19世紀の後半、西洋では日本の美術工芸品が一大ブームになりました。 ジャポニスムといわれるものです。その旺盛な需要にこたえるため、明治期 の日本美術界に大きな影響力を持ったアーネスト・フェノロサは20世紀初頭、 日本画家の小原古邨を見出し指導して、輸出用の花鳥木版画の原画を多数 描かせました。西洋の人々は、古邨の格調高い絵はいうまでもなく、それを 忠実に、かつ魅力的な木版画に仕上げた彫師と摺師の卓越した技に驚嘆しま した。ここに紹介した「柿に烏」は当時の木版画の粋をみせる逸品です。