'05.05.31 作成
『ありがとう おかげさまです お客様』――― 祝・ヤオハンジャパン出場記念
第68回都市対抗 静岡予選
at 浜松市営球場 9月6日 (TUE)
あれは2月の中旬、伊東へキャンプを見学にいったときのこと。つきっきりで練習を見ていた江藤GMが「ちょっと休憩を・・・」と言ってスタンドの方に上がってきた。私の横に座ってタバコを1本吸い終える頃こう言った。
「今年は期待していいからね」
その口調は妙に自信たっぷりだった。
その時、何故だか『今年は信じてみよう』――― そう思った。
一次予選初日。A.M.8:30開始の朝イチの試合で、ヤオハンは、クラブ相手(岳南クラブ)に快勝(15−0)した。まぁ、かって当たり前なのかもしれないけれど、驚いたのがその勝ちっぷり。序盤の2回でほぼ試合を決めるような点の取り方なんて・・・今までなかったぞ。ちょっと期待してもいいんだろうか?
一次予選
河合楽器 VS ヤオハンジャパン
富士球場 5月31日
思えば去年は、投手陣が『浜松バッティングセンター』状態になってコールド負けしたんだっけ。まぁ、そこまではいかないまでも、それに近い試合展開になるんだろうな、と踏んでいた、相変わらず失礼ぶっこき女、村井だった。
ヤオハンの先発は田中くん。調子は上向きなのに「干されてる」と言っていた。しかしぃ・・・、私が覚えているのは、春先の好不調の波がはっきりしていた時のピッチングだしなぁ(^^;)。ホントにいいのかどうかは・・・何ともいえない(^^;)。ただし干されているのは確からしい。酷い時なんて、たった4球でマウンドを下ろされたときもあったしな。その時は、さすがに何かあったのかと心配になったので、「大丈夫?」と聞いてしまった。思いっきり明るく「へ?! 何がですか?」と返されたけど(苦笑)。でもホントに干されてるんなら、ここで先発には持ってこないよ、きっと。
一番難関の立ち上がり。3者凡退で切り抜けた田中くん。よっしゃ、よっしゃ。
河合の先発は橋本くん。その立ち上がりを攻め、2アウトからレフト前ヒットの一場さんを置いて、羽山さんがライトへ2ラン。おっ! さすが羽山さん! 2回には、今度は一場さんがレフトへ3ラン・・・と序盤で5点も取ってしまった。おおっ?! 何か・・・いつもとパターンが逆だぞ?? そのあたりは応援に来ていたおっちゃんらも一緒だったようで、「いつもウチらがやられるパターンがこうだよな」と言っていた(^^;)。
ヤオハンは4回にも永吉くん、佐々木くんのタイムリーで2点、その後も河合の2番手・長沢くんから、羽山さんのこの日2本目となるソロHRなどで小刻みに得点を加え、最後は永吉くんの絶妙なピッチャー前へのスクイズが決まり、なんと3−10の7回コールド勝ち。一次だと言うのにスタンドは狂喜乱舞。村井も思わず腑抜けのパァになる。
極超の笑顔でベンチからスタンドの方にやってくる選手たち。みんな、そこらじゅうで握手攻めにあっている。その姿は、「一次なのにこんなに浮かれてていいのか?」と言う感じだけど・・・まぁいいか。
完投勝利を収めた田中くん。『試合中に1発はHRを打たれないと気が済まないんだよ病』が2度ほど(2度もか(^^;))顔を見せたものの、散発の7安打3失点はまぁ上々でしょう。
田中くんは丁度村井が座っていたすぐ上で、何処かの記者さんのインタビューを受け始めた。
「キャプテン(永吉くん)も『自分は6年連続して都市対抗へ出ているけど、そのほとんどが補強だから、今年はぜひとも自分のチームで行きたい』って言ってたよ。それには田中くんの活躍が必要になるね」と言われ「そうですね、頑張ります」と笑顔で答えた田中くん。そうだよ。あなたが頑張らなきゃね。
一方の河合はさすがにどんより。ここの所ヤオハンには負けなしだったからなぁ。負け方も良くないし、一次とはいえショックでかいかもしれない。それにしても、去年は抑えで大活躍だった橋本くんを先発に持ってくるなんて・・・コマがないんだな。佐藤くんはプロへ持っていかれたし、野末さんは上がっちゃったみたいだし、確かエースのはずの尾崎くんはビデオ隊してるし・・・。今年に入って一度も見ていなかったから戦力全然把握してなかったけど、こりゃ2次も大変そうだぞ。
翌日の(一応)決勝戦は、サヨナラでヤマハを下した(!!)関東自工とヤオハンと言う夢の東部対決。打力に物を言わせたヤオハンが8−2で勝って、一次を一位で通過してしまった。村井はちょっと用があって見に行かなかったんだけど・・・行っとけばよかったな。こんなこと、後にも先にもなさそうだし。
それにしても・・・どうしたんだ??一体。こういう展開は、見始めてから初めてだぞ。この短期間の間にこうもチームって変わるものなの?? 世紀末も近い(^^;)。
何か起こりそうな予感・・・。予感だけで終わらなきゃいいな。夢はもう少し見ていたい。
二次予選
ヤオハンジャパン VS ヤマハ
あしたか球場 6月13日
今年は東部地区開催の2次。おかげで3日間通えるぞ(笑・・・同じ事を春先に某くんにいって笑われた(^^;))。梅雨の晴れ間でとってもいい天気だわ(*^-^*)←最近「操ってる?」とか言われる(^^;)
第一試合の関東自工―河合は、関自の投手力不足をついた河合が0−11の7回コールド勝ちを収めた。関自も、ヤマハには勝てるのになんで河合には勝てないんだ? 『苦手意識』ってヤツなんだろうか? 全然関係ないけど、関自の宮崎くんはなかなか村井好みのいい男さんです(笑・・・ホントに関係ない(^^;))。
そして第二試合。こちらも『苦手意識』たっぷりのヤマハ戦。何てったって、創部以来たった1回しか勝ったことないもんね。でも、ヤマハに勝てばトントンッとイケる様な気がする。それは多分、私だけじゃなく本人達もそう感じれるはず。
気負ってるかな?と思いきや、試合前の彼らは、そんな事全然感じさせないほどリラックスしまくり。これも一次を負けなしで通過した余裕なんだろうか?
さて、先発に誰を持ってくるのかな?と思ったら、なんと今年阿部企業から移籍してきた岡本くん(=現・中日)。えぇー、マジ? 何でこんな大事な試合に岡本くんなの??(←信用してない証拠(^^;))
一方のヤマハは青柳くん。・・・ホント、イヤと言うほどこの人見てるぞ(^^;)。ほかにおらん訳でもないのに・・・。
両投手とも立ち上がりは上々。特に青柳くんは相変わらず球が速くて手も足も出そうにない。こりゃよっぽどのことがない限り打てないかな・・・と思い始めた3回、横山くんのレフトへのソロHRを皮切りに、大高くん、大曽根くんの内野安打、永吉くん、一場さんのタイムリー、仕上げは羽山さんのレフトへの2ラン・・・で一挙6点を挙げた。すごすぎるぅー!! これもいつもやられてるパターンだよ。ここでヤマハは本田くんにチェンジ。
ヤマハも4回、美甘くんの2ラン、渋谷さんの犠飛、松田くんのファーストゴロを羽山さんがエラー(^^;)で計4点を挙げた。やられたらやりかえす・・・、このあたりはさすがにヤマハだな。更に7回、飛騨野くんのソロで1点差に詰め寄る。打線も2番手の本田くん、3番手の宮本くんの前にピタッと打ち止めになってしまった(^^;)。やばいぞぉ〜(-_-;)。
しかしその裏、佐々木くんのレフト前、原くん、加藤田くん四球で1アウト満塁から、横山くんが左中間を深々と破る走者一掃の三塁打で3点を挙げ突き放した。
4回以降、大きな崩れもなく何とか抑えてきた岡本くん。9回、寺田くんにソロを打たれたもののその後はピシャッと(でもないけど・・・)抑えてゲームセット。
ヤオハンを見始めて4年目、ヤマハに勝ったのを初めて見た。
2日目の関東自工との東部ダービーは、佐々木くんのGRAND SLAMや羽山さんの2ランが飛び出したヤオハンが連勝。王手だ。あと一つ・・・。あと一つ・・・。
でも、何で大して打たれたわけじゃないのに降板させられたんだろ・・・。生え抜きに厳しいよ。
3日目。第一試合のヤマハ−関東自工戦は、終盤、倉くん、石丸くんのタイムリーで逆転した関東自工が4−5で勝った。社会人を見始めて5年、東部の2チームがヤマハに勝ったのを目の当たりにしたのは初めてだ(今年は初めてづくしだなぁ・・・)。これでヤマハと関自が1勝2敗で並んだ。もし次の試合でヤオハンが河合に勝つと3チームでの再リーグ戦になる。関自にも芽が出てきたわけだ。よっしゃー!!
ヤオハンジャパン VS 河合楽器
あしたか球場 6月15日
今日ばかりは一人で見る勇気がなくて、無理言って連れ(=旦那さん)に付き合ってもらった。ありがとう。ゴメンね。
ヤオハンの先発はヤマハ戦で好投した岡本くん。そりゃ、この前は良かったけどさぁ・・・(まだ信用してない(-_-;))。河合は今井くん。
先制したのは河合。2アウト1,2塁から長谷部くんの一塁強襲ヒットで1点を挙げた。ヤオハンもすぐさま、羽山さんの3試合連続となるレフトへのソロ、そして、原くんの久々のソロHRで逆転。しかし河合も6回、ライト前ヒットの長谷部くん、志村くんを置いてPHの宮澤くんがこれまたライト前にタイムリーを放って同点に追いついた。
その後は岡本くんから代わったDH兼任の吉岡さん、今井くんの行き詰る投手戦へ。
流れ的には河合に傾いているように思えた。しかしそれを、吉岡さんが、守備陣が精一杯食い止めていた。
河合が最初のサヨナラのチャンスを潰して延長戦へと突入した頃、ポツポツと雨が降り出した。あしたかは屋根がないけど、事務所入り口の天井部分がちょっと迫り出していて、20〜30人は雨宿りが出来るようになっている。そこへ避難した人も何人かはいたけど、ほとんどの人が席から動こうとしなかった。
雨脚もだんだん強くなってきた12回の裏終了後、審判団が両監督を呼び寄せた。試合を続行するかどうかの相談だろう。一旦は河合を守備につかせたものの、また呼び寄せて今度は両チームの選手達に中央に並ぶよう促した。『なんで?』という表情の選手達。それは応援団も同じだった。球場全体がブーイングなどでざわめき始める。
しばらくして場内アナウンスが流れる。中断の理由は『選手の健康面を考慮して、大会規定により再試合』との事だった。
選手達にしてみれば決着をつけたかっただろうと思う。特に河合は押してたしね。ヤオハンは耐えて耐えて耐えまくってかなりぎりぎりの状態だったから、もう一押しされたらガタッといっちゃってたと思うワ。
社会人はおろかプロさえナマで見たことがなかった連れは、「すごいいい試合見せてもらって面白かったよ」とかなりご満悦の様子。雨の中、お疲れサマ。
翌日。前日とはうって変わった打ち合いを制したのはヤオハン(よく集中力が途切れなかったなぁ・・・)。予想だにしなかった3戦全勝で代表の座を手に入れた。
結局ヤオハンは一次から通して一つも負けなかった。こんなの前回出場した時でもなかったことだ(あの時は、ヤマハに負けた)。いつの間にこんなに強くなったんだろう。会社があんな状態だから余計に選手達の結束を強くしたのかもしれない。突然の変化に驚きながらも、やっぱり嬉しいよ。ホントに、ホントにありがとう。
(1997.9.3 発行 Vol.40 掲載)
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