「作品95−W−2〔記〕」

 中東の砂漠から、古い布に包まれた石板が出土した。それには未知の
古代文字が刻まれていた。その現場を描いたものである。と、デタラメな
説明を聞いても、フムフムとうなずいてしまう不思議な絵です。この銘文は
解読できません。これは、画家が考え出した意味不明の文字もどきだからです。
けれども、その形象をじっと見つめますと、何やら言葉が聞こえてきます。
 「いつの世もすぐれた絵画は世に埋もれ、すぐには世人は気が付かぬかな。」
 こんな解釈も、この絵は苦笑をもって容認しています。なぜなら、この絵は、
画家特有の無垢の眼差しから生まれた、壮大なナンセンス・ユーモアの作品
だからです。