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'05.12.03 更新

「戦闘妖精雪風」 それぞれの感想文


 このページはいつも以上にネタバレ部分が多いです。ので、原作orOVAをまだ御覧になってない方はスルーしていただくことを強く希望します。
 それでもいいよ、という心の広い方だけお読み下さい(爆)。

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OPERATION 1

 初めて見た感想は「公式HPのプロモ映像の拡大版?」でした(失礼だなぁ(^^;))。
 これは「戦闘妖精・雪風<改>」(以下<改>)の「妖精舞う空」の前半部分、「全系統異常なし」の前半部分、「スーパーフェニックス」の後半部分が元になったお話です。
 全体的にすごく抽象的すぎるので、一見しただけではよく解らないです。ので、この回は原作を読んでからもう一度見ていただくことをオススメします。特に「全系統異常なし」は、読んでおくと、ジャムのミサイルに狙われたあの瞬間に雪風が何をしたのか?という疑問が解消できます。
 OVAと原作で大きく違うのは、深井零が意外とお喋りで冗談も言える人間くさい人だということ。あのクーリィ准将を「鬼の様な婆さん」とか「スーパー婆さん」と言ったり、軍法会議でも自分できちんと反論したり(あんなボソボソとぶっきらぼうに、ではなく)。決して『非人間的』な人物ではありません。確かに他者との関わりが稀薄な部分(全てにおいて「俺には関係ない」なので(^^;))は『非人間的』なのかもしれませんが。
 多分OVAでは零の『非人間性』を際立たせる&戦闘部分をガッツリ見せたいが為に、必要最小限の言葉しか話さないキャラにしたんでしょうが、それにしても削りすぎじゃないかなぁ? もうちょっと零に会話させてあげても良かったと思うんですが。
「妖精舞う空」では、ジェイムズ・ブッカー少佐と零が親友になるきっかけとなったエピソードが書かれています。う〜ん、男同士の友情ってこういうことでも芽生えるのね(^^;)、とちょっと勉強になりました(爆)。そのブッカーと零ですが、原作ではOVAよりもっとフランクで仲がいいです。さすがに、雪風が行方不明になっても取り乱したりはしないですが(^^;)。
 FRX−99のテストフライトに何故ブッカーが搭乗していたのかがいまいち解りにくかったんですが、それを口実に零を探しに行っていたことが「グッドラック 戦闘妖精・雪風」(以下グッドラック)の「ショックウェーブ」で判明します。
 実は「スーパーフェニックス」のラストでは、雪風から射出された零がどうなったのか?が明確にされてないんですね。OVAでもあまり明確ではないですが(^^;)。これも「ショックウェーブ」で判明するんですけど。続編を望む声が多かったのも頷けますわ。

 映像特典内で堺さんが言っている零のあのキメ台詞は、多分、本編とは別バージョン・・・ですよね?(苦笑)

OPERATION 2

 これは「グッドラック」の「ショックウェーブ」の前半部分と「戦闘復帰」の零がプールで泳ぐ&カウンセリング&エディス・フォス大尉が雪風に乗ると言うエピソードと「<改>」の「騎士の価値を問うな」の雪風とナイトとの戦技フライトのエピソードが元になったお話です。「戦闘復帰」と「騎士の価値を問うな」のエピソードは一緒になっていて、フォス大尉が零に戦闘復帰許可を出す代わりに、無人のナイトとの戦技フライトにフライトオフィサとして搭乗する、と言うエピソードになっています。
「戦闘復帰」のプールのシーンやカウンセリング、OVAではかなりあっさりと描かれてますが、結構エディスと零がそこで議論を交わしてるんですよ。この部分って原作では中盤で、その前には、零が一旦(というか一瞬?(苦笑))地球へ戻って、『ジ・インベーダー』の著者、リン・ジャクスンと交流を持ったりして、零が徐々に変わり始めるんですね。でもOVAではまだまだ前半部分なので、多分その辺を削ったんだろうと思われます。もったないねぇ〜。

OPERATION 3

 これは「<改>」の「インディアン・サマー」が元になったお話です。この話をガツッと描いてくれたのは嬉しいですね。基本的な部分はほとんど一緒なんですが、トム(トマホーク)・ジョン大尉の人工心臓がジャムに侵食された、というのが、トム・ジョン自体がジャムの作り出したコピー人間だった、と言うエピソードに変わっています。それに伴って、零とトム・ジョンがバンシーWの調査に借り出されたもう一つの目的のエピソードが新たにOVAで付け加えられています。
 原作では比較的前のほうのエピソードで、その時点ではジャムが人間のコピーを作り始めたことはまだ記されてないですが、OVAではOPERATION1で零がジャムが作り出したバーチャル空間とコピー人間に遭遇するエピソードを描いている(「スーパーフェニックス」)ので、そういう内容に変わったんだと思います。いずれにせよ、非常に悲しい結末であることには変わりありません。
 OVAではトム・ジョンが雪風の開発に大きく関わっていることが判って、零が少し心を開いて―――エディスから「一時的な感情の共有が見られる」と言われ、「いや、俺は・・・」と返すブッカーがカワイイッ(*^-^*)。その後、「いえ、深井中尉ですけど・・・」と告げられ「・・・当たり前だ」と取り繕うところも更にカワイイッ(^^;)―――かなり会話をするようになるんですが、原作ではもっと会話をしてるんですね。何より零が作品中唯一彼の死を悼んで涙を流します。当初は「出来れば入れて欲しかった」と言っとりましたが、改めて見返してみると、激しい雨の中、雪風の中で項垂れている方がよっぽど痛いですね。
 シリーズ中では一番好きなエピソードです。

OPERATION 4

 これは「<改>」の「戦闘妖精」が元になったお話です。あと、「妖精舞う空」でブッカーと零が話していた、ブッカーが趣味で作っているブーメランの話をここでしています。その際、「この戦争が終わったら俺の田舎に来ないか?」と零に告っちゃうのよ〜ん(*^-^*)。んもぉ〜、ブッカーったらねぇ(^^;)。
 OVAではブッカーはリン・ジャクスンの『ジ・インベーダー』について、「比較的まともに書かれている」くらいの評価ですが、原作では、この本を「一番信頼できる内容」といい、リンを「一流のジャーナリスト」と絶賛し、数回、手紙によるやり取りをしています。零が一旦地球へ戻る際にも、リンに零の面倒を頼んだりして、結構好意的で親密な関係です。ここまでの間にそのあたりを詳しく描いていないので致し方ないかな?とは思うんですが、原作を読んだ後だともうちょっとなぁ〜と思ったりもします。
 OVAではリンとちょっとだけ会話をしている零ですが(リンから「案外いい声してるのね」と褒められるセリフにちょっと大笑いしてしまいました(^^;)。わかる人は・・・分かりますよね?)、原作では全く会話はしていません。そのかわり、ブッカーが「零だったらこう答えるだろう」とリンの質問に答えます。
 日本の空母への着艦の仕方とか、飛び立つ前の皆を驚かす行為とかがアメリカンジョークっぽくっていかしてます。日本人相手に・・・ってところがミソなんでしょうね。
 そして帰投途中に・・・という所で終わります。
 この回に関してはOVAのエピソードの方が好きです。

OPERATION 5

 前回のラストで帰投途中にジャムのグレイシルフ(旧タイプの雪風)と遭遇した雪風と零。これは「グッドラック」の「戦略偵察・第二段階」の一部に相当します。「グッドラック」ではブッカーではなく桂城少尉が搭乗してるんですが(-_-;)。あぁ・・・残念(T-T)。
 原作ではそこで零とジャムが禅問答のような対話をしてるんですが、・・・ばっさりカットでしたね。しかしあれでは雪風が自分に向けてミサイルを放った経緯(一応零が説明してますが)とか、その後、どうやって状況を打破したのかが分からないですよね(^^;)。その辺りはもうちょっと詳しく描いても良かったような・・・。
 あとは「グッドラック」の「戦闘意識」のお茶会(出席者がロンバート大佐ではなく、リンネベルグ少将になってます)と、「グッドラック」が元になっています。
 お茶会に出席する前にエディスと零が雪風の心理分析と音声による指示を行いますが、「グッドラック」の「戦略偵察・第一段階」にその元となるようなエピソードがあります。桂城少尉が全く絡んでませんし、エディスが自分のパソコンを雪風に持ち込んでますしね。だから骨組みの部分だけ利用して後はばさっと、って感じなのでしょうか?(T-T) OVAの零が雪風に「心配するな、雪風」と話しかけるシーンは結構お気に入りです。
 原作の方ではこのお茶会は、零がジャムの作り出したコピー人間と接触し、どうやら内部にもかなり潜入し始めているらしい、位の時点なので、ロンバート大佐に、ジャミラー(ロンバート大佐が命名。・・・まんまやん(^^;))を一掃するには何か新しい部隊を作ればいい、と進言するんですが、OVAではすでにOPERATION4の時点でロンバート大佐自ら「地上戦要員として」と言う名目で再教育部隊を結成し、クーデターを起こすので、そのもっと上のリンネベルグ少将がメンバーに入っているものと思われます。
 原作で零や桂城少尉が提案した「バンシーVに本部機能を全て移す」と「通路を抜けて地球に行く」が合わさったような案でロンバート大佐のクーデターに対抗するわけですが、これは現在のコンピュータが省スペースでも十分に大容量の情報処理が可能、という実状からそういう設定になったのだと思います。
 終盤のジャムの総攻撃、あれがハード1台分使ったと言う、20万機のジャムなわけですね。あれだけ小さくてもジャムだって分かる所がすごいっすね。何か雲霞がわらわら飛んでるみたいで若干気持ち悪かったですが(^^;)。それに立ち向かうFAFの飛行機たちもカッチョ良かったです。
「ロンバート大佐の置き土産」としてリンネベルグ少将が更迭した雪風を、「最強の切り札を切らずに死にたくはないですからね」と出撃させるクーリィ准将。一番ジャムとの戦い方を分かっている人だからこそ言える一言なんですが、カッチョイイなぁ〜。
 クーリィ准将の出撃要請を受け、零に伝えに行くブッカー。あの場面が今回の大きな見せ場と言っても過言ではないでしょう!(おぉ、力説するね?(苦笑))あれは何度観てもせつないなぁ。ブッカーが「それとも英雄にでもなったつもりか!」と恫喝しながら零の両肩を掴んで揺する所がねぇ〜、涙腺緩みポイントなんすよ。
 原作の方だとそこまでの間にそれぞれがジャムについての議論を交わし、それが現段階での最善だ、と合意の上なので淡々としていますが、OVAではそれがないですからね。ブッカーとしちゃあ辛いですよ。あの辺りからどうしてもブッカー目線でストーリーを追ってしまいます(^^;)。
 零が雪風とともに出撃してそのあとどうなったのか?はOVAでも原作でも明らかになってません。原作に至っては出撃した所で終わってますから。映像特典で大倉監督が「予定調和な終わり方にはしたくなかったから、出来上がった準備稿や絵コンテを一旦白紙に戻した」みたいなことおっしゃってたので、もしかしたら、零が助かる、というエンディングも用意されてたかもしれないですね。もっと原作とかけ離れたエンディングになるのかな?と思っていたので、これだったら原作の思いに準じたような格好になってるんじゃないでしょうか?
 ブッカーが言うとおり、零はきっと何処かで雪風とともに生きている、そんな気がします。

 余談ですが、ブーメランを作っているブッカーを、ソファーにもたれて穏やかな微笑を浮かべながらいとおしそうに見つめる零とラストシーンの零の微笑にくらくらです(爆)。

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 OPERETION5発売前になんだかんだと理想を語ってましたがことごとくハズレでした。やー、折角最後なんだしぃ〜と思ったんだけどなぁ・・・。やっぱり「外伝」希望です(切望!)。

 5巻の映像特典として深井零役の堺さんとブッカー役の中田さんのインタビューがあったんですが、そこで中田さんが「全てを説明して分からせようとしていない所がいいのでは?」とおっしゃってたんですが、確かにそれも一理あるかな〜。でもなぁ・・・。
 最後まで雪風と行動を共にすることを選んだ零に対して中田さんは「ブッカー、切ないなぁ〜」と気持ちを代弁してましたが、零だってブッカーの気持ちに全く気付いていなかった訳はないと思いますよ。それを証拠に、ジャムが作り出したバーチャル世界に囚われた時、「電話一本でジャックが俺の無事を信じたって? ・・・ウソだっ!」と言い切ってますからね(「OPERATION1」より。実際ブッカーは大慌てだった(^^;))。ブッカーの想いも分かった上でそれでも雪風なんですよ、零は。それが切ないんですが(^^;)。中田さんのその発言を聞きながらクククッと笑っていた堺さんに零を見た気がしました(苦笑)。
 この作品に参加したことを堺さんは「何かの間違いとしか思えない」とか「大人の中に子供がポンッと紛れ込んだ感じ。決して居心地悪いわけではないんだけど・・・」とか「いわゆる『飛行気乗りの6割頭』(=戦闘機を操縦しているときは脳の60%ほどしか正常に機能していない、と言うこと・・・らしいです)の状態」などいつもながらの語録を連発していました。
 中田さんからの「初めて見た印象は、顔が小さくてカッコよくて、単純に『あぁ映像をやってる人なんだなぁ』とミーハー的なことを思った」とか、「零のイメージってなかなか浮かばなかったんだけど、堺さんのセリフ(「これより帰投する」だったらしい)を聞いた瞬間に『あっ、零だ』と思った」とか、「どっからどうやって見つけてきたんだろう?と思った」などのお褒めの言葉を聴きながら「すっごい光栄です!」と照れ笑いを浮かべていた堺さんが非常に可愛かったです。

 これからも何度も何度も見直して、映像の中に込められた雪風の「声」を私も聞きたいと思います。

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O・MA・KE

 この『雪風』の中でも重要な位置を占めているであろうと思われるサウンドトラックについてちょっと触れたいと思います。やっぱり音楽道楽としては語らねばならんだろうと思いまして(苦笑)。
 三柴理、塩野道玄(「ザ 蟹」)両氏によって作り出された音楽たちは、『雪風』の世界観に一層の深みを与えています。あの映像と併せてはもちろんの事、『雪風』と切り離しても十分に聞きごたえのあるサントラだと思います。
 どの楽曲も素晴らしいんですが、特にお気に入りは「Ready to Fight」と「リン・ジャクスン」でしょうか? 

 あとかなり余談ですが、個人的にはスーパーシルフよりも、メイヴの『雪風』の方が好きです(苦笑・・・ホントに余談だ(^^;))。

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O・MA・KE の O・MA・KE

 ここまできたら・・・、ってな感じで、「FAF航空戦史」購入しました(苦笑)。バカだねぇ〜(^^;)。まぁ、ブログの方でも書いたんですが、この作品に関しては、もう堺さん云々は超越しちゃってるので(爆)。
 これは、軍事評論家・岡部いさく氏によるOVAの方に登場しているメカニック部分の徹底解説と、大倉監督、メカニックデザインの山下いくとさん、プロデューサーの杉山潔さん、3D特技監督の竹内敦志さん、音響監督の鶴岡陽太さんによる、『雪風』への想いが熱く語られるメイキングの二部構成になってます。
 私は特に戦闘機ヲタではないので、戦闘シーンの大まかな所も細かい所も謎だらけだったんですが、岡部さんの分かりやすい説明のおかげで、「あ〜、そういうことだったのね〜」とまさに目からうろこ状態で、私には非常に面白かったです(苦笑)。若干ヲタ気味?(苦笑)
 メイキングの方は、それぞれがかなりヘビーに『雪風』を愛しているが故のせめぎあいって言ったらいいでしょうかね? それを強く感じました。リアルとアニメらしさの境界線を何処で引くのかっていうのはすごく難しいと思うんですが、この『雪風』に関して言えば、丁度いいところで線が引かれているのではないかなとシロートさんなりに思いました(^^;)。

 DVDのケース(というかファイルかな?)に添付されていた、原作者の神林さん、大倉監督、杉山さんによる「TALKING SESSION」に、堺さんの起用理由が書いてありました。零の声は最初から声優さんの声ではやりたくなかったようで、大倉監督が観た舞台のビデオ(それが何なのかは分からないのですが・・・)での堺さんの「張りの芝居に感情がこもってカッコよかったので、ぜひこの人に」(大倉監督)とお願いしたようです。音楽製作を担当していた女性プロデューサーの一推しも効いたみたいですが(^^;)。「ダメもと」(大倉監督)でお願いに行くと堺さんは「こういうアニメ作品をやりたいと思っていたんですよ」と言って依頼を受けたらしいです。今では零の声は堺さん以外には考えられないそうです。ただ堺さんの発声法が声優さんのそれとは違うので、録音するのは大変だったみたいですね。でも、聞いていて新鮮だった、と音響監督の鶴岡さんが語っていたようです。

 大倉監督が話していたエピソードでとても印象に残っているのが、山下さんが最終話のプロットに「彼(零)は妖精世界の住人。間違って人間世界に生まれついてしまった彼が妖精世界に帰ったんじゃないか?」みたいな事が書いてあった、という話です。あぁ、だから零は、最終的に妖精と一緒に行くことを選んだんだな、と、それを聞いてすごく腑に落ちました。
 大倉監督は、零とブッカーの関係を、視線を合わせないことで噛み合わなさを表現しようとしていたそうです。でも、最後の最後に遠く離れてはいますが視線を合致させることが出来たから、ブッカーは「零が今でも何処かで生きている」と信じているんじゃないでしょうか?

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