みんなちがって、みんないい
国際理解教育に思う
 「世界で活躍できる人間を、ぜひ育ててください。」
 十数年前、アメリカのミルクリークを訪ねたとき、そこで活躍していた日本人に、いきなりそう言われたことを、今でも覚えている。その人は、世界に活躍できる人間として、大事なのは、まず「健康」だと言って、さらに、自分の考えをしっかりもって主張できること、語学ができること、体験が豊富なことをあげていた。
 実際、アメリカの学校では、様々な人種の人たちが、一つの教室の中で、何の違和感もなく、互いに会話を交わし学習していた。果たして日本の子供たちには、どこまでできるだろうか。
 日本人には、周りの人が自分と違っていても、その異質性を尊重し、認め合うことがなかなかできにくい。生徒たちも、自分と考え・行動が違う友達と仲良くしていく心情や態度が育っていないのが実態である。また、逆に、みんなと同じでないと不安になり、周りと合わせることばかり気にかけている生徒もいる。最近は人間関係も希薄になっており、いじめ・不登校が起こりやすい土壌になっているのは気がかりである。
 本校では、ここ数年来、国際理解教育に取り組み、外国勤務の保護者に外国の生活文化に接した体験談を聴いたり、在日外国人に日本と外国の生活文化の違いを話したりしてもらう機会を設けてきた。 
 例えば、平成6年度には、海外で福祉活動を実践している人の体験談を聴くことで、国際的な規模でのボランティア活動の意義や国際的に信頼され働く日本人の存在について考えることができた
 平成7年度及び9年度は、とくに外国人子女が数人在籍し、1年たたないうちに転校していった。生徒たちの外国から来た仲間への対応は、どうであったのであろうか。言葉がままならない外国へ来ての心細さ不安感を理解し、最初のうちは積極的に声をかけるが、慣れてくると、家庭の事情などに対する遠慮や、求めるものの違いや生活習慣の違いなどもあって、それ以上のふれ合いが深まりにくかった。
 平成7年度から、「国際的視野に立って、人や社会のために考えたり、行動したりできる生徒の育成」を目標に、学校教育の場で、無理なくできる国際理解教育を模索し、実践してきた。まず、心をひらき、自他の違いを認め合うことを常に念頭において各実践を推進してきたつもりではいるが、実際は、それこそなかなかむずかしい課題であった。それでも目標を失わず、続けてこられたのは、教職員・保護者・地域の方々の協力があったからであり、今、あらためてそのことに感謝している。
 「みんなちがって みんないい」 
              平成10年3月