コラグラフとは、硬い紙の上にさまざまな厚紙を重ねてできた凸版で
刷られる版画技法です。
この作品は、画面全体が晩秋を思わせる枯葉色の色調で統一されています。
区切られた枠に、小さな標本のような様々なものが収まっています。ひとつひとつの
かたちが、忘れてしまっていた遠い昔の遠い出来事のひとかけらのような、
ある懐かしさを感じさせます。そのひとつひとつが、特別な年の特別な月の
特別な一日の特別な出来事のようです。
「イメージとフォルムの断片をつなぎ合わせて私は作品を作る。」と書く
作者の「いい味」がよく出た版画です。なお、この作品は、K美術館とは
まったく無関係にできました。