魂の彼岸を主題に幻想的な絵画を描いてきた画家は１９８７年、
聴神経腫瘍のため二度にわたって脳切開手術を受けました。多様な
神経組織がズタズタになり、再起への苦しいリハビリのさなか、画
家は悪夢にうなされ続けました。自らの生を回復させるため、画家
は悪夢から逃げることなく立ち向かい、悪夢そのものをキャンバス
に描き尽くすことによって悪夢を乗り越えようとしました。ここに
紹介した作品はその一枚です。
　ここを転回点として、画家は生きていることの原点を意思を持っ
た肉体の躍動＝ダンスに見出しました。ダンスを主題にした先鋭的
な作品により、画家は国内外で目覚しい活動を展開しています。