フランス・ロマン派の開祖ジェリコーの大作『メデュース号の筏』を
連想させます。色彩の際立つ対比、勇壮な人物造形、ダイナミックな構図
など、彼の地の作品を見ていたと確信させます。といいますのも、西南戦争
(1877年)を描いた三枚続きの錦絵「薩州鹿児島征討記之内」は、ジョン・
トランブルが1786年に描いた油絵『ハンカーズ・ヒル』に面白いほど酷似
しており、また、それのリトグラフ(石版画)が日本に輸入されていたようです。
(『版画芸術』100号(1998年)110頁の松岡春夫氏の文章による)
小林清親の錦絵版画にも、同様の作図が見られるようです。