとめる。