レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」を模した作品です。
1932年に浜松市に生まれた画家は、東京の立川基地拡張反対闘争を
劇的な構図で描いた1955年の油彩画「砂川五番」で知られていますが、
1960年代半ばから十年ほど、このセーラー服の少女に代表される作品を
描きました。当時の人気思想家であったマルクスやフロイトの思想の深い
影響のもと、「物体は自覚化される時、呪物に転位する」「エロスから
アース(地形)へ。アースはまたエロスへ」と画家の提起する精神地形学
の図像を、画家は女学生(セーラー服の少女)のイメージの不思議な
呪物性を中心に展開しました。その視線は深いところで常に国家、制度
といった普段気に留めない隠れた規制へ向けられています。
その後、画家は黄色と黒の縞模様の交通標識シリーズを描くように
なりました。ここにも、「規制」への鋭い視線が感じられます。