「霧杳白釉水墨風斜傾彫刻文筒花生」

題は「むよう・はくゆう・すいぼくふう・しゃけい・ちょうこくもん・つつはないけ」
と読みます。北一明が「ベスト3に入る作品」と自認するように、陶芸家としての
超絶的な離れ技が、鮮烈に発揮された作品です。
 深深と豪快に彫り込まれた側面は、卓越した技と高度な造形意識の鮮やかな統合
を見せています。釉薬(うわぐすり)は、画人入魂の作と見まがう、雲霧たちこめる
深山幽谷の、息を呑む絶景を現出させています。
 窯内の焼成温度や炎の状態によって複雑微妙に変化する陶磁土と釉薬を、科学的
知見によって徹底的に研究した成果をもとに、芸術的感性を全開して創造された作品です。