「旅の終わり」

 詩人きのゆりに『終わり』という短詩があります。
 「終わりという字の
  さびしさは
  糸という字のかぼそさと
  冬という字の肌寒さ」
 砂漠の夜はとても冷えるといいます。ここには太陽が沈み切り、
深い夜が訪れています。壊れたマネキンと思しき遺棄された
人形も木馬も、半ば砂に埋もれています。さんざめく時は遠く
去り、冷え冷えとした「旅の終わり」に身を晒しています。
多くの子供を楽しませた木馬。多くの大人を楽しませたマネキン
人形。華やかな舞台の裏の深い闇。
 「生まれて以来、老いを経験する事がなく、美しいまま死
  が宣告される。それがマネキンなのだ。」(藤井秀雪)
 瞬きしないマネキンの虚ろな眼は、画家の見た深い孤独の
闇を映しています。