水族館の水槽のようです。人面のクラゲのような生物から人面の貝まで、
人が海中生物に転生したような奇妙な生き物たちが、所狭しと泳いでいます。
どの生き物も、考え事でいっぱいのような深刻な表情をしています。
そのため、一見賑やかな画面は、他者への無関心とバラバラな孤立の
支配する無言の静けさに満ちています。石造りのような分厚い窓が、
自己に硬く閉じこもる深い孤独を物語っているようです。
坂東壮一は、海底の幻想の楽園を描いていましたが、優れた画家
ならではの表現の欲求に突き動かされて、そこにととどまることを
許さず、新たな出発のために、彼自身の楽園の終焉を描いたようです。