校合摺(きょうごうすり)とは、多色摺木版画の骨格となる最初の版の摺りのことです。
鳥居言人(ことんど)は、浮世絵で有名な鳥居派の八代目に当たります。これは、
彼が美人木版画を手掛けた最初期のものです。伝統的な木版画制作では、師匠が
下絵の主要な線を描き、着物の細かい柄は弟子が描きます。そのため、この版を
完成品に付けて、師匠の筆さばきを見せます。この版では着物は無地の白妙ですが、
完成品の木版画には色も柄もあります。「帯」という題から、彼が帯の柄にこだわった
様子がうかがえます。一息に引かれた描線の強く潔い美しさは、色の重なった完成品では
ちょっと味わえないものです。